「メンバー全員が活断層の可能性を否定出来なかった」!原子力規制委有識者として大飯原発敷地内破砕帯調査に参加した渡辺満久教授が証言! 岩上安身によるインタビュー 第251回 ゲスト 東洋大学 渡辺満久教授 2012.11.13

記事公開日:2012.11.13取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・原)

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 2012年11月13日(火)、東京都文京区の東洋大学白山キャンパス内研究室で、渡辺満久教授のインタビューを、岩上安身が行った。変動地形学の専門家としての観点から、大飯原発下だけでなく、全国各地の原発敷地内に存在するといわれる活断層について、話をうかがった。

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 原子力規制委員会から、有識者として、大飯原発直下にある破砕帯の調査メンバーに選ばれた渡辺教授は、「メンバー全員が活断層の可能性を否定出来なかった。活断層か地滑りかの議論は、稼働中の大飯原発を停めてから行えばいい」とし、「グレー」という答えを導き出したことが成果であるとして、一応の決着をみるべきとの見解を示した。


 地面の形、でき方を研究する学問である地形学。中でも、活断層の探索、活動履歴などの研究にあたるのが、渡辺教授が専門分野とする「変動地形学」である。原発直下に活断層があり、そこで地震が起きた際、原発にどのような影響を与えるのかを考察する、数少ないスペシャリストといえる。渡辺教授は、今回、原子力規制委員会から、有識者として、大飯原発下破砕帯の調査団の一員に抜擢された。有識者の中でも、現地調査を行う上で、最も適任の人物であるといえる。

 渡辺教授は、大飯原発敷地内、台場浜のトレンチ調査にあたり、すぐに活断層を発見した。これは、地形学、地質学の学者であれば、岩盤のズレを見れば誰でもわかるものだったという。実際に、12~13万年以降にズレたものであるということは、調査にあたった識者全員の間で一致した。しかし、このズレが地滑りか活断層かで意見が分かれている。渡辺教授は、「海側から山側に地滑りが起こるとは考えられない。だから私は素直に活断層と認めた」とし、また、いくら小規模な地滑りであっても、断層の上に建っている重要施設を破壊するものであれば、活断層と同じ扱いになると指摘する。

 「あまりに活断層か地滑りかで議論が対立し、そこだけが大騒ぎになっているが、実は、問題はそこではない」という渡辺教授。大飯の調査団が結成された理由は、本当に安全性を確認して再稼働したのかどうかを調べることである。「今稼働している3、4号機の安全性が『シロ』か『疑いが残るのか』を判断すればいい。そして、メンバー全員が『グレ―』、もしくは『クロ』と言った。誰も『シロ』とは言わなかった。規制委員会のタスクからいうと、まずは一旦、停めるべき。活断層の可能性が否定できなくなったことで、原発下を走る他の破砕帯との連動性も調べなければならない。これ以上の調査は、原発を停めなければできない」とした。

 渡辺教授は、現在のエネルギー事情から、原子力は当面必要だろうという立場。しかし、「いくら必要でも安全性を蔑ろにしてはいけない。必要だから、と危険性を無視して、結果的に事故を起こしてしまった。これ以上、安全性が確保されていない状態で原発を推進するなら、福島から何も学んでいないことになる」と批判した。

 その後も、「2006年まで原発に疑問を持ったことがなかった」という渡辺教授が日本中の原発に警鐘を鳴らし始めるに至った経緯、全国の原発敷地内の活断層による危険性など、多岐に渡る話をうかがった。

以下、全文文字起こし。

岩上「はい皆さんこんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。“破砕帯”“活断層”今までこういう言葉が、日常会話で出るという事は殆どなかったわけですけれども、311以降、そしてつい最近になってこの事が頻出するようになったような気がします。

 そしてそうした会話が交わされるところには常にこの方あり。東洋大学教授、渡辺満久先生です。渡辺先生の研究室におじゃましています。渡辺先生今日はよろしくお願い致します」

渡辺「よろしくお願いします」

岩上「私、先生にこうやって面と向かってお話を伺うのはこれが初めてで、大変楽しみにしているんですけども、IWJの方には何度もご登場いただきましていつもありがとうございます」

渡辺「いえいえ」

岩上「先だっての大飯の破砕帯の調査、これに同行取材でも付きまとわさせていただきまして、ありがとうございました。ちなみに、先生は『みつひさ』が正しい読み方なんでしょうけど、皆さん『まんきゅうさん』と仰っていて、ご本人もブログで“まんきゅう”って書いてらっしゃったりしませんか。これどうしてなんですか?もう“まんきゅう”で通しちゃおうかなと」

渡辺「もう戸籍上は“みつひさ”なんですけど、まあ“まんきゅう”の方が通ってしまうというか」

岩上「通りが良くて。じゃあハッシュタグも“まんきゅう”としていただいてよろしいですか?」

渡辺「はい」

岩上「書き方が、先生の場合MANオバケのQ太郎のQですよね。では大変失礼ですけどハッシュタグそれにさせていただいて先生にご質問がある方MANQ、まんきゅう先生のハッシュタグそのまま使わせていただきたいと思います。

 今日はたっぷり色んな事をお訊きしたいんですが、そもそも論からお訊きします。東洋大学のキャンパス初めて来たわけではないんですけど、何とこの地震とか活断層とか、こういう話の先生、そして“変動地形学”という学問。理学博士。だけれども文学部なんですよね」

渡辺「社会学部」

岩上「ごめんなさい。文学部じゃなくて社会学部、社会学って普通は文学部のカテゴリーに入るじゃないですか。社会学部、社会科学部ではなく、社会学。なんで変動地形学。こういういかにも理工系の学問でご自身先生理学博士であるのに社会学なんですか?」

渡辺「変動地形学っていうのは、この地面が地殻変動でどうやってできるか、どういうふうな起伏ができるかっていう事を研究してる分野です。まあ活断層の認定、どこに活断層があるとか、どういう動きをしているかというのは、地面がどういうふうに揺れているかっていう事で研究してるんですね。その地面のでき方を勉強、研究する分野は“地形学”というんです」

岩上「地形学?あのプレートテクニクスがどうのというのも地形学に入るんですか?」

渡辺「あれはもうちょっと広い地球物理学とか色んな物なんですけど、その中に地形学も少し入りますがとにかく地面の形ですよね」

岩上「山があったり、丘があったり、谷があったり、平地があったり。そのような物がどのような力の鬩ぎ合いによって作りだされているのか変化していくのか、というような事ですね」

渡辺「それはまあ地殻変動でできる場合もあるし、川が削ったりする場合もあるので、それを全部ひっくるめて“地形学”というんですよ。日本の場合に“地形学”という分野が全て“地理”に入っている。地理学にまるっきり入ってしまってますので、地理学っていうと大多数は人文科学の先生ですから所属自体が地理に入っていると、もうちょっと大きな括りで言うと、地理を殆ど社会文学部とか教育学部とか、社会学部にありますので、どうしてもこういう所属になってしまう」

岩上「ああそうなんですか」

渡辺「なのでごくわずかに理学部に地理があったという所があって私はそこの出身ですので、理学博士という形になってますが就職先は殆ど文系学部になるんです」

岩上「文系?ああ、人文地理とか自然地理とかという、あえて人文地理という言葉をつけて分けるという事がありますよね。今そういう言葉を使われるのかどうかあまり詳しくわからないんですけど、昔聞いたような気がするんですが全然別の学問のような気がするんですけど」

渡辺「全然別の学問、実質的には相当違うんですけど、地理っていう分野が地球の模様を扱う分野と定義をしていて、人間としての模様を扱う分野が“人文地理学”で、自然が作る模様を扱うのが“自然地理学”と。その“自然地理学”の中に地理学が丸っきり入ってしまっているという。それで色んな所で活断層のお話をさせていただきますけど、まずその話さないと通じないですよね」

岩上「そうですね。だから不思議だなと思う。それからもう一つこうした我々にとって主要な関心事である地震等が起きた時に原発が安全なのか安全でないのか。この事を判断する最も専門的な知見を持ってる方。つまり“活断層”っていう言葉が我々の日常用語になってきましたけど、こうした物があるのかないのか、これ本当に危険なのか危険でないのか。その上に原発を乗せて適切なのかという事を判断する専門家っていうのは、これ“地震学”とかっていう言葉もありますよね。それからその他の別の分野もあると思うんですけど、どなたがこの事に一番お詳しいんですか」

渡辺「それが中々難しくて、例えば、ここに原子力発電所があって、その近くに活断層があるのかないのかという事に関しては、一番特異なのは我々です。活断層があるとどんな」

岩上「地形学の分野ですか」

渡辺「ええ、どんな困った事が起こるかというと、まあ大きく2つあるわけですよ。1つはその活断層が地震を起こす。そうすると近くで大きな地震が起きますからもしかしたら建物がバタバタと揺れて壊れてしまうと。それが壊れるかどうかという事に関しては地震学とか地震工学の話になります。それはもう私達の分野ではないですね。ただ私達の分野で建物の被害直接絡むっていうのは、ここのある場合ですね。建物の所に活断層がある場合に、この断層がずれてしまうと地面がずれますから建物が破壊されてしまうと。そこに関して私達は、直接コメントをしていると」

岩上「そうすると、その直下にある場合は、その地形学、もしくは変動地形学っていうのも地形学の一分野だと思うんですけれども、地形学の中においても変動地形学が活断層などを扱うという事ですか。考えてみればそうですか?

 そうすると変動地形学プラス地震学が分け合っているというか手を携えれば大体トータルにわかるというふうに考えて良いんですか?」

渡辺「地形学、地質学、地球物理学なんですけれど、まあ残念ながらこれは随分仲が悪い」

岩上「そうですか。どことどこが仲が悪いんですか?」

渡辺「いや、皆悪いです」

岩上「皆悪いんですか。変動地形学と地質学と地球物理学」

渡辺「地震学と例えば地形学は、まるっきり手法もアプローチの方法も全く違いますので、別の分野なんですよ。だから例えば、先ほどの話と被りますけど活断層の専門家っていうと地震研究所に居ると思ってらっしゃる方が非常に多いんですが、あそこには活断層の専門家は0.5人ぐらいしか居ない」

岩上「0.5人って?」

渡辺「1人いらっしゃるけど、ちょっと。僕らと同じ研究しているわけではないので0.5人と申し上げています」

岩上「0.5?それはどこの?研究所なんですか」

渡辺「東大地震研究所」

岩上「東大の地震研究所、なるほど、その人は0.5人なんですね」

渡辺「まあちょっと失礼。1人と言った方が良いかもしれないですけどね」

岩上「何人ぐらい研究者はいらっしゃる中の1人?」

渡辺「無理やり数えていくと、この人はちょっと違うかなという人も含めてこの間変動地形を数えたら21人でした」

岩上「それは、東大の中でって事で?じゃあなくて」

渡辺「全国で」

岩上「全国で21人しかこの地研」

渡辺「やっぱり十数人は文系学部ですね」

岩上「十数人文系?貴重なんですね」

渡辺「絶滅危惧種です」

岩上「絶滅危惧種?トキみたいな?なるほど。地震学はまだもっとどうなんですか?」

渡辺「地震学はもう完全に理学部系統の地球物理学ですよね」

岩上「地球物理学の一分野になるんですか?」

渡辺「そうですね。地震学の方も地震学の方も地面の事には全く関心がありませんので」

岩上「地面の事に関心がないのに地質や地震を扱ってる?」

渡辺「はい。まあ地質は、古い所ですね。こういうところが重要だと思っておられる方が地質学には多くて、こんな感じだと思うんですけども。僕ら地震もやってますけども、地震その物はやった事がなくて、どこに活断層があるかという事とか、ここで調べて活動履歴を調べるのが僕らの仕事です。

 ところが地震学の方はそうじゃなくて地下にどのようねエネルギーが溜まってこれが放出されていくか。そしてどういう地下構造があるかという事をやってるわけです。それでこことここで全然違うんですね」

岩上「素晴らしいパワポですね。感心しちゃったんですけど“震度小”“震度大”とここありますが、要するに変動地形学の関心領域というのが、被害集中域、この辺“断層変異地形”ここですね。断層できちゃって地形が大きく変化するようなポイント。そういうところに主たる関心があると。それの履歴にも関心があるという事」
(10:27)

渡辺「関心があるというか元々の研究テーマは、この活断層は何回動いたら山になるのかとか、そういう事が本来の研究テーマなんですよ。だけど僕らにしかわからない事があって、それは活断層がどこにあるかっていう事は多分僕らにしかわからないと」

岩上「ああ、じゃあ今正にその活断層の探索。探索という事は非常に重要なテーマですよね、原発の関係で。それは、本来地震学の皆さんではなくて、変動地形学の皆さんの方がお詳しいという事なんですね」

渡辺「そうですね。それは全然違うと思いますね」

岩上「後、探索とどこにあるかっていう事を見つけるのと、それがどの程度危険であるか。つまり危険であるか。それがどれぐらいの頻度で起こりうるかとか、それからもしずれが生じた時に、それがどの程度のダメージをもたらすか地表の構造物に。と分けて3点だと思うんですよね。それは、どれが専門なんですか?」

渡辺「それはつまり活動履歴、どこぐらいの頻度でどのぐらいの地震を起こすかという事に関しては、私達が全問です。なぜかっていうと、その研究は活断層がどこにあるかわからないとできませんのでどこに活断層があるかという事を私達が指摘してやってきた事です。それで地震によるダメージという事だと、先ほど申し上げたんですが、工学的な事になると私達にはもうおちょっとわからない」

岩上「そうですね。この上の構造物にどういう影響を与えたかは別として、でも地表がどの程度揺れたのかとか、そこから先は工学的な話になると思いますけど、それはどうなるんですか?地震学を分けあうんですか、それともやっぱり皆さんの方が」

渡辺「揺れるっていうのは?」

岩上「地表の例えば、これがダン!とずれるというような事が起こった時に地表はどれぐらいの、震度幾つぐらいの」

渡辺「それも地震学の」

岩上「それは地震学ですか?」

渡辺「はい、そうですね。私達が一般的にこの辺が強く揺れるとか、そういう言い方はできますけど、厳密にどの部分がどれぐらい揺れるかっていうのは」

岩上「というとまず探索して、それがどの程度の頻度のどの程度の地震を起こしうるような物なのかは、まず変動地形学の先生がまず見つけ、そして認定して、そこから地震学者につないで、言わば、それがどれぐらいに地震だった。或いは、建物倒壊がどう起こるかと。なるほど」

渡辺「ただ、揺れるのはそうなんですけど、例えば、僕らどれぐらい揺れたら、どれぐらい建物にダメージが起こるか具体的には言えませんけど、我々にはっきり言える事は、これ兵庫県南部地震の時ですけども、これだけ動いたわけなんですね」

岩上「ああ、そうなんだ」

渡辺「これ何が重要かと言いますとね、建物は壊れてないんですよ。でも断層が通過する所だけ壊れるというわけで、建物の下にずれる物があった場合被害を免れません」

岩上「先生もう1つ前とあれと、ああ、こういう状態だったんですね。建物と一直線だったわけですね。そこでベキッとこう動いたんですね。こうい形になって、そしてここが建物が折れたというか」

渡辺「家は折れてないんですけど、やっぱりそのずれるところですね」

岩上「こういうふうに塀がずれる感じになっちゃってるわけですね」

渡辺「こんな感じですね」

岩上「ああいや、こういうふうに持ってかれちゃったんですね、本当に文字通り。わかりやすいですね」

渡辺「だからあの、どのぐらい揺れるかっていうのは、ちょっと僕らには、それは言えないけれども活断層を跨いでいると必ず被害が出ますよっていう事を指摘できます」

岩上「これが今回の大飯なんかでも取水のパイプがあるところにこういう物があると、それは断絶してしまう。間違いなく切れてしまうと」

渡辺「そうです」

岩上「それで地中に入っていたら切れたらそう簡単に修復できないだろうしという事ですか。なるほど、こんなふうになるんですね、凄くわかりやすい例ですね」

渡辺「その他だとこれも明らかですね」

岩上「ああこれ縦の」

渡辺「これは台湾の地震ですけど、建物は立っているわけですよ、壊れないで揺れでは。だけど土地がずれてしまった所は壊れてしまうと。こういうの原子炉建屋だったら大変な事になるわけですよね」

岩上「ですね。これは下に今度下がったという事ですか?」

渡辺「上下に食い違って」

岩上「さっきは横にずれたけど今度は。斜めとかそういう動き方も色々あるわけですね」

渡辺「ありますね」

岩上「断層のずれ方で。これもクラッシュしてますね」

渡辺「70センチか80センチ隆起したわけですけども、その上にあった鉄筋コンクリートは壊れると」

岩上「どこが隆起したんですか」

渡辺「これとこれが同じ高さだったんですよ。ここの芝生とここが」

岩上「この芝生とここが同じ高さだった?」

渡辺「ええ」

岩上「つまりここの地面が今ちょっと段差があって坂になっているように見えるんですけど、これ全く平らな物だったという事ですか?」

渡辺「ええ」

岩上「こんなふうにドーンと上がっちゃう事があるんですね。もしくは下がったのかな」

渡辺「上がったんだと思います。一時的にポンと上がったんだと思います。その時1メートル動かなくても相当ダメージが来るわけですね。だから揺れは、地震工学の先生に任せますけども、こういう被害はどこに断層があるかっていう事が極めて重要なわけですよね」

岩上「なるほど、これは凄くわかりやすい。それで原発の敷地の下の直下を通っているのは、それは当然だと思うんですけど、それ以外にも周囲に活断層が通ってるっていう事と、活断層同士が連動という話をよく話が出てきますよね。例えば浦底断層という物があって、それがちょっと離れているんだけれども、それが原発直下の物に連結するだとか、そういう話が色々出てきたりします。この断層同士の連携っていうのは、どういうメカニズムになっているんですかね」

渡辺「メカニズムっていうとちょっと説明しにくいですけれども、まあ直感的に非常によくわかる話で、これが大きな浦底断層というわけです。そしてこれが敦賀1号機2号機」

岩上「敦賀の話です。はい」

渡辺「この赤い線が全部断層なんですよ」

岩上「赤いこの線が断層?」

渡辺「これが非常に活動的な断層で、これがもし横にずれるタイプなんですけど、これが動いたら滑らかにつながっているこいつがついでに動くのは容易に想像できるのではないですかと」

岩上「ああ、それで実際これまでの、過去に起こった物を実地で研究していくと何かがこう動くと他も動いちゃうんですね」

渡辺「はい。それは大きなずれがあると、枝分かれしていくのがたくさんあります」

岩上「なるほど。そろそろ、今回の大飯原発の話を伺っていきたんですけども、そもそも今の話の中にある『我々は見つけられる』だけども地震学者、他の分野の専門家の方々だけど、その方々は見つける事ができないと『我々の方が見つけるのは専門家だ』と仰った。それで今回トレンチっていう所に入られたんですよね、穴を掘っている所。そして我々ずっとIWJは朝霞が全部密着して生中継していました。それで全部中継し続けていたんですけど、この穴に入った時には何か『喋らないでくれ』という緘口令みたいのがあって、そこで自由に発言ができなかったそうですけど、でもすぐ見て先生は発見したと。この発見できる違いというのは、何なんですか?」

渡辺「いやもう、この掘った中では地形学も地質学もなくて見れば一目瞭然」

岩上「見ればわかるんですか?」

渡辺「ええ。その例えば個々の所で掘ったこれですけれども、ここに古い岩盤があって、昔波が削って平にした所があるんですよ。まあベンチって言うんですけど、これもそうです」

岩上「海成層っていうのがベンチっていう事なんですか?」

渡辺「ベンチのよく磯釣りに行くと何か波が削って平らな所があるんですけど、ああいう所ですね。その上に丸い石が乗っていたりするわけですが」

岩上「ああいう磯だったという事です」

渡辺「それでその磯がここでずれてるわけです」

岩上「色で判断してるんですか?色だけじゃなく?」

渡辺「見ていくと、こう岩盤が上がっていくんですけど、ここでオーバーハングして上がっていくと。そしてこの中に地層の中にこうずれが見えると」

岩上「素人じゃ中々わかりにくいんですけど、色が明らかにここから変わってますね、ちょっとブルーっぽくというかグレーぽくなっている感じがしますけど、そうなんですか。そしてここにずれがある事は見て取れるんです。この程度の物ははっきりずれであるという事がわかるんですね」
(20:07)

渡辺「そうです。これはもう明らかにここずっと。まあこうなると地形も地質もないです」

岩上「地質の形でもすぐわかる。もう地震学の方でもわかる?」

渡辺「地震学の方はちょっとわからないけど」

岩上「地震学の方、こういう現場を見るフィルワークをしている人じゃないという事ですね。ああ、なるほど」

渡辺「まあここは見るだけで、地質学の方はやっぱり詳しいかもしれません。私達は地形を見るのが特異だという事です」

岩上「なるほど、地質地研の先生だったらわかるという事ですね。なるほどね。関電の人達はわからないんですか?」

渡辺「わかるはずです」

岩上「わかるはずですか?」

渡辺「関電の組織の中に地質の専門家は多分居ないと思いますが、まあ工学系の方ばかりで、私達に説明している方達は、まあ関電の方ではないんだけれども電力中央研究所とか、電力会社がお金を出しあった研究所とか、後能力のある地質コンサルタントの人達が私達に説明して」

岩上「その方はわかってるんですか?」

渡辺「わかってます」

岩上「わかってます?これ認めて安全って言ってますね」

渡辺「断層だという事はわかっています」

岩上「じゃあ何が違うんですか?」

渡辺「問題は、断層だという事はいいんですけども、この地層の年代が古いと仰るわけなんです」

岩上「これはちょっとご説明いただきたい。教えてくださいどういう事でしょう。これを見てどういうふうに何を判断して」

渡辺「これだけでは、判断できないです。ここの9万5000年前の火山灰が入ってくるので、これはいいだろうと。この下のこれですけども、これは見た目では判断つかない。それで私達は周りの地形から見ると12-13万年前の波が削った後だと判断して、それであそこに居た4人全員の共通認識ですね。

 ところがまあ関電の方達は『これは古い』と『20数万である』と言ったわけです。大した差ではないと私は思いますが」

岩上「でもそこが活断層か活断層じゃないか決める何か違いになるんですよね。活断層の定義っていうのが」

渡辺「従来は12-13万年前以降に動いたかどうかが活断層の分け目だったんだと思いますけど。そういう意味でこれを必死に12-13万ではなくもっと古いと仰ったんでしょうけども、島崎委員長代理は『もう40万とする』と言っているわけですから」

岩上「40万?40万年前以降に動いた物、つまり最近動いたというふうに解釈を変える。これは変わってきてるんですか?今のどこかの学問の分野の中で」

渡辺「いや。前から活断層の分野では、数10万年以降、同じような力が日本列島にこうギュッと力が加わっているから、数万年以降に動いた物を活断層と呼んでいたんです。それで原子力の世界何だかよくわかりませんけども、最初は『5万年』とか言って、その次『12万5000年』とかなって、それ以降動いている物を活断層と言ってきました。

 そこで、非常に大きな問題があって、例えば『5万年前から現在まで動いていなければ活断層ではない』という定義なんですよ。ところがそれを5万年前以降の活動が確認できないから活断層でないと言ってきちゃったんです。それ意味が違いますよね。それでもう皆厳しくしないと駄目だと言ってきたんです。そういうふうなごまかしをするので」

岩上「それもう1回言ってください。それ意味が違う。確かに言葉意味が違うように思うんですけど」

渡辺「5万年前から現在まで動いていなければ活断層ではないと言っている。ところが調べたけど5万年以降に動いたかどうかわからないと」

岩上「わからないと」

渡辺「それまで活断層じゃないとやってきた」

岩上「わからないというのは調べてない、もしくは」

渡辺「調べてもよくわからないし」

岩上「調べてもよくわからない。だからそれをちゃんと調べて、例えばよくよく遡ってみたら例えば30万年前に動いた形跡があるとか、そういう履歴を調べる事は可能なんですか?」

渡辺「可能だと思いますね。今の5万年以降の話ですけど、それをやってこなかったんです。本来であれば5万年以降に例えば動いたかどうかわからないと」

岩上「以降というのは、遡るんじゃなくて直近の事なんですね。ごめんなさい。そうすると5万年から直近のところがわからない」

渡辺「わからないという場合には、通常であればグレーと考える」

岩上「そうですね」

渡辺「ところが彼等は全部白にしてきたわけです」

岩上「ああそうなんだ」

渡辺「そこに扱いが本当にずさんで、そんな事やってるんだったらもうちょっとこう厳密に古くしないとごまかしが出てくるっていうんで、皆古く、古くとやってきたわけですよね」

岩上「それは、わからない物というのは、どう調べても原題の水準ではわからないという意味何でしょうか。それとも調べ方が甘いという」

渡辺「調べ方も甘かったし、調べてる場所が違ったり、敦賀の時に大分言ったんですけども、都合のいい所を調べて『6万年でした』とか、6万年の物を動かしている。6万年前の地層が動いているとすると、本来であれば、それいつ動いたからわからないですよね。6万年以降としかわからないはずなんだけど、動いているのが6万年だから活断層ではないところですよね。だからそういう変な理屈が通ってきたんです」

岩上「なるほど。僕いきなりこう質問してしまったで、もしかして先生として順番があったのかもしれませんが、大飯の今回の調査、もし順番撮通り説明するとしたらどんなふうな順番でのご説明になるんでしょう」

渡辺「今回問題になったのは、要するにこれですね。大飯の1号機、2号機、3号機、4号機で、このここにかなり長めのF6という断層があって、ここに30数年前に調査した結果があります。これをバックチェックといってつい最近本当に大丈夫ですかってチェックをして再稼働にもっていったわけですね。そのバックチェックの時に一つ重要な資料が出ていなかったと」

岩上「出ていない?それは何ですか?」

渡辺「それは、例えばここで掘った地層の断面なんですけども、こちらの図が出ていてですね。これ穴掘って両側に地層が出ていますが、こっちとこっち両方見ているんですが、こっちだと断層があって何かずれていないように見える。ところが反対側から見るとずれているのが見える。これを出していなかったんですね」

岩上「これをどうしてあるっていう事がわかったんですか?」

渡辺「それは設置申請許可の時の書類を市民団体の方がコピーして私に送ってきたんですよ。それで僕もこの図があるっていう事を全く知らなくて、こちらだけ見ていて、これでも活断層ではないとは言えないんだけれど、これだとまあ違うかなと思ってたんですけど、こっちを見た瞬間にこれは否定できないと」

岩上「それは、彼等は見せていたというのは、専門家に見せていた書類、つまりある程度資料を選んで騙したような物ですね」

渡辺「そう言われても私は仕方ないと思うんですね。逆にこちらではなくて、こちらだけおしか見せなかった時には多分かなり違う反応が返ってきたと思うんですよ」

岩上「これはじゃあ情報公開請求か何かで取ったんでしょうかね。或いは」

渡辺「いや、普通に」

岩上「普通に見られたんですか?」

渡辺「普通に見られます」

岩上「じゃあ資料の山にそうっと紛れ込ませてきたと」

渡辺「そんな感じですね。1つの問題は設置申請の時に誰がこれ許可出したんですかって話が1つと、後、最近のバックチェックにこちらしか出さなかったっていうのは、何か言われても仕方ないです。だけどこれは、よくわからないというレベルなんです。活断層であるかどうかわからないと。それでまあ調べましょうという事になって、それがこの調査結果です。それでこれがずっと続いているので、こういう所で掘ってちゃんと調べましょうというのが今回の調査です」

岩上「ここが今回行かれた所ですよね。台場浜トレンチという名前が付いているんですよね。ここも名前があったんですか?何とかトレンチみたいな」

渡辺「トレンチはここの所だけなんですけど、ここはボーリングですね」

岩上「ここはボーリングで取った、なるほど。ここもやったんですかね」

渡辺「ここはトンネルの中の道路をはいでみていたんですけど、まあ重要なデーターを越えてたと」

岩上「ここでやらずこちらを見せた、こちらは見せなかった」

渡辺「両方見せました」

岩上「両方ご覧になったんですか」

渡辺「こちらは、新しい地層がないんですよ。台場浜の方はこういう新しい、新しいって言っても10万年ですけども、こういう地層はないんですね。だから何とも言えないと」

岩上「わかりにくいんですね」

渡辺「活断層であるかないかっていうのは、やっぱこういう地層がないと言えないもんですから、一番重要なのはここであろうと」

岩上「そういう事なんですか。我々素人は、ここの活断層とこの緊急用取水路ですね。ここが正につながってる所ですから、ここが動いたらアウトになっちゃう。何か動いた時に水が取り込めない。そうすると冷却ができなくなってメルトダウンを完全にしてしまうと。指をくわえて黙って見ているしかないなんていう大変な事態になってしまうわけですよね。
(30:03)

 その取水路を切断してしまう場所だから、こここそ重要なのかと思ってたら、調査上ここはわかり辛いから、ここが重要という事なんですね」

渡辺「断層があるかここで言えるかもしれません。断層はあったわけですねここに。だけどそれが活断層であるかどうかっていうのは、こちらで判断できないの、こちらでやるしかない」

岩上「なるほど、わかりました。何かこれ結構誤解している人がいるかも知れません。こちら側で学問的な判断は、重要なポイントであると。それでそちら次はどんな感じなんでしょう」

渡辺「これは先ほど見ていただいた。これはもう明らかに活断層だと私は思いました。ところがまあ」

岩上「お1人この海のこれに関しては4人一致したというけど、お1人一致しなかった人が居る」

渡辺「いえいえ、こういうずれてるって事に関しては全員一致、時代も一致です。12-13万年前以降にこういうふうなずれがあったという事は一致していたんですが、これが活断層なのか地滑りかで見解がちょっと分かれたという事ですね。

 まあ地滑りと考えると、後可能性はゼロでないですけど、例えばこの右側が海なんです。それで左側が山なんですね。海から山に地滑りが起こるっていう事はあり得ないではないかと」

岩上「ああ、こっち側が」

渡辺「低い海から山の上に」

岩上「なるほど、上に上がっているわけですから。それはこっち側が海であって、こちら側山であるという確たる証拠がわかるんでしょうか」

渡辺「それは掘った場所がありますので、これは今埋め立てて陸地ですけど、昔はここまで海だったんです。それで海の方から山の方へ乗りあげているんですね」

岩上「ああ、乗りあげて、今のこういうふうになっているわけですね。ちょうど裏返しのような感じになるわけですね」

渡辺「そうですね」

岩上「ああそうか。海から山へあがったってあり得るのかと」

渡辺「そんな事あり得るだろうかという事で、私は、素直に活断層だと認定をしたんですね」

岩上「地すべり、単なる地滑りというのは普通に上にあった物が崩れるという意味で、それは起きづらいと」

渡辺「こちら側が下に滑って、反対にずれているのであれば、地滑りの可能性は出てきますね」

岩上「なるほど。それは議論なさったんですか?」

渡辺「一応しました」

岩上「あの立命館の先生ですよね、お名前何と仰いましたか」

渡辺「岡田先生」

岩上「岡田先生ですね。岡田先生の見解はどういう事なんでしょうか」

渡辺「要するに先生は、学術的に凄く厳しい意見を持っておられて、そこをきっちりこう説明されておられるんですよ。ちょっとおわかりいただきにくいかもしれませんが、要するに断層っていうのは『深い所に続いてきて、地面に出てきて、こう何回もこすれているから壊れた後がある』とか、そういう物があるんだけど『これはそういうふうに見えない』と。こう『ちょっとある時期にちょっと動いたぐらいの物しか見えないし、いわゆる断層の構造ではない』と仰います。

 それはですね。間違ってないですよ。だけどここで問題にしている活断層『私が言っている活断層はもう10万年に1回ぐらいしか動かない奴なので、岡田先生がイメージされてる
地滑りと基本的には同じ物だから区別はつかないのではないでしょうか』っていう事で私は疑問を提示させていただきましたけど、まあ皆さんそれなりに自分の学内で正直に議論をされて」

岩上「今先生がね、地滑りと私が言っている10万年に1回ぐらいしか動かない活断層というのは、殆ど似たような物だというと差がないように聞こえるんです。じゃあそもそも地滑りと活断層の違いは何か。僕が聞いている地滑りというのは広域に動く物ではなくて、一部の物で、活断層というのはもっと広域に動く物。そして地形が明らかにずれまで引き起こしてしまって、ここの構造物があったり地中に構造物があったり、まあ取水のパイプは特に重要でしょうけど、それがまあ切断されてしまうような物。地滑りだったら、まあ例えば崖崩れみたいなイメージなんでしょうか。それが小規模で建物やパイプが切断される程の被害を受けない物。

 こんな雑駁ですけど、こんなふうに受け取っているんですけど、間違いがあったら教えてください。

渡辺「いや、その通りですけども、いくら小規模であっても地滑りが重要施設を破壊するような物であっては、これは活断層と同じ扱いになります。ここで地滑りか活断層かという事になってくると、その地滑りが本当に小規模な物か次の問題になってくるんですね。まあ、それは、ちゃんと調べないとわからない」。

岩上「ちゃんとってこれから何をすれば良いんでしょう。これ今掘って、これだけもう1回掘りました現地で。それをもっとたくさん掘らなきゃいけないのか、それともボーリングをする必要があるのか」

渡辺「ボーリングではわからないっていうのが私の意見でこれ掘らないといけないと。それでちょっとお聞きしたい事とは違うかもしれませんが、あんまり活断層と地滑りを取り合ったとか話題を振っちゃって活断層と地滑りが対立的に捉えられて、それが大騒ぎになっていますが、実は問題はそこにはないと言ってるわけですよ」

岩上「そこにはない」

渡辺「というのは」

岩上「その定義で、これをやっても良いかやっちゃいけないかっていうその判断がくだされる重大なポイント。それこそ段差ぐらいあるようなポイントに我々思っていたんですけど、そうではないという事ですね」

渡辺「そうではない。この大飯の調査団が結成された理由は私達が問題提起した事もありますけども、やっぱり7月に再稼働してしまって、本当に安全を確認して再稼働したのかっていう事が市民団体の方とか超党派の議員達が問題提起されて凄く大きな動きになって、『それちょっと確認しなきゃ駄目なんじゃないか』という話になって、それをやるのが私達の役目だったんです。

 つまり今稼働している3号機、4号機ですね。あれを認める基礎となった安全性が白なのか、或いは、疑いが残るのか我々が判断をすれば良いわけです。その結果、実は4人共『グレー』と言ったんです。僕は『黒』と言ったけど『白』と言った方は1人もおられないですね」

岩上「4人共っていうのは、先生を残してって事ですね」

渡辺「いえいえ」

岩上「4人の先生でグレーと言ったって事ですか?」

渡辺「私は『黒』と言って、1人は『濃いグレー』と言って、残りの2人が『グレー』と言った。要するに誰も『白』とは仰らなかった。すると私達、今回の委員会のタスクを考えると、まず今動いちゃってるけど『それ安全性を確認してないんだ』と、だから私が言っているのは『まず止めなさい』と、それで止めて、動いている限りは近寄って調査できないわけですよ。これがどうなっているか何て、向こうがどうなっているかわからないわけですから」

岩上「近寄って調査するっていうのは、位置を変えていくんですか?」

渡辺「そうです。例えばここに何か見えたとして、これが問題になりますよね。ここずっと掘って行かないといけないわけです」

岩上「ここを今度掘り続けるんですか?」

渡辺「そうじゃないと私はおかしいと思いますがそんな事できないわけですよ」

岩上「今の状態では難しいんですか」

渡辺「難しいですね。それから、もう1つ重要な事はですねF6と呼ばれていたここに活断層の可能性、私は活断層。他の方は活断層の可能性がある。そういう物が出てきたと。それでこれは本当に大丈夫なんですかと」

岩上「そうですよね。私もこの事ばっかりに気を取られてますけど、ここやここって建物の直下ですよね。これは危ないですよね」

渡辺「これが活断層だとちょっと大変な事なので、それを含めてちゃんと調査をしなきゃいけないレベルになったという事が重要だと思います。これ調べて何もありませんでしたと。全員白という事であれば、このままどうぞですけども、疑いが残っちゃった。4人共全部疑いを持っちゃったわけです」

岩上「病気に例えると癌マーカーか何かで、癌マーカーで陽性出てもうちょっとちゃんとした精密検査とか、そういう事をやらなきゃいけないよおちう事ですよね」

渡辺「ええ。そこに入ったという事で動かしたまま調査は、これはできないじゃないですかという事なんですよね」

岩上「それは止めるべきだという事ですよね」

渡辺「一旦止める。私は『廃炉にしろ』と言っているじゃないです。ちゃんと調査をするために止めないといけないから1回止めていただいて、その上で納得いくまで皆で調査して、その結果“白”という事であれば皆さん安心するわけですよ。白となった段階で安心した段階で、再稼働すれば良いと思いますが」

岩上「先生は、原発に対してのお考えは、原発反対でも推進派でもなく、そこについては、コメントしない、もしくはニュートラルだと」

渡辺「いえいえ、私は、むしろ原子力がないと困ると言ってます」

岩上「原子力がないと困ると?」

渡辺「今のエネルギー事情を考えた時に、そんなに勉強したわけではないんですけど、今なくす事は到底できないだろうと」
(40:01)

岩上「即時廃炉という考えには与しないと。まあ要するにその事に関しては強い信念でお考えなのかそうなのかちょっと微妙ではありますけど『原子力は当面必要だ』ぐらいに思っているお立場で理解して良いですか?当面必要だ」

渡辺「当面必要だろうと思っています。だろうと思うけれど、だからといって大事故が起きて良いという事は容認しないと」

渡辺「それは駄目ですよ。いくら必要だからといって『必要だから危険性はあったけど作った』なんていう人が居たわけですよ」

岩上「そうですね。その結果ですよね。ああ“プロメテウスの罠”ほう、ほう、ほう」

渡辺「なぜか私の写真使っているのを抗議したんです」

岩上「ああ、そうなんですか。六ヶ所断層の説明会っていって。ここに書かれている方は安全委員会で活断層審査で『本当はグレー危険性があるのをわかってたんだけど、そんな事を言うと作れないから白にしたんだ』と白状しているわけですね。それは困りますよという事」

岩上「先生が原発容認というのはエネルギー事情で考えれば容認、もしくは必要だと思うけれども、それは安全性が確保されるという前提があっての話で、安全性が確保されない、大事故を起こす可能性があっても尚容認という人が、世の中に居るんですけど、論理。それは認めないという事ですね」

渡辺「それは認めませんね。それは私もよく言われます。その『こんなの10万年に1回だからね、そんな確率なんか殆どゼロだと仰いますが、それは間違ってると」

岩上「間違ってると」

渡辺「それは福島から何も学んでいないと言ってるんですよ福島の場合は、宮城県沖で近いうちに99%起こるっていう地震が想定されていたんですよね。それに対して常磐タイプの巨大地震も知っていたんだけど『あれはもう1000年に1回なんだから確率なんか考えなくて良い』と言ってたわけですよね。私は、実は正直いってそれで良いと思ってました。だけど実際に起きたのは、非常に薄いグレーだったんですよ。それを考えた時に、こういう重要構造物は、確率で考えてはいけないという事を福島から学ばなければいけない。そう思っていて」

岩上「10万年に1回だというと『10万年後ぐらいに起こるんだろう』みたいに思うんですけど」

渡辺「明日かもしれませんよという事ですね。こういう事は確率ではなくて、起こるか起こらないかどっちかと思うんですね。だから確率を持ちだして話をするのは、私はおかしいと思います」

岩上「まあ考え方色々おありだと思いますけど、例えば『核燃サイクルは本当に可能か』とか、『じゃあ高レベル廃棄物をどうするんだ』とか、そういう問題を考えていくと、これは別途の問題で大変、原発って本当に必要なのかと」

渡辺「それは、確かに仰る通りで、最終処分場も決めないで動かしている事は、私は、非常におかしいと思いますけど」

岩上「とりあえず、一言で言えば、強固な原発反対論者ではないというお立場の上で、できるだけニュートラルにこの活断層の危険性のみに焦点を当てて今お考えになってるって事ですよね」

渡辺「そうです」

岩上「わかりました。推進派、反対派の両方から誤解されて色々な事言われそうですね、先生の立場」

渡辺「色々言われています」

岩上「まあ、僕らとしては、渡辺先生、ここの活断層の審議とか、その危険性、安全性という物に関してとても真実を追求するというお立場だというふうに理解していますけど、ちょっとこれごめんなさい。これずれましたけど、こういう物走ってくという危険性がちょっと浮かび上がってきた時に、じゃあ原発を止めて原発を止めてどういうような調査をしたいんですか?ここはこっちへ掘っていくって言いましたけど、これなんかどうするんですか?ここの建物の下ですよ」

渡辺「それはですね。どうやって調査して良いかっていうの、私にもわからないんですけども、例えば志賀原発は、原子炉の下に穴を掘ってますね、トンネルを掘ってそれで調べると。それで何がわかるか、疑問は疑問ですけども、このF6が活断層の場合は何か出てきた限りは何かやっぱり調査しないといけないと思いますね。それで確実に白という根拠を出さない限り多分これは再稼働してはいけないんだと思うんです。最終的には、そこにいく可能性があるという事ですね」

岩上「これは例えばこっち側に敷地の外に張り出して行ったら、この辺から何とかすればいいのかもしれませんけど、こういう物は、どこかこういう所かわかりませんが穴でも掘って横にトンネルでも掘っていくのか何か方法、今一応机上の空論であっても、方法を考えられる物があるんですか?何とか確認しなきゃいけないと仰りますけど、どうしたら良いんですかね」

渡辺「この道路に出ている所を掘り返すとか、地下からトンネル掘って断層を直接観察するとか、そういう方法しかないと思います。だったらなおさらこれを動かす事はできない。止めないとできないですね、この調査は」

岩上「これは関電なら関電がやればいいという事なんですか?それとも第三者期間、国とかそうした物がトンネルを掘る事を含めて、規制委員会なら規制委員会がやるべきなんですか?」

渡辺「理想的には、その規制委員会でやるのが多分良い、皆さんそう仰っていると思いますが、現実には、調査のプランニングをしたり人を集めたりするためには、規制委員会にその専属の研究員が居ないと多分できないです。だからこの中を全部調査をしろという事は委員会にはできないですね」

岩上「規制委員会にそれだけのスタッフは揃ってないという事ですか?」

渡辺「揃ってないですね。だから要するに最初は仕方ないと思うんですよ。その事業者にやってもらう。ただ出てきた結果をちゃんとした専門家が見れば、変なところすぐわかるはずですから疑問を持った時には、その審査の場に居る専門家の権限と予算で調査を行えるような形にすべき。それがまあ理想かなと。現実的なところではそれが良いかなと思っています」

岩上「先ほどのトレンチのここのポイントという所も関電は見逃していたんですか?」

渡辺「それが見逃しているわけじゃなくて、つまりこういうズレがあるのは知っていたと」

岩上「気づいている?」

渡辺「だけど地層も古いし地滑りだから活断層ではないと」

岩上「解釈が違ったという事ですね。だからちゃんと掘らせて、そしてそこにちゃんと行けば、それなりに彼等の言っている事が正しいがどうかチェックできる」

渡辺「すぐわかると」

岩上「やればできるって事ですね。とりあえず止めなきゃいけないはずなんですけど、何で止めなきゃいけないという結論が委員の中で出ないのか。グレーと黒とこの度合いの判断が分かれるのは、これはわかるんです。でもこれ一旦止めようと。だって調査の必要性って出てきたんじゃないんですか?皆さんの意見は『調査必要だ』って言ってますよね。調査が必要だったら止めて調査しようという事になるはずですよね。なぜそこでまとまらないんでしょう?」

渡辺「それが私は非常に不思議な所なわけですよ。我々のグループのタスクはそこにあったわけで、今の状態が白なのか或いは、白じゃないのかを言えば良いと思ってたんですけど、それではどうも済まなくて、もうちょっと確実な物を出さなければ判断ができないと。それはしかし確実な事は止めないとわからないんじゃないですかというのが、私の」

岩上「堂々巡りですね。確実な事をやるためには調査しなきゃいけない。調査をするために一旦止めて調査をしよう。本格的な調査を。ところが確実なものが出なければ調査っていうか『止めてくれ』と言えないという事なんですね。それ確実な物ってどうやって今度」

渡辺「そうですね。その通りです」

岩上「先生以外の方はどう言ってるんですか?確実な物を出すための調査を。止めないでやろうって事ですか?」

渡辺「止めないでやろうという事ですね」

岩上「どうやってやるんですか?」

渡辺「いや、わかりません。私はそれで『それができますか?』と質問しているわけですけども、まあ『やる』という事なので、やれる所までやる」

岩上「やれる所まで。やっぱりどうしても止めたくない。止めてもらっては困るという関電側、或いは、国の意志。それを学者の皆さんも受け止めて忖度してそれを代弁しているところがおありなんですか?」

渡辺「それ言われてもしょうがないですねと申し上げてるわけです。そういう事を排除して科学的に、これは白かそうじゃないのかを言えば良いと言われたんだけれども、皆さんどこかひっかかってますよね」

岩上「そういう話し合いはしている?」

渡辺「いや、話し合いはしてない。その場で私が言ってるだけですけど暗に」

岩上「ああそうですか。それで皆さんはどういうふうに」

渡辺「他の所で話し合いをしたら怒られるんですよ。あの公開の場にいきなりやってきていきなり意見が出てくる」

岩上「なるほど。他の皆さんは、それに対してどんな反応なんでしょうね」

渡辺「『やっぱりこの状態で活断層があるって事は言えない』と、だけどそれはそれでいいんですよ。そうかもしれない。だけれどそれを言えば良いはずの委員会でその先なぜ調査が必要なのかって事を私は問いかけているわけですが、まあ答えは返って来ない」

岩上「返って来ない?黙ってらっしゃる状態」

渡辺「何度尋ねても『今は決められない』と仰るわけです。決めなくて良いと私は思うんです。グレーと言っていた事で充分ではないかと」
(50:09)

岩上「そうですよね。大飯の事はもうこれで大体お話わかるような状態ですよね。あの実は先生の論文を読まさせていただいてこんな論文があるんですね皆さん。これ“科学”という雑誌。“活断層とは何か”『原子力関連施設周辺における活断層評価への疑問』というあの、論文なんですけれども、これ書かれたのが2007年ですよね。

 これが凄くあの何というか情熱的なはっしょにあふれた論文で、2006年の夏以降幾つかの原子力関連施設周辺において活断層評価の問題点を検討してきたという事でいきなり出てくるのは、例えば中国電力の話だったりとか、それからあの色々な原発、柏崎刈羽の話だったり大間だったり六ヶ所だったりするんですよ。つまり先生は大飯だけやってらっしゃるわけじゃない。大飯の事だけじゃなくて日本中の原発について実は危険なポイントもあるんじゃないかという事を仰ってきて、ちょっと順を追って教えてもらいたいなと思うんです。どこの原発がどのような状態にあるのかと。今島根が出ましたけど」

渡辺「島根が実は発端なんです」

岩上「発端?」

渡辺「私は生まれは新潟県上越っていう所で柏崎刈羽の隣。そこある事は知ってましたけど、恥ずかしながら2006年まで疑問を持った事は一度もなかった。さすがにその原子力ですから、ちゃんとした専門家が調査をしてちゃんとした専門家が正しく評価をしていると思ってきたんです。ところが広島大の中田先生に誘われて、島根原発のここの活断層調査に行った途端に凄い事起こってるとわかりました」

岩上「凄い事?」

渡辺「凄い事ですね。とんでもない事が起こっていると」

岩上「どういう事ですか?」

渡辺「例えばこの四角の中のクローズアップですけども、ちょっとアニメーションにするとわかると思うんですが。これが中国電力の国の評価で、もしかしたら活断層かもしれないけど、多分違う。これは活断層ではないと。これが評価、最終評価なんですよ。

 それでちょっと辺なのか出てきましたけど、私はこれを見た時に何を書いてあるかわからなかった。それでこんな図は見た事がなかったもんですから」

岩上「僕ら何が何だかわからないんですけど」

渡辺「それで読んだらですね“リニアメント”という事をやってる」

岩上「リニアメント?」

渡辺「読んでわかると思いますが直線。定規で書いた直線なんですよ。それで『断層は直線だ』という変な定義なんですよ」

岩上「ほう」

渡辺「だからこれも例えば、こうやってつなげてくれると私達にもわかる。断層がこうありますよ。ところがここからこうつなげるためには曲げなきゃいけない。曲げると断層ではないと」

岩上「それは正しいんですか、正しくないんですか?」

渡辺「正しくないです」

岩上「確かに、曲がってる断層もあるんですか?」

渡辺「いっぱいあります」

岩上「さっきもありましたね。さっきのも曲がってましたね」

渡辺「こんな基準はどこにあるんですかと。土木学会にその基準があった」

岩上「土木学会?」

渡辺「ええ、それで驚いて、私達が普通に変動地形学、川が全部直角に曲がっている。こういうのを頼りに活断層を引くと、まあこうなりますよと」

岩上「へえ、屈曲した河や谷(右ずれ)全部ざっとこのように曲がってますね。これもこう曲がってますよね。まあクランクですよね車で言えば。ああ、それを引くと実は断層はこういうふうにあるはずだという事が見て取れる」

渡辺「そうです」

岩上「こういう事を言わば断片的な証拠からその全体像を見つけ出すっていうのが変動地形学なんですね」

渡辺「はいそうです」

岩上「そういう事なんですね。土木の先生方は、この部分部分だけを指して『直線ですよ』と」

渡辺「多分土木の先生というよりは、恐らくその」

岩上「土木学会の先生ではなくて」

渡辺「原発を作るんだというその意志の下にそのこういう変な物を作ったんだと思うんですね」

岩上「それは、リニアメント調査っていうのは、何を意味するどこの言葉、用語なんですか?」

渡辺「まあ地質学でも使うんですが、真っ直ぐな物を“リニアメント”というですけれども、活断層が真っ直ぐだと誰も言ってない、そんな事私は聞いた事がない」

岩上「なるほど、それをまあ言ってみれば乱用したんですね。“リニアメント”という言葉を乱用して」

渡辺「そうだと思います。話は飛びますけど、2006年の時に大問題になって後ほどご紹介します。それで“リニアメント”という言葉は、今なくなったんですよ。ところがですね『リニアメント調査ではなくて変動地形調査にしろ』と指針で変わったら、報告書の“リニアメント”というところが全部ワープロで“変動地形学”に置換されただけです」

岩上「中身は同じなんですね」

渡辺「中身は同じなんです」

岩上「それはやってる事は、事業者がやっているんですか?」

渡辺「事業者もやってますし」

岩上「中国電力なんですね?」

渡辺「中国電力がやってますし、正に今わかりませんけど、それを指導してた専門家が居るという事」

岩上「なるほど」

渡辺「『こうやれ』と』

岩上「これ凄く怒ってるんですよね。専門家の1人は『逆側を結べば色々な物が出てくる。それが地形判読である』と発言している。『これは河川は低所から高所に流れても良いのだという驚くべき見解である。我々の研究分野を侮辱する発言として体が震えるような怒りを覚えた』これ凄いですよ。

 論文でこういうの読む事そうそうある事じゃないから、よほどお怒りになられたんだと思うんですけど『電力会社側の不適切なリニアメント判読と共に審査するカギカッコ付きの専門家の能力に大きな疑問を抱く事になった』これ能力の不足なんですか?それとも倫理の不足ですか?」

渡辺「両方だと思います」

岩上「両方ですか。学問的良心がないという」

渡辺「例えば今のお話はこういう事なんです。中田先生が書かれたこう河が曲がっている。それでこうやって結べば、まあずれになるけど、私が見てもいくつかの違いの引き方ができて、こんなもんだと地形判読は。

 この事は何と仰ったか。というとですね。(デタラメは言わないで))断層があると、河があると。こう結べばこう曲がると。だけど逆も結べますよと言ったんです。これが如何に破廉恥な事か。なぜかというと、これこう結ぶんですが、こう結ぶためには山を越えないといけないですね」

岩上「そうですね。高低差が元々あるから高低差が逆になる。それで低所から高所に流れても良いんだという。そんな事あるわけないだろうと」

渡辺「あるわけないですよね。これが地形判読だと言われてしまうと」

岩上「自然の流れはこうやって流れていくわけですね。ところがこの流れがこういうふうに流れるのが自然だけども、ここへ止めるんだとむちゃを言うわけですね」

渡辺「そうです。だから起伏が全然わかってない。線で見ているから全然地形の事はわかっていないと。そんな事があり得ますかっていう話をしたんです。それでまあ、専門性いい重大な疑問があると」

岩上「まあこれは、この先生は面倒くさい事を言ってもらっては困るために物凄い研究深いというか強引な事を言ったんじゃないですか?どうなんでしょ」

渡辺「私はこの先生はまだ罪が軽いと思っていて、多分何も知らなくて、まあはっきり言って厚顔無恥だと思いますけど、その先生は今も期待されているから……だから良いっていうわけじゃないですけど。問題は活断層の専門領域に非常に近い所に居る方が意図的に見逃しをしてきていると」

岩上「意図的にですか?」

渡辺「はい、意図的としか思えないですね」

岩上「これはもう怒りの連続の論文ではあるんですけど、まあさっきのは島根の話ですよね。島根の問題というのは、今度実は島根は注目されていて、原発の新設が今止まっていたのを再開する事になって」

渡辺「MOXの奴ですよね」

岩上「それの3つの内の1つでよね。これ宍道湖というのがあって、それで宍道湖の宍戸断層って言うんですか?」

渡辺「宍道断層。地質学的には“宍道断層”といって活断層の部分は“鹿島断層”といってるんですが」

岩上「ああそうなんですか?同じなんですか。鹿島断層とこちら宍道断層というのは、どういうふうな関係があるのかと思ったら同じ事なんですね」

渡辺「同じですね。ほぼ同じです」

岩上「これですよね。そこに原発がある。ここに起きるとこれはどういう影響を受けるであろうと予測されるんですか?」

渡辺「そこがですね。私達の専門から逸脱するんですけど、私達が言えるのは、これだけしかないと。『そんな事ない、もっと長いでしょう』と『起きる地震が大きいですよ』という事を指摘して今この辺まで来て22キロになっているんですよ。そこで今止まっちゃっているんですけど、多分もっと長いんじゃないかと言っている。もうこれは調査の仕方が間違っているので、例えばここである調査をやって、もうこっちにありませんという事を言っているんですが、本当にないかも知れませんが調査方法が間違っている」

岩上「調査方法が間違っている。これはこの断層の長さが、長短がどのように影響するんですか?長いと」

渡辺「長いと経験的には起こす地震が大きいんです」

岩上「大きい?なるほど」

渡辺「それは私達言えるんですけど、それが島根原発にどういう影響を与えるかという事になると工学的な話になるんですね」
(01:00:41)

岩上「これ直下に断層が入っていたりという事ではない?」

渡辺「今のところはないようです」

岩上「なるほどね。ただ非常に大きな断層なので、しかももっと長い可能性があって大変大きな地震になる可能性がある」

渡辺「そうですね。まあちょっと専門外なんであまり言っちゃいけないかもしれませんけど、これ驚くべき事は、島根を建てる時には『断層がない』という事で建てたんです」

岩上「さっきみたいな強引な解釈があって」

渡辺「ないって言ってたって、それが順々に長くなったんですよ。2キロ8キロ10キロ22キロ」

岩上「めちゃくちゃですね」

渡辺「元々『ない』という事で建てていて、それでここまできても『計算上大丈夫です』と言われているわけですが、まあ、素人ですけど、にわかには信じられない」

岩上「なるほど。断層の値切りっていうんですか?この『短いですよ』というのは」

渡辺「値切りっていうのは、つまり誰が値切るかというと事業者が値切ると。『こんな短い断層は地震が大きくなるからかなわん』と。『もっと値切りませんか』というと審査している事業者が『わかりましょう負けましょう』と」

岩上「それでやられちゃかなわないですね。なるほど。これはやっぱり島根原発の問題?」

渡辺「そうですね」

岩上「他にも問題のある原発がありますよね。いっぱいありますよね。そもそもその原発の、これ原子力保安院が出した物なんですけれども、9月7日に出した物なんです。ちょっこ書き込みをしてますけど、1つグルエードを決めているんだと思いますね。一番『敷地内破砕帯の最近の活動可能性の有無について追加調査を求めた物』それで敦賀があり、東通があり、志賀があり、美浜があり、もんじゅがある。

 この5つに関しては、ちょっともう追加調査しなきゃいけない。ちょっとお訊きしたい。敦賀の話なんかね。

 二番目『意見聴取会において活動性がないという意見が多かったが念のため追加調査を求めた物。それに準ずる物だと思うんですが、そこで大飯。だからカテゴリーで言えば大飯は二番目に当たるという事ですよね。

 それで三番目『追加調査指示を行う必要はないが、敷地内の活動性を判断するには情報不足で、引き続きデーター拡充に求める物』追加調査指示を行う必要はないと言ってる中に柏崎刈谷とか浜岡とか六ヶ所とか高浜とかあるわけですね。それで六ヶ所とか柏崎とか大変。それから浜岡とかですね。大変懸念されているところがまあ言ってみればカテゴリーの三番目に挙がってきて。

 その他四番目。『現時点で特に問題となる物ではなく、引き続き情報収集に務める物』といって泊だとか、福島第一、第二、女川、川内、玄海、伊方、島根、東海第二とかあるわけです。千性がこれ2006年に仰天したと。一番初めのきっかけになったというのは島根で、それはもう『何も問題となるものはないけれども、まあまあ情報があればそれは挙げてくださいよ』というような中のカテゴライズなんですね。

 これ先生、危険。問題なんじゃないかと思われているわけですよ。そういうと上の5つどころか、まあ大飯が二番目に入ってくる。これ全部問題が本当はあるんじゃないかって話になりますよね」

渡辺「はい」

岩上「どうですか先生。これ向こうのこの保安院の。もう保安院はなくなりましたけど、このカテゴライズと言いますかどうお考えですか?」

渡辺「これは、甚だおかしい分類だと思っています。それで一番の二番は敷地内にどうも活断層がある、まあその可能性があるというふうな分類で、大飯はどちらかというと『ないんじゃないかな』と思っていたわけですが今回であれば出てしまいました。それで一番に関しては私は全部駄目だと思うんです」

岩上「全部駄目だと?」

渡辺「ええ」

岩上「ちょっと聞きたいですよ」

渡辺「つまり重要施設の下に活断層があると思うんです。それはもう稼働してはいけないと思います」

岩上「三番、四番というのはどうですか?」

渡辺「三番、四番の内ですね非常に複雑な話が浜岡と六ヶ所ですけども、これは今までお話してきたようなちょっと岩盤がずれて建物が壊れるっていうレベルではなくってもうちょっと大きな事が起こる活断層を見逃していると」

岩上「それは余計大変っていう事じゃないですか?」

渡辺「余計大変です」

岩上「『追加調査指示を行う必要がないが』では駄目ですよね」

渡辺「かつての保安院と安全委員会は私達の指摘を全部無視してきたわけですよ。それで唯一私達が指摘してきた、ああ2つか。指摘してきた事を『その通りでございます』と言ったのは島根と敦賀です。その他は全部否定しているわけです」

岩上「むしろ危険であると。こっち側は全部危険だと、こちらもっと危険であると」

渡辺「もっと危険であるという意味は、すぐにでも地震が起こるとか、そういう意味ではないです。地震が起こるかどうかわからないですけど、その問題にしている活断層が動いた時の影響を考えた時に、特に六ヶ所再処理施設は大変な事になると、そう思ってます」

岩上「全部ご紹介いただけないかもしれませんけど、先生が見てこれはちょっと個別にお話しても良いと思える物があったら是非教えていただきたいと思います」

渡辺「まず今のところ。現段階の僕の見解のところですけど、活断層を考えなくて良いのは玄海だけだと。その他は近くに活断層があって大体値切られていると。よって耐震性が充分かどうかっていうのは問題であると。

 結果的に大丈夫になるかもしれませんけど、今のところ問題があると。その他に地盤がずれてしまった奴のリストがこのこれなんですけど、この中で敦賀、浜岡、志賀、東通、六ヶ所は、私は確実だと思って。だからもうこれは駄目だと。

 それで美浜ともんじゅは疑いが濃厚だと。大飯はよくわからなかったんですけど、まあもっと調査しなきゃいけないっていうのが今回わかって。

 それでこの中で、何を僕らが心配しているかというと、これはちょっと映像を見てもらわないとわからないかもしれないです」

岩上「見せていただきたいです。貴重な機会ですから」

渡辺「例えば先ほどの、これは大飯とか敦賀で問題になったタイプです」

岩上「これは国は外国の物ですね」

渡辺「台湾です。それでこれだけずれてしまうと、これが壊れてしまう。それで実は、パキスタンの地震の時に出てきたんですけども、ここで2000人が亡くなっている。2000人が亡くなっていると言われて、僕はちょっと意味がわからなかったんです。どこにそんな人が居るんですか。これは自身の前の写真も手に入れられてこれを復元するとこうなるわけですよ。」

岩上「ああ」

渡辺「高級住宅街があったんです」

岩上「さっきは何か全然人が住んでない所かと」

渡辺「何が起こったかというと実はここに活断層があって、これが地震を起こしたんですが、ここでずれが起こった。それで正にこの上だとさっきみたいにペキッと折れたりするんですが、これはこの断層の堺の向こう側が隆起をして少しこちら側に倒れこんできていますね。そういう広い範囲でずれるという事が起こったんですよ」

岩上「その同じ水平さと言いますか、それを保ったままずれるとは限らずずれた時に途中が傾斜してしまう事がある」

渡辺「倒れこんでくる事があるんですね。それでその結果が、被害の非常にはっきりたコントラストが出てきた。ここが高級住宅街ですよ」

岩上「建物が崩れたわけですね」

渡辺「それでこっち側はどちらかと言えばあまり丈夫じゃないですけど、だけど結果はてきめんで、これが残っているわけですよね。これでも全壊になるわけですね」

岩上「これその後の瓦礫を片付けた後みたいな状態になっちゃっているわけですね。ここに建っていた建物は密集して建っていた物は皆崩れちゃった。手前に崩れちゃったわけですね。ああ、こんな事になる」

渡辺「こういう事もここではこうずれるんだけども非常に広い範囲でなる事があると。それが、例えば、あまり専門的な図を出してもしょうがないので」

岩上「今日は皆一生懸命勉強したいと思っていると思いますので是非教えてください」

渡辺「六ヶ所の再処理施設なんですが、昔の平らな海底があるんだけど、それが逆断層で倒れこむような事になって、それで何回も起こって30-40メートルずれているんですが再処理施設はここに建っていると」

岩上「これが“撓曲”(とうきょく)と言われる物なんですね。この間青森に言ってきたばっかりなんですけれども」

渡辺「先ほどのパキスタンのの地震で皆バタバタ倒れましたよね。あれの一番上にあるような物だと。それを心配しているわけですね」
(01:10:28)

岩上「たわみ撓曲っていうのは、ここのカーブの事を指してるんですね」

渡辺「そうです」

岩上「だから丘の斜面のような状態。でもそれが単なる起伏単なる丘とはちょっと違って断層があってその結果起きてるかっていうのは調べないとわからない」

渡辺「そんなに急じゃないから家が建っていたわけですよね。ここもそんなに急じゃないですよ。だた断層の時にこういう変形が起こる所ですね。その上に建ってしまっている所が一番最も心配だと」

岩上「これは既にある程度のこの撓曲というかたわみというかこの起伏が生まれているという事は、既に力が加わって歪むという事が何度か起きてきた」

渡辺「もう何度も起きてきてます。間違いないです」

岩上「履歴って事ですね、それが。12万5000年前に平坦面が形成されて海が覆って、でもこういうふうに部分的な隆起とこっち側に逆に凹む力と上がる力がぶつかり合ってる」

渡辺「先ほどパキスタンで全壊だったのはここだという事ですね」

岩上「なるほど」

渡辺「元々棚だった物が曲がっているという。これ非常に心配してます。それで原燃さんの言い訳はいいんですけども、ここで私達が指摘した断層です。それで土地が曲がっていると。それで問題は、これですよね」

岩上「これが続いているかも知れないって事ですか?」

渡辺「続いています。これ絶対続いていると思いますけど」

岩上「ほう」

渡辺「これが有名な断層なんですけども、保安院とか原燃さん達は『これは活断層でないぞ』とずっと言い続けていますね。ところが無理があって、これは活断層と認めているんですよ。これも活断層と見つめているんですよ。連続している物をね、一部だけ活断層というのは非常に不適切だし」

岩上「これ活断層か活断層じゃないかっていうのは、その最近12万年前とかに動いたか動いてないかで決めてるんですか?それともそれ以外の何か定義の違いが」

渡辺「いいえ『12万5000年前12-13万年前以降に動いてない』と彼等は言っているんです。ところが例えば2007年の中越沖地震を起こした活断層は、彼等の調査方法では見つけられてないわけですよね。つまり“音波探査”っていう方法ですけど非常に重要な方法ですけども、船から音波を出して地下を調べると。それで見つけられない活断層があるっていうのに2007年に学習してるんですけど、依然として『ない』と。

 それでもっと深刻なのがここで安全委員会の中の委員がはっきりと『活断層だ』と最近発言してるんですね。まあ最初黙っていた方なんですけど、やっぱり最近発言をかなりして」

岩上「どなたですか?」

渡辺「池田さんっていう方で」

岩上「池田さん?はい」

渡辺「これはどう考えたって活断層として」

岩上「これは先ほど島根の所でね、長さが問題になるんだと、ぶつ切り。『この東通の沖にはないよ』と安心させる事でもあるでしょうけども、六ヶ所にはもうあると認めてるし、そこがこう全部つながってると、これえらい、あの動いた時には」

渡辺「その通りです」

岩上「大きな、地震に」

渡辺「それで多分起こってみないとわかりませんけども、経験的には、これ100キロを超える大断層ですので、経験的にはマグニチュード8を超えてくる。そこでここで今想定している地震は6.8とか6.5ぐらいですから、何と地震エネルギーは100分の1に値切っていると」

岩上「100分の1の値切り?なるほど。6.8実際には」

渡辺「8.いくつになるか」

岩上「とんでもない物ですね」

渡辺「とんでもない値切りがあると同時にこのずれの効果を全く考えていないと」

岩上「ここ大間もありますけど、大間の近辺では危険はないんですか?」

渡辺「あります。私達はこれ絶対活断層だと言っている」

岩上「その調査は船を出す以外に手はないんですか?船を出して音波探査。さっきの」

渡辺「それはもう明らかで、大間の方は、元々水平だった海岸線の高さですね、12万5000年前の海岸線の高さがここ60メートルなんですが、ここ20メートルになってます。これ北ほど隆起して南はあまり隆起してないって事ですよね」

岩上「ああ、そういう」

渡辺「こうやって隆起をしているという事。そしてこの大間崎の所ですけど、ここにですね地震の時に干上がったと思われる典型的な地形が見えると」

岩上「ベンチというのはさっき言った波が削っていった所なんですね」

渡辺「それが突然隆起してきたというまあ典型的な地形なんです。だからここの所に地震の時に隆起してきた地形があって元々の同じはずだった海岸線がこんな事になってるわけですが、これ常識的には活断層を考えられた方がいいですよ」

岩上「隆起してきている、この活断層。これとの関係性がわからないんですけど、こっち側隆起していると。ああ便利なのが出てきましたね」

渡辺「こういう形で活断層があってここで地震が起こった時に突然隆起をすると。それでこういう形をしてますからこっちほど高くなる」

岩上「こっち側がずれ上がってくるんだ。そしてこっち側が下がってきて、それでこう上がってきて、めくれるように大間の岬の方から高くなっていく。それで既にこれだけ隆起しているという事は起こり続けてきた」

渡辺「ずっと起こり続けてきてます。何とこの40メートルってこれですけれども日本最高レベルですね量的には、凄い量です」

岩上「そうですか。隆起してきた量というのは」

渡辺「傾動量とか、傾きの量とか」

岩上「傾きの量?日本最高レベル」

渡辺「10キロで10メートルっていうのは多分日本最高だと思います」

岩上「それだけ、まあ言ってみればエネルギーが大きいという事ですかね」

渡辺「はい。非常に活動的だという。それで深刻なのは、その専門家と称する方々はそのバックチェックの時に何も気づいてない。そこに。元々同じだった海岸線の高さが違うとかこういう地震の時に干上がっている地形が見えるとか全く気づいておられないわけですよね」

岩上「それ地震学の先生だったんですか?」

渡辺「いや、地質学関係でしたけど」

岩上「これも能力の問題と良心の問題と両方ですかね」

渡辺「この場合は能力だと」

岩上「これえらい事ですね」

渡辺「えらい事です。これちょっと念のために申し上げますけど、私は『大間を作るな』と言っているじゃないですよ。こういう活断層を無視して小さい地震歯科想定してないからちょっと困ると言っているわけです。これちゃんと取り入れていただいてM7.5とかそのぐらいの地震に耐える物を作っていただければそれはいいなと思うんですよ」

岩上「さっきの先生の暫定的な前提によればの話ですよね。なるほど。でもそれは想定されていない」

渡辺「全く想定してないです」

岩上「これは津波の可能性もあるんですか?」

渡辺「津波もありますが地震も大きいと思いますね」

岩上「これさっきの東通、それから六ヶ所は大変な事ですよね。特に六ヶ所は他の原発とわけが違う。再処理工場ですから、地震これドカンとあるとフランスでかつて再処理工場で事故が起こって大変な状況になりかけた。まあ未遂で済んだんですけど。北半球壊滅するとまで言われたんですよね。これ何ていうんですかね1万キロとかに亘っての大被害とかになると日本列島終わっちゃうんですよね。日本列島だけじゃなくて周囲の国々も終わっちゃう」

渡辺「世界の話なので、それで先ほど申し上げましたけど、どこで地震が起こるか何ていう事は言えないけれども起こる被害を想定した時に、起こりうる、起こりそうだという被害を想定した時に一番深刻なのはここだと」

岩上「ああ、なるほど。なるほどって言ってられないですね。東通り六ヶ所も。ここは特に目の前にあり。これはどうしたら良いんですか?」

渡辺「私は素人だからわからないところがありますけど、どうしても必要ならば移すしかない」

岩上「再処理工場自体がどうしても必要ならばここに置くなと」

渡辺「ここは駄目だと」

岩上「ここを耐震性を強化とか、ここは多少何か作り変えればできるかもしれないけど、ここは絶対無理だと?」

渡辺「無理です。それは無理なのでどこかへ移す。それが可能かどうかっていう話しはありますけれど」

岩上「又、それを必要かどうか。受け入れてくれる場所があるかとか全然別の問題だし。それは別途の議論ですけど、ここはとにかく駄目だと。ここも危ないんですね」

渡辺「東通も敷地の中に活断層があると。例えば東電が作ろうとしていた原子力のこれだけ断層がある。それで彼等のデーターだけ見るとこれはどうも活断層」
(01:20:16)

岩上「敦賀、東通、志賀、美浜、もんじゅがある可能性あるわけですよね」

渡辺「そうですね」

岩上「後、危ない所ってどこなんですか?」

渡辺「後、同様に六ヶ所と同じように怖いのは浜岡であると。ここにですね大きな坂道を作る巨大な奴が居るんです。これですね。ちょっと視聴者の皆さんにわからないんですけど、これで見て」

岩上「これで?」

渡辺「左が赤で」

岩上「あ、隆起が見える、凄い本当だ。こんなに段差があるんですか?」

渡辺「そうです」

岩上「触ったら凸凹が見えるぐらいの。ここ凄く凹んでますよね。ここが凹んで、ここが浮き上がって」

渡辺「問題はこいつですけども、こんなここ坂になってますよね」

岩上「ここガーッと」

渡辺「問題はここ河が流れる時にこんなふうに流れるわけないです。上流に向かって流れるわけないです。だからこれ元々は平らだったんですね。平だから河が蛇行していって、その後で目に見えて隆起してきたというわけです」

岩上「こうやってこっち側に上がるわけがない。上がるわけがなくてこっち側も要するに斜めになっていたんだけど、要するに隆起してきちゃったってわけですね。はあそうか」

渡辺「それでこれの延長がまともに浜岡にぶつかっていくという。浜岡はここですね」

岩上「これを起こしているのは、これなんですか?どれなんですか?この辺りなんですか?これなんですか?」

渡辺「ちょっと外してください。これが今見ていただいた奴です。それで同じ幅で浜岡の所ですね。傾いてきている」

岩上「ああ、傾いてきているんですね」

渡辺「さっき上に乗っていた」

岩上「断層でね、下の所に位置する」

渡辺「まあこれも異論はたくさんあるわけですけども事実関係としてこういう物が見えているので、当然これは考慮して欲しいと。私はあると思いますので、これは浜岡は動かしてはいけない」

岩上「これも又本当にじゃあ止めるのか止めないのかってやるためには、再調査が必要何ですか?確認のための調査」

渡辺「今の状態で調査するのは良いですけれども」

岩上「要するに止めた状態でね。止めたままで」

渡辺「止めたから良いって物じゃないですけども、だけど私はこれあると思いますので、個人的は再稼働は絶対に認めてない」

岩上「後は、どこですかね?どういう所が危険ですか?」

渡辺「後は、つまりどこで地震が起こるかわからないというか後で言えば、断層が近くにある断層が動いた時に大きな被害が想定できるのは、そのずれが起こる所だと。そうすると先ほどのこの色の」

岩上「やっぱり気になるのはここだと思うんです。全部気になりますけど、ここが、特にもんじゅはやっぱり一旦被害が起こったら大変大きな事故になるんじゃないか。それから敦賀は今度やりますよね調査。敦賀の調査に先生まだ入ってないというふうに聞いたんですけど」

渡辺「『私に声はかかっていない』と言ったらいけないんですよ」

岩上「『声がかかってないと言ったらいけない』?」

渡辺「『かかっている』と言ってもいけない」

岩上「それは内緒っていう事ですか?わかりました。これは内緒です。何か入ってないというふうに報道されていたので、それはじゃあ内緒ですね。わかりました。それじゃあまだ内緒。ちょいこの辺りを教えてもらえますか?大飯の話を聞きたいんですけど」

渡辺「美浜、もんじゅに関しては、ちょっと具体的な物を持っているわけではないのですけども。例えばこれもんじゅなんですけども、もんじゅの原子炉の中にやっぱり破砕帯がいっぱいあるんです。これ色ついたのが断層ですよ」

岩上「これブルーとかグリーンとか関係なく全部色がついた物は断層だと、破砕帯であると」

渡辺「ここの色がついた所断層なんですよ。それでこう読むと全部柔らかい粘土が入っていて、ちょっと力が加わったら動きそうな物ばかりなんですよね。それで近くに大きな断層もありますので、やっぱりつられて動く可能性が凄く高いのではないかと思います。

 美浜もちょっと全体図がないんであれなんですけど、3つ原子炉があって、こういう奴ですね。これが非常に新しく動いていそうな物ですけど」

岩上「ここ破砕帯?これが破砕帯とは言っているけれども、事によっては活断層」

渡辺「活断層の可能性がある?」

岩上「可能性がある?まだ活断層かそうでないかっていうのは定まった事は言えない。調べる必要があるという事ですね」

渡辺「それは調べる必要があります。僕は疑いは濃厚だと思います」

岩上「これ1号炉と2号炉の間じゃないですか?こんなの動いたら凄い危険ですよね」

渡辺「こんなの物もありますから」

岩上「3号炉、敷地内にいっぱい通っているんですね。敷地内に通ってる物はとりあえず止めないと駄目ですね。という事ですね」

渡辺「とりあえず止めて」

岩上「それが敦賀、東通、志賀、美浜、もんじゅ、大飯、ここまでもう絶対確定だと」

渡辺「大飯はだからあの私の個人的な意見として今疑いが消せなかったという事なので本格的な調査が必要と」

岩上「なるほど。ここはさっきの六ヶ所、或いは、浜岡を見せていただきました。これは単純な話じゃなくてもっと逆に言うともっと深刻かもしれない」

渡辺「深刻だと思います」

岩上「柏崎刈谷はどうなんですか?」

渡辺「柏崎刈谷は敷地内にも何かありそうなんですけども、あそこは問題は海の活断層を認めていないという事で、やっぱりもう1回近くで同じぐらいの地震が起こる可能性が残っているんですね、凄い近い所で」

岩上「中越地震があったばっかりですね。あれよりももっと規模の大きい地震が起きるとか。怖いですね」

渡辺「同じか。全部そういうのをこう。ちょっとないですね」

岩上「先生凄いこう作られてきたんですね」

渡辺「すいません、すぐちょっと出てこない」

岩上「ああ、いいですよ。それはもう何でも言えば何でもすいすい出てくるなんてそんなね。何かちょっと甘えてるんですけど。ああでも中越ありましたね」

渡辺「これはあまり良い奴じゃないです。要するにここに断層がずっとあると思っているんですけど、ここしか認めてないと」

岩上「これ佐渡ヶ島ですね。こっち新潟県の側で、ここに海の盆地なんですか?海盆って言うんですか、佐渡海盆。ここ凹んでるんですかね」

渡辺「ちょっと思い出しましたどこにあるか。学会発表した奴。要するにこういう事を言っているんです。これが柏崎刈谷です。2007年の中越沖地震を起こしたのはこれなんですけども、ここでここしかないというんです。どう見てもつながってる」

岩上「この地形に沿ってつながっているわけですね」

渡辺「どうしてこれがないんだと言うんだけども『ない』と言うわけですよ」

岩上「これ先生が考えるだに、これつながってこっち側までいく」

渡辺「当然こうですよ」

岩上「あるいはぐるりと」

渡辺「それはないです、これはこの辺で終わりで、こっちはこっちの断層だと」

岩上「別の断層なんですかそれは」

渡辺「だから一番影響を与えるのはこれだと思うんですよ。それで何でここで切れるんですかと。それがわからないと。何回も申し上げるんだけど、とにかく『ない』と」

岩上「これは何の調査を行えば確定できるんですか?」

渡辺「それは音波探査やっても見えないわけですから、この断層自体音波探査で見えないわけですよね。でも地震を起こしたわけですよ。だからもう地形でやるしかないと思うんですけども、中々地形の事を認めてくださらないと」

岩上「なるほど。地形から推察してこれは断層であると。それで判断がつくんだろうと」

渡辺「だってここに断層がある事を認めていて、その断層でここの崖ができてるわけですよね。その崖がつながっているのに断層がつながらないって理由がないですよね。断層は原因で崖は結果ですよね。結果が連続するのに原因が途中でなくなるというのはどういう事ですかと」

岩上「合理的な説明はないとそれに対して。因果関係はあると。これがもし断層だという事になると直接的にはもうここは影響を被るだろう。もしくは対策を相当しなければいけない」
(01:30:14)

渡辺「そうだと思います。この間2007年ここで6.8、7ぐらい起こしましたよね。同じぐらいの規模の地震がすぐ近くで起こったわけですから、ここは次に起こりうる場所として想定できるわけですよ。それを非常に心配しているんですけど、まあ中々取り入れてはくださらない」

岩上「大変ですね日本。高浜もありますが」

渡辺「高浜は、私はそれほど危険だと思っていないです」

岩上「なるほど。後その他扱いされてる中に泊、福島第一、第二、川内、玄海、伊方、島根、東海第二とあるんですけど、この中でコメントする必要がある物ありますか?」

渡辺「泊ですね」

岩上「泊?」

渡辺「泊はここですけど、これ海底ですよね。これ断層を認めていて全部つなげて地震起こしても大丈夫ですと仰ってます。しかしですね問題はこの積丹半島っていうのはずっと隆起をしているんです。それでこの活断層では積丹半島は隆起できないです」

岩上「ああそうなんですか」

渡辺「この部分を隆起させるには、地震性隆起の場合もあるし、やっぱりこういう活断層が必要ですと私は言っているんですね。これが動かないとこれが隆起しないと」

岩上「先ほどのようにこちわ側が沈んでいって、こちら側が逆に跳ね上がっていくような。そしてこの盛り上がっていく。それをこの辺りにしか想定しえない。これはない事になってる。全く見つかってないという」

渡辺「全く認めてないですね」

岩上「地形から想定ができるんですね」

渡辺「できます」

岩上「これがあったら、これは相当大きな地震が想定できる。それがこれですか?」

渡辺「そうですね。計算上はそうなるという事です」

岩上「これ今、泊も再稼働問題で北海道の人がですね大変心配してますし、反対の声を上げている人達も居ます。それに対して北海道の高橋はるみ知事は再稼働を進めるっていう事で、まああれ再稼働の内に入らなかった、扱いになっているのかもしれませんけど、この問題は共有されているんですか?想定される見つかっていない活断層の可能性についてこの泊で賛否があれど共有されてるんですか?」

渡辺「いえ、全く無視されて。『活断層その物はない』と言っているんですね」

岩上「じゃあご存じない、この状態を」

渡辺「もしかしたら知事はご存じないかも知れません。ただまああの、そこで反対運動されている方の中にきちっとした人がおられて、こういうのを取り入れてアピールされてますので、まあどこまで届いているのかわかりませんけど」

岩上「やっぱり日本列島というのはことごとく活断層に囲まれているんですね」

渡辺「活断層多いです。多いですがない所もあるんですやっぱり」

岩上「そうなんですか?」

渡辺「玄海とかね」

岩上「玄海は、それはない?」

渡辺「ええ。だから探せば私はあると思います。ただ今の54機も作れるかどうかわかりませんけれども、前提ですよね。揺れは工学的に耐える事ができる。津波だって防潮堤をやれば耐える事ができる。だけどずれは駄目だと」

岩上「ずれは駄目?」

渡辺「そのずれを回避して建てられる所は多分あると思うんです」

岩上「どこですか?逆に。ここは駄目あれは駄目じゃなくて、ここならOKと。変動地形学的にOKという」

渡辺「それはもう三陸海岸のある部分とか、そっちの方だと思いますね」

岩上「そうしてみるとね、そこに作れって言ってるみたいになっちゃうとかね、言い方気をつけなきゃいけないですから。そうですか、三陸、でも地震津波の巣っていう感じがするんですけど」

渡辺「あのだから地震も来ますよ、津波も来ますよ。でも工学的に対応できると仰るわけだから、それは丈夫にお金をかけて作っていただければ良い」

岩上「でも断層はそうはいかない?」

渡辺「断層はそうはいかない」

岩上「なるほど、わかりました。これから先なんですけれども、本当に超党派の熱心な議員が居て、市民の盛り上がりがあって、知識人が声を上げてそれでやっと例えば大飯についてはですね活断層調査っていうのが行われる事になったわけですが、他の地域。このままいけば事業者、国は原発推進したいと思っているの変わらないと思うので、そうしますと次々再稼働していくんではないかという事を憂慮されるわけですけど、どこから手をつけてどのようにしていったら良いんですか?日本全体を見て」

渡辺「基本的には活断層が敷地の中とか建物の下にあるのは絶対駄目ですよと。それは何があっても認めない。それ以外であれば、ストレステストは当てにならないのでちょっと止めて、もう既存のデーターをバックチェックして、バックチェックをしっかりもう1回やり直してください。

 それでどうもこれだけ活断層あるのにこれだけしか見積もってないというを正しく見積もって、そこから起きる地震があるという事を正しく評価して、それで耐えられる物が作ってあれば、そこから再稼働して良いんだと私は思います」

岩上「なるほど。先生ストレステストは当てにならない。それでバックチェックの方が大切だと言った。ちょっとそこのご説明をください」

渡辺「例えば、先ほど六ヶ所の話をした時に何と地震のエネルギーが100分の1に値切られているわけですよ。100分の1に値切った状態から『2倍ぐらい余裕度を見ました』といってもしょうがないわけですよね。その元々が値切られ過ぎてるから」

岩上「ストレステストでは、そうした事のチェックができないという事ですね。あれは大変万能のように思われたんですが、そうでしゃない?」

渡辺「そんな事はないですね。その出発点がおかしいわけですから、本来の大きさの物を想定してそこからストレステストやるのはわかりますけど」

岩上「バックチェックが最初のデーターの値切りが隠されているので、その値切りをちゃんと洗い出して、値切っちゃ駄目よと。そこを全部やり直す必要があるっていう事ですか?日本中の原発を」

渡辺「はい。僕はそれほど時間がかからないと思います」

岩上「時間がかからない?」

渡辺「ええ。ですからやっぱり『厳密に』とか『学術的に本当にここですか、ここですか』ってやり初めると又時間かかりますけども『こうじゃなくてこれぐらいですよ』という事は、それはそんなに時間かからないと思います」

岩上「原発再稼働可能な立地かどうかという事の適否は少なくとも大雑把に判断はつくという事ですか?」

渡辺「そうですね」

岩上「わかりました。ありがとうございます。これから先、展開ってどうなりそうですか?現実学者という立場から言えない事もあると思いますけど、先生は実際に事業者や国やお役人に接していながら、この値切るような人達を、山師みたいな人達ですよ。まあ嘘もつく人達ですよ。そうした人達を相手にしながら議員さん、或いは、市民の方々とも声を上げながら何とか調査を進めるというところまで来てるんですが、これ日本中の調査行う日って来ると思いますか?」

渡辺「来て欲しいと思っていて、今の規制委員会にはそれなりの期待をしているんです。まだ私は諦めてませんけども、今の状態が続くとやっぱり“張子の虎”だったかなと」

岩上「規制委員会がですか」

渡辺「そういうふうに言われないようにとちょっと頑張って欲しいと思います」

岩上「『止める権限がない』とか突然言い出しているんですけど、あれは実際しかし違うでしょと思うんですが、先生はどのようにお考えですか?」

渡辺「私は、あそこになければどこにあるんですか?と申し上げたいですが、それよりもなぜそこを避けてしまったのか。そこは堂々と言えばよろしかったんじゃないかと思いますが」

岩上「わかりました。ありがとうございます。本当にたくさんの事を勉強させていただきまして、仮に規制委員会が“張子の虎”だったとした場合どうしていったらいいんでしょうね、道筋としては。この何とか僕らはきちんとした事実知りたいですしね、議論は様々あって良いと思うんですけど、議論は様々あって良いんですけど、その前提となるですね事実は知りたいし、活断層値切られっぱなしっていうのは困るんですよね。

 それが仮に“張子の虎”だったら先生が仰る。僕は“張子の虎”というか論外な存在じゃないかと実は正直思っているところもあって。どこからこういったら良いんですかね」

渡辺「それは今のところ打つ手はないと。残念ながら。規制委員会が駄目であって、かつての保安院と同じような組織になってしまえば、もうこれは絶望的であると」

岩上「絶望的?政治は役に立たないですか?」
(01:40:17)

渡辺「いや、そこで高度な政治的判断をしてくれる人が出てくれば又別でしょうけど」

岩上「1人に期待というよりは例えば国会に期待という事ですけど」

渡辺「どうでしょうか?」

岩上「難しい?」

渡辺「今回の大飯の盛り上がりは素晴らしかったですけども、同じような事ができるかどうか。私は、かなり悲観的なんです残念ながら。今の規制委員会が機能しなかった場合には、ちょっと打つ手がないぞと」

岩上「国会事故調のような物が、事故調は政府の事故調もありましたし、国会事故調も作りました。それで国会事故調は大変原発政策に対して厳しい見解を出しました。尊重されてないと思いますけども、これは国会の軽視その物で許される事だと僕は思わないんですね。国会は、政府要員の上位に立つべきだと思いますし、行政の上位に立つべきだと思いますけど、国会事故調ならぬ国会で規制委員会が駄目だった場合、国会に常設、或いは、臨時でも良いですけど、調査委員会みたいな物を設けるっていうのはどうですか?」

渡辺「そういう物ができれば、それは素晴らしいと。そこにきちんと常駐の研究者を置いて、ちゃんと監視していれば、それはまあ、ある程度機能すると思いますが、それはできるんでしょうか?」

岩上「わからない、それは政府は僕ら国民はコントロールできないです。政府なんて全然聞く気はないし、自分達が君臨してる気になってますからね。だけど我々一般の国民が一般の市民が影響力を与える事が可能な事が国会だけなんで、そのそういう意志を持った議員さんが大勢いるような状態を作り出し。まあそれ選挙を通じてですけど。そういう事しかないような気がするんですね」

渡辺「そうですね。それが間に合えば良いんですけども」

岩上「事故が起こる前に」

渡辺「非常に心配ですね」

岩上「そうですか。これはいつ起こるかっていうのは予測はできないですか?」

渡辺「できません」

岩上「ですよね。確率の問題じゃ。だから明日になっちゃうかもしれないし、ずっと先かもしれないし」

渡辺「2000年後か明日かもしれませんが、まあそういう物とどう向き合うかっていう事でしょう」

岩上「わかりました、長時間本当にありがとうございました。渡辺先生に活断層の仕組みから基礎から色々教えていただきました。先生どうもありがとうございました」

渡辺「お疲れ様でした」

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