住宅無償提供が3月末で終了! 避難指示区域解除で「加害者」の補償責任「解除」に——帰還か困窮か、追いつめられる避難者たち「私たちは責任追及の手をゆるめない!」 2017.3.9

記事公開日:2017.3.7取材地: テキスト動画
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(取材・文 ぎぎまき)

 残りあと3週間弱――。

 福島県は2017年3月いっぱいで、東京電力福島原発事故にともなう避難指示区域外からの避難者、いわゆる自主避難者に対する「応急仮設住宅」および「民間借上住宅(みなし仮設住宅)」の無償提供を打ち切る。1万2500世帯、約3万2000人あまりの避難者らは、4月からも避難を継続するか、または福島県に戻るかという苦しい選択に迫られている。

 東日本大震災からまもなく6年が経つ。自身も「自主避難者」の立場である原発事故被害者3団体の代表者らは3月9日、参議院議員会館で会見を開き、住宅支援打ち切りを目前にした避難生活の実情を語った。

 「帰還か困窮か、避難者は二者択一を迫られる。原発事故の責任があるわけじゃないのに、なぜ、こんな窮状に陥らなければいけないのか」――。

 原発事故被害者団体連絡会幹事の熊本美彌子氏は、福島県田村市から東京都へ避難している。熊本氏は自主避難者が強いられるのは福島県への不本意な「帰還」か、そのまま避難を続けることで生じる経済負担による「困窮」のどちらかだと訴えた。

▲熊本氏が紹介した雇用促進住宅に暮らす自主避難者の元に届けられた「意向確認書」

 熊本氏は「雇用促進住宅」を無償で利用している避難者の元に届いた「意向確認書」を紹介した。そこには、無償提供期間終了後、有償による継続入居を、「希望する」、「希望しない」のどちらかを選ぶようになっているが、無償で継続入居を希望するという選択肢はない。

 もし無償で入居を続けた場合は、4月1日から「不法占拠」となり、損害金の支払いと明け渡しの請求をするという通告も届いているという。国や行政をあげて、被害者であるはずの自主避難者の追い出しにかかっているのだ。

 避難者に原発事故の責任はないーー。子供の健康被害を案じて避難している被害者に「出ていけとは一体どういうことなのか」。会見で訴えた熊本氏は、静かな怒りをあらわにした。

記事目次

■ハイライト

  • 発言者 熊本美彌子氏(原発事故被害者団体連絡会幹事)、村田弘氏(原発被害者訴訟原告団全国連絡会共同代表)、中手聖一氏(「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表)
  • 日時 2017年3月9日(木) 13:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
  • 問合せ 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)

加害者の責任逃れを批判!「自治体ではなく、東電や国が補償すべき問題だ」

 自主避難者への無償住宅制度は「災害救助法」に基づき、原発事故直後の2011年3月19日から2年間継続。その後も一年ごとに更新され続けてきたが、この間、住宅費用は避難先の都道府県がまず負担し、その費用を福島県に請求。次に福島県が国に、国が東京電力に求償するという建前になっていた。

 災害救助法を打ち切ることで、この仕組みは終了する。つまり、東電や国が補償の責任から「解放」されることを意味するのだ。福島県は独自に「支援策」を発表しているが、家賃の一部補助や公的住宅の確保という消極的な内容にとどまり、避難を安心して続けられるほど十分なものではない。しかし、そもそも支援の主体を福島県にせばめて押しつける政府方針がおかしいのではないか。原発を国策として推進してきた責任は、第一義的に政府にあるはずだ。

 「これは自治体がどうにかする問題ではない。東電や国が補償すべき問題なんです」

 「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表・中手聖一氏も、福島市から札幌市に移住した自主避難者の一人。避難先の札幌市を含め、他の自治体も、避難者らが置かれた状況を見るに見かねて、公営住宅の無償提供延長など、独自策を打ち出している。

▲「避難の権利」を求める全国避難者の会共同代表・中手聖一氏

 中手氏は「(避難者たちを)放っておけないということで、自治体が独自に支援策を打ち出している話が次々と耳に入ってくる。本当にありがたいことだが、(支援の差は)地域格差も生んでしまっている。本来は自治体ではなく、東電や国が補償すべき問題なんです」と、自らの責任を自治体に押し付ける「加害者」たちを批判した。

 政府は同じく3月末で「帰還困難区域」以外のほぼ全域の避難指示を解除する。中手氏は「避難指示の解除は、政府の責任からの『解除』だ」と一方的な強硬策を非難。中手氏らは今後も手をゆるめず、国や行政の責任を追及していくと訴えた。

(…会員ページにつづく)

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