ピースデポ・田巻一彦代表が昨今の北朝鮮ミサイルについて「ノドンの配備が始まったのは10年近く前。日本の安全保障政策は、米国中心に組み立てられている!」―VFPジャパン講演会 2017.7.22

記事公開日:2017.7.25取材地: テキスト動画
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(取材:須原拓磨 文:IWJ編集部 文責:岩上安身)

※8月4日、テキストを追加しました。

 2017年7月22日(土)、東京都千代田区の明治大学リバティタワーにて、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFPジャパン)(※)の主催により、講演会「日本と周辺地域の危機を読み解く〜イデオロギーからリテラシーへ〜」が開催され、VFPジャパン代表で元陸上自衛官の井筒高雄氏が「元自衛官が見る この問題のリアル」と題するテーマで登壇した。

(※)VETERANS FOR PEACE JAPAN(ベテランズ フォー ピース ジャパン)とは、1985年に米国で従軍経験のある元軍人と軍人の家族及びその賛同者により結成された【平和を求める元軍人の会】に呼応して、日本の元自衛官と市民の有志による連携団体として今年の6月1日に設立されたNPOである。

 また、スペシャルゲストには、NPOピースデポ代表の田巻一彦氏を迎え、コーディネーターとして弁護士の武井由起子氏が参加した。

▲武井由起子弁護士

■ハイライト

  • 講演 井筒高雄氏(VFPジャパン代表、元陸上自衛官)「元自衛官が見る この問題のリアル」
  • スペシャルゲスト 田巻一彦氏(NPOピースデポ代表)/コーディネーター 武井由起子氏(弁護士)

イデオロギーからリテラシーへ~「戦場のリアル」と「戦争する国の経済のリアル」を市民の間で情報共有し、拡める

 平和を求める元軍人の会=VETERANS FOR PEACEは、国連NGO、メンバーは全世界に約8000人、支部は140支部存在し、戦場を知る者たちを中心に、英国の元軍人ら「VFP UK」など、海外の連携団体と共に、紛争各国での反戦アピールや戦争による経済構造の真相などを世界に訴えている。元陸軍大佐でイラク戦争に反対したアン・ライト氏、オリバー・ストーン氏やオノ・ヨーコ氏もメンバー。存在感の大きなNGOである。

 VFPジャパンは《イデオロギーからリテラシーへ。世界とつながる新しい平和活動を》というスローガンの元、「戦場のリアル」と「戦争する国の経済のリアル」を講演し、議論し、発信することで、情報が不足しがちな防衛分野についても、市民が今までより知恵を絞ることができるよう、シンポジウムなどを行っていく予定であるという。

 現在までにシンポジウムゲストは、大矢英代さん(元琉球朝日放送 本ドキュメンタリーの製作者)、金子勝氏やサム・コールマン氏(VFP米国本部メンバー・PTSDチーム)、そして今回の、田巻一彦氏を迎えている。

朝鮮半島有事が起きても、アメリカは日本を守るために軍事行動は行わない!

 VFPは国際的な会議も開催しており、井筒氏も参加を表明、今後の活動が注目される。

 井筒氏は開会のあいさつで、VFPジャパンとしては今度のアメリカにおけるVFP会合で、米国⇔北朝鮮の不可侵条約を提言する予定であると述べ、この条約がかなえば、アメリカの安定と日本の安全が保障されるはずだと語った。

 井筒氏によると、2015年4月に日米ガイドラインが修正され、日本は中国と朝鮮半島有事に関しては、主体的に軍事対処しなくてはならなくなったという。アメリカは作戦に関してのみアドバイスを行うが、日本を守るために主たる軍事行動は行わないという。

 そのため、政府と右翼とマスコミによる北朝鮮有事・中国有事に備える軍備、という大合唱が行われているわけだが、今回はその『北朝鮮』の軍備や資源保有・国交状況などの実態をNPOピースデポ代表の田巻一彦氏からの講演で情報共有し、日本の外交努力の可能性を市民の頭で考えてみる土壌を作ろう、という試みであった。

国民に犠牲を強いながら大国レベルの核配備を着々と進める北朝鮮の軍事力は、もはや日本が対処できる規模ではない!

 第一部の講演で、田巻一彦氏は、あまり日本では報道されない、北朝鮮のレアメタル保有量や正常国交数、外交が不可能でない実態を指摘した後、日本や米国に向けられている、核を積めるミサイルの配備数、日本が軍事費を増やしたとしても、とても対処できるような規模ではない軍事力の大きさなどについて細かく説明を行った。

▲NPOピースデポ代表・田巻一彦氏

 宇宙開発(衛星を打ち上げること)から核ミサイル開発を発展させていくのは先進国と同じであり、アメリカが核を正当化する文言をそっくり真似ながら、国民生活の水準を貧困のままにとどめて犠牲を強いつつ、大国レベルの核配備を着々と進めており、小国一国で成し遂げるにしては「称賛を浴びるほど」の進捗状況であると語った。

 しかし北朝鮮は政治や外交に関しては非常に幼稚な状態であり、【北朝鮮の暴発→世界からの圧力→暴発】という悪循環は非常に切迫した危険な状況に変わりなく、一刻も早く賢い外交交渉で切り抜けていかなくてはならないと指摘した。

核の傘の下の非核保有国・日本が、核保有に賛成するという悲しむべき状況であったことは確か。しかし、批准するための努力までもが失われるべきものではない!

 どんなに頑張っても北朝鮮への軍事配備や緊急対処がとれそうにない日本にとって、北朝鮮はいたずらに扱ってはならない存在であり、多くのメディアが規制されている上、情報が正しく我々に伝えられていない状況であるが、むしろ米国のエスタブリッシュメントは、北朝鮮に核プログラムを廃棄させる為の外交交渉のための様々な提言が、既に数年前から提言されている。

 日本人もこうした様々な情報を読み下し、当該国のリアリティをつかんで、北朝鮮に核プログラムを放棄させるように、外交努力すべきである、と説いた。

 また、冒頭からこの7月7日に50カ国によって批准された、核兵器禁止条約(※)を、今後の交渉の指導原理としていくのが良いであろうと語り始め、講演の末尾には、世界が共有する『非人道的利益を得るようなことは禁止する』という核禁止条約にうたわれた理念は手放してはならないものだと述べた。

(※)核兵器禁止条約
1996年、核兵器禁止条約(Nuclear Weapons Convention 略称:NWC)は「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約案」2007年4月正式に国連に提出され、2017年7月7日に122か国・地域の賛成多数により採択され、50ヵ国が批准後に発効する。以下のことを禁止している。禁止事項は以下の通り
1.開発(development)2.実験(testing)3.製造(production)4.備蓄(stockpiling)5.移譲(transfer)6.使用(use)7.威嚇としての使用(threat of use)

 日本はアメリカの核の傘の下にいるから批准できなかった。非核保有国が、核保有に賛成するという、非常に悲しむべき状況であったことは確かである。しかし批准するための努力までもが失われるべきものではないと話された。

暴走阻止のために分けられていた自衛隊の組織は、すでに戦争有事に向けて総括され、安全装置を破棄する流れが始まっている!

(…会員ページにつづく)

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