「共謀罪法案」(テロ等準備罪法案)が2017年5月19日、衆院法務委員会で可決された。審議時間が与党と日本維新の会が目安とした「30時間」に達したとして、野党の強い反発を押しきって強行採決に踏み切った。
何の権限があってか、最後の質問者として質疑に立った維新の丸山穂高議員が、「野党が足を引っ張るだけの質疑はこれ以上必要ない。論点は整理され、時はきた。ただちに採決に入っていただきたい」などと与党に質疑打ち切りを要請し、採決をうながした。
維新の「正体」があらわになった瞬間だった。野党のふりをしているが、野党ではない。といって与党でもない。「ゆ党」と揶揄されるゆえんである。
与党が偽装野党の維新の助けを得て、週明けの23日に衆院本会議で法案を可決し、24日の参院審議入りを目指す。
舞台が参院に移った場合に注目したいのは、法務委員会の委員長が秋野公造議員である点だ。秋野委員長は自民ではなく、公明党の議員。自民党が強行してきた採決のかたちには抵抗を示すのではないかという見方も出ており、これまで以上に公明党への働きかけが重要だともいえる。共謀罪阻止のために、わずかな「期待」が公明党に残された。
▲「共謀罪NO!」のプラカードとともになびく創価学会の三色旗
5月16日には東京・日比谷野外音楽堂で「共謀罪廃案・安倍政権の改憲暴走を止めよう!5・16大集会」が開催された。集会では宗教者らも登壇し、日蓮宗の僧侶・小野文珖(ぶんこう)氏がスピーチ。「公明党はいま、初代会長を虐殺された治安維持法の復活にも進んで協力する、愚かな行動をとっている。公明党よ、血迷うな!」と呼びかけた。
「政府に声をあげる運動を抑圧することこそが目的だ」民進・共謀罪対策本部・枝野幸男本部長が共謀罪の本質を指摘!
野音の集会では、民進党の共謀罪対策本部で本部長を務め、衆院法務委員会で与党を厳しく追及した枝野幸男議員も登壇した。
枝野議員は、「国会議員になって24年間、いろんなことがあった。無理が通れば道理が引っ込むということも何度も経験したが、こんなに道理が通用しない国会の状況は初めてだ」と振り返り、共謀罪法案について、「政府に声をあげる運動を抑圧することこそが目的だ」と断じる。
▲民進党共謀罪対策本部の本部長・枝野幸男衆議院議員
「業務妨害罪、強要罪も共謀罪の対象になっている。米軍基地を作るのを辞めさせよう、マンション建設を阻止したい――こうした運動は、いずれも業務を止めようという動きになるが、社会的な相当性をもっていれば犯罪ではない。だからこそ、これまでさまざまな運動がなされてきた。
しかし、共謀罪は計画段階で成立する。社会的に許容される範囲にあるのか、超えてしまうのかわからない段階で一網打尽にする。市民が声を上げる前に封じてしまうのが共謀罪の本質。これを阻止しなければ、政府に声を上げること自体が抑制されてしまうだろう」
「共謀罪の中身を『ヤバイ』と知ることは、政権交代につながる」自由・山本太郎議員があの「スットコドッコイ」に物申す!
「お馴染みのあのスットコドッコイが、またしてもスットコドッコイな発言をした」
続いて登壇した自由党共同代表の山本太郎議員は、いつもの軽妙な語り口で切り出した。スットコドッコイとは、言うまでもなく安倍総理のことである。
▲自由党共同代表・山本太郎参議院議員
「(安倍総理が)憲法9条に3項を作り、自衛隊を合憲とすると言い出した。
バカを言っちゃいけない。憲法を変える変えるといってきた人が、急に3項を付け加えると言いだした。なぜこのタイミングなのか。現行憲法を守る気概のないやつが憲法を変えるなんてとんでもない」
山本議員は、「つまりは、目を向けられたくないところの話を薄めるために、憲法改正の話を持ち出してきた。この共謀罪に(意識を)集中させないために、もう一発、花火を打ち上げたということではないか」と指摘する。
「共謀罪の危険性を、山本太郎でもわかるような、中学生にもわかるような話し方で広げていってほしい。なんとかひっくり返そう。他にもこれまで、安倍政権でとんでもない法律が通ってしまっている。これを精算するには政権交代しかない。たくさんの人が共謀罪の中身を『ヤバイ』と知ることは、政権交代につながる。それぞれの運動を盛り上げてほしい」
「時代を逆戻りさせてはいけない。恥ずかしい国にしてはいけない」共産・山下芳生議員、自民党以上の「保守」の矜持示す
共産党副委員長の山下芳生議員は、「秘密保護法、安保法制に続き、安倍総理は憲法9条を2020年までに変えると宣言した。『美しい国』の中身が、真実を隠し、国民を監視し、海外で無制限に戦争する国だということが、いよいよはっきりした」と痛烈に批判した。
▲共産党副委員長・山下芳生参議院議員
山下議員は、「かつて暗い時代があったことを忘れてはならない」と訴える。
「戦前の治安維持法で6万7千人が検挙され、起訴は6千人にものぼった。共産主義者から始まり、知識人、市民、そして宗教者など、すべての国民が対象にされ、物言えぬ社会が作られ、アジア侵略戦争に突き進んだ」
山下議員は、「こうした歴史があったから、諸外国の憲法には自明のこととして書かれていない『内心の自由』、すなわち『思想及び良心の自由はこれを犯してはならない』(憲法第19条)という条文があえて明記された」と述べ、「現代の治安維持法である共謀罪の創設で、時代を逆戻りさせてはいけない。恥ずかしい国にしてはいけない」と呼びかけた。
▲市民とともに「共謀罪NO!」のプラカードを掲げる野党議員たち
「学会本部や公明幹部は安倍政権にべったり。公明党よ、血迷うな!」日蓮宗・小野僧侶が檄を飛ばす!
▲日比谷野外音楽堂に登壇する宗教者の市民
集会では宗教者らも登壇し、創価学会員も三色旗をなびかせた。代表してスピーチした日蓮宗の僧侶・小野文珖氏は、「私たち宗教者は教団、教義を超えて、平和を守る一点で、共同・共闘している」と挨拶し、共謀罪に反対する理由を宗教者としての立場から論じた。
「共謀罪は、『合意』という主観を処罰対象にするもの。これは『思想および良心の自由』『信教の自由』を脅かす憲法違反の悪法だ。この法案が成立すれば、言論、思想、信仰の自由が権力者に監視され、束縛、介入、抑圧が現実に到来するだろう。治安維持法下の戦中の社会を思い起こせば、誰でも容易に予想できることだ」
▲日蓮宗の僧侶・小野文珖氏
小野氏は、「事実、あの特高警察の監視社会の中で、多くの宗教者が反政府活動をしたとの理由で殺されている」と話し、「公明党を擁する創価学会の牧口常三朗初代会長は、教育勅語の国家体制に反対し、不敬罪、ならびに治安維持法違反容疑で逮捕され、獄死した。創価学会、公明党の原点はここにあるはずだ」と指摘。
そのうえで公明党の姿勢を痛烈に批判した。
山下議員「秘密保護法、安保法制に続き、安倍総理は憲法9条を2020年までに変えると宣言した。『美しい国』の中身が、真実を隠し、国民を監視し、海外で無制限に戦争する国だということが、いよいよはっきりした」
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