朝鮮高校を無償化から排除した下村博文元文科相は「裁量権の逸脱」!!「処分は違法・無効」!! ――東京判決を前に~広島・大阪判決を考える学習会~ 2017.7.30

記事公開日:2017.7.30取材地: テキスト動画
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( 取材・文:城石裕幸 記事構成:岩上安身)

※8月7日テキストを追加しました。

 2017年7月、国の「高等学校等就学支援金制度」(高校無償化)から朝鮮高校だけを排除する措置をめぐって、広島と大阪の両地裁で、極めて対照的な判決が下された。

 19日の広島地裁では、小西洋裁判長が、朝鮮学校を高校無償化の適用対象から外した国側の判断について、「裁量の範囲逸脱や乱用が認められるとはいえない」として、原告である学校法人広島朝鮮学園と元生徒らの訴えを全面的に退けた。

 しかし、28日の大阪での判決は正反対の結果になった。大阪地裁の西田隆裕裁判長は、原告である大阪朝鮮学園側の全面勝訴を言い渡し、処分は違法だとして取り消し、無償化を命じたのだ。

 7月30日、東京朝鮮中高級学校でこの二つの判決を考える学習会が行われた。9月13日に予定されている東京地裁での判決言い渡しを控えて、東京の原告である東京朝鮮学園の支援者たちが主催したこの集会には、300人を超える参加者が集まった。

記事目次

■ハイライト

  • 講演
    佐野通夫氏(こども教育宝仙大学教授)広島判決について
    長谷川和男氏(東京朝鮮高校生の裁判を支援する会共同代表、元小学校教員)大阪判決について
    田中宏氏(一橋大学名誉教授、東京朝鮮高校生の裁判を支援する会共同代表)「『無償化裁判』のこれまでとこれから」
  • タイトル 【高校無償化裁判】東京判決を前に〜広島・大阪判決を考える学習集会〜
  • 日時 2017年7月30日(日)13:00〜15:00
  • 場所 東京朝鮮中高級学校(東京都北区)
  • 主催 「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会/東京朝鮮高校生の裁判を支援する会/東京朝高「無償化裁判」事務局/東京朝鮮学校オモニ会連絡会「無償化」裁判支援会部(詳細

「朝鮮学校は北朝鮮や総連と関係が深いから支援金を不正に流用するにちがいない」!?〜一方的な言いがかりをつけて無償化から排除したのは「ヤミ献金疑惑」渦中の下村博文元文科相!!

 2012年12月26日に発足した第二次安倍政権が、真っ先に取り掛かったのが、「朝鮮学校を高校無償化から排除する」ことだった。政権発足のわずか2日後の12月28日、安倍総理の思想的盟友で、安倍総理が特別顧問をつとめる日本会議議員懇談会の副会長でもある下村博文文部科学大臣が記者会見で発表した。背景には、北朝鮮による拉致問題解決が進展しないことへの鬱憤を矛先を変えて「憂さ晴らし」することがあった。

 そして翌2013年2月には、産経新聞の記事や公安調査庁の報告書などを根拠として、「(朝鮮学校は北)朝鮮や朝鮮総連との密接な関係が疑われ、就学支援金が授業料に充てられないことが懸念される」といった言いがかりをつけ、わざわざ文部科学省令を変更してまで、朝鮮学校だけを高校授業料無償化の対象から排除してしまった。

 その時の文部科学大臣が、2017年7月31日に上脇博之神戸学院大学教授らによって東京地検特捜部に告発された下村博文氏だ。下村氏は加計学園に資金集めのパーティー券を200万円分も購入してもらいながら、政治資金収支報告書に記載していなかった。いわゆる「ヤミ献金」である。政治資金規正法違反であり、しかも加計学園から請託も受けていて、職務権限のある立場だったことから、贈収賄の疑いも色濃い。

▲下村博文元文部科学大臣(2017年7月2日撮影)

国際人権規約の中の社会権規約「中等教育の無償化」を根拠とする就学支援金対象からの排除は人権侵害に他ならない

 「高等学校等就学支援金制度」は世帯による所得制限があるものの、公立高校では授業料(1か月9900円)が全額、私立高校では同額の就学支援金が、国の一般会計から各地方自治体を経由して対象となる各学校に支払われる。

 対象となっているのは公立・私立の高校だけでなく、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校の第一学年から第三学年まで、専修学校の高等課程と一般課程、告示で指定した外国人学校を含む各種学校だ。こうして対象校を並べただけで、わざわざ朝鮮高校だけを悪意を持って排除したことがわかる。

 就学支援金は学校へ支払われるが、決して学校への補助金ではない。日本も批准している国際人権規約の中の社会権規約「中等教育の無償化」を根拠とする、子どもたちが教育を受けるための当然の権利であって、子どもたち1人ひとりへの支援金なのだ。

 そうであるにもかかわらず、それを「拉致問題が解決しないから」、「北朝鮮がミサイルを撃ったから」などと言いがかりをつけ、在日コリアンの子どもたちから就学支援を受ける機会を奪おうとするのは、あまりにも卑劣かつ差別的であり、人権侵害に他ならない。

「在日コリアンだから支援金が不正に使われる、就学支援を行うな」という決めつけは特定民族を丸ごと犯罪者とみなす暴論であり、ヘイトスピーチそのもの

 北朝鮮の核問題や、ミサイル実験を問題視するのは当然だが、それは外交や安全保障の文脈で議論すべきことだ。日本において、在日コリアンの子供として生まれてきた一人ひとりの子どもに、何の罪があるのか。在日コリアンの子どもに対して、「いじめ」に等しい差別的政策を取ることで、北朝鮮のミサイル開発がとめられるとでもいうのか。

 「帝国臣民」であることを押しつけ、その実、植民地支配で武力侵略によって当時の大韓帝国から国を奪い、国民から文化を奪い、言語を奪い、名前を奪い、安価な労働力として都合よく徴用して日本に連れてきた挙句、敗戦するや保護責任を放棄。一方で、奪った国土は共産主義独裁国家と軍事独裁国家に二分され、迫害・弾圧から逃れてきた人々も多い。そういった、かつての大日本帝国の勝手な都合で「臣民」とされてしまっていた人々の二世、三世、四世らが今の在日コリアンの多数だ。

 そして彼らが日本人によって奪われたアイデンティティーを取り戻すために、「言語、文化、歴史」を学ぶ場が民族学校なのだ。

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