「原子炉の運転を止め、審査を全てやり直すべき」~渡辺満久氏講演会「大飯原子力発電所の現地調査結果と小浜湾内の活断層―海底活断層の活動と変形帯―」 2012.11.23

記事公開日:2012.11.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年11月23日(金)18時半、大阪市中央区のエル・おおさか(大阪府立労働センター)において、東洋大学教授の渡辺満久氏による「大飯原子力発電所の現地調査結果と小浜湾内の活断層―海底活断層の活動と変形帯―」と題する講演会が開かれた。

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  • アイリーン・美緒子・スミス氏(グリーン・アクション)あいさつ
  • 渡辺満久氏(東洋大学 変動地形学)講演
    I. 大飯原子力発電所敷地内調査結果
    II. 小浜湾の活断層
    III. 活断層による変形帯
    IV. まとめ
  • 弁護団弁護士の話(中継には含まれません)
  • 質疑応答
  • 第2部(中継には含まれません)
  • 日時 2012年11月23日(金)18:30〜
  • 場所 エル・おおさか(大阪府立労働センター)
  • 主催 グリーン・アクション/美浜の会/おおい原発止めよう裁判の会(告知

 冒頭、主催者を代表して挨拶に立ったアイリーン・美緒子・スミス氏は、水俣病をめぐって、有機水銀による汚染被害を把握していながら、汚染数値が確認されていないという理由で、適切な対処を放置して被害が拡大した惨禍を引き合いに出し、「こういったことを繰り返してはならない」と述べ、いまだに続く原発の「安全神話」に憂慮の念を示した。

 渡辺氏は、自身が専門とする変動地形学の観点から、詳細な解説を行った。渡辺氏は、「活断層であるか否かの判断をするのに、ボーリングによる点での調査は間違いだと言ってきた」としたほか、長い活断層を短く区切って過小評価する「活断層の値切り」が行われていることなどを問題視した。

 また、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内で行われた調査に言及し、手で掘り返せるほどの柔らかい粘土層について、「三浦半島の活断層と同類の破砕帯だと思われる」とし、「局所的ではない長い破砕帯であるとみられる」とした。また、活断層ではなく、地すべりだとの主張があることについて、「海から山へ向かって地滑りが起こるのは不自然ではないか」とした。

 さらに、小浜湾の断層調査や、地殻隆起などについても解説した上で、「断層がつながっていないという人もいるが、全体を見ると、連続した一連の活断層だと考えるのが自然。再び動く可能性を否定できない」と指摘した。また、「FO-A」と呼ばれる断層について、「切れていると仮定しても、『ターミナルバルジ』(横ずれ断層の末端の盛り上がり)があることになる。非常に危険だ」とした。

 特に、渡辺氏は、大飯原発の敷地内を南北に横切っている「F-6」と呼ばれる断層について、「北方への延長部に位置する台場浜では、12~13万年前以降の変動がある」とし、「活断層である可能性は否定できない」と強調した。また、「大飯原発は、活断層上盤側の変形帯に位置しており、『古傷』が再び活動する懸念がある」とし、「安全性の十分な確認調査をするために、原子炉の運転を止めるべきだ」と指摘した。

 そして、「比較的地震の少ないアメリカでさえ、活動度合いが低い副次的な活断層であっても、建設が中止されている」とした上で、日本では活断層があっても、「それを認めたら建てられなくなる」との理由で、「グレー(疑わしい)をシロ(問題なし)にして審査し、活断層ではないと結論づけている」と批判した。その上で、「これまでの(地盤)審査は全てやり直すべきだ」と主張した。

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