【全文掲載】「言論の自由」の侵害!? 東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が「ニュース女子」問題でトンデモ論を展開!公共の電波で「デマを流す自由」などない!(第11弾) 2017.2.7

記事公開日:2017.2.7 テキスト
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(取材:原佑介 文責:岩上安身)

 「私を処分するというのは言論の自由の侵害だ」

 東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が2017年2月6日、ニッポン放送「ザ・ボイス そこまで言うか!」に生出演した。長谷川氏は事前に自身のツイッターで「『ニュース女子と東京新聞問題』について初めて語ります」と宣言し、注目を集めたが、長谷川氏は「論点ずらし」に終始し、「言論の自由」を盾に自身の責任を棚上げするばかりだった。

「重く受け止め、対処します」東京新聞の見解に長谷川氏が「表現の自由」を盾に猛反発!

▲長谷川幸洋氏のラジオ出演直前のツイート
長谷川幸洋氏のラジオ出演直前のツイート

 いま問題となっているのは、長谷川氏が司会を務めるTOKYO MXの報道バラエティ番組「ニュース女子」の1月2日の放送回である。沖縄平和運動に関するデマやヘイトを垂れ流したことに批判が殺到した。東京新聞は放送1ヶ月後の2月2日の紙面で、「事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものではありません」という記事を掲載し、長谷川氏の出演について「重く受け止め、対処します」と記した。

 その「対処」の中身とはどのようなものか、IWJは、謝罪記事を執筆した東京新聞論説主幹の深田実氏に直接取材したが、明確な回答は得られなかった。

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 東京新聞が「おわび」したものの、当の長谷川氏本人はこれまでかたくなに沈黙を貫き、IWJの質問を含めて、各メディアの取材にも一切、応じることがなかった。IWJの公開質問状は以下の通り。

 それだけに、6日放送のニッポン放送ではついに沈黙を破り、長谷川氏本人の口から「ニュース女子」が流したデマやヘイトについて釈明がなされると期待された。

 しかし、長谷川氏は釈明するどころか、「ニュース女子」の捏造内容については完全に棚上げし、自身の責任に言及することもなく、「『ニュース女子』と東京新聞の論評が違うことを理由に、私に対して処分するというのは『言論の自由』の侵害だ」と声を荒げ、「逆ギレ」したのだ。

 以下、長谷川氏の発言書き起こしを掲載する

【書き起こし】「これをみた時はびっくりした。『言論の自由』に対する侵害だ」!?

▲長谷川氏がコメンテーターを務めるニッポン放送「ザ・ボイス そこまで言うか!」ホームページより
▲長谷川氏がコメンテーターを務めるニッポン放送「ザ・ボイス そこまで言うか!」ホームページより

ニッポン放送アナウンサー・飯田浩司氏「『ザ・フォーカス』のコーナーです。さぁ、今日のテーマですけども、2月2日の東京新聞朝刊一面に掲載された『ニュース女子問題 深く反省』という記事について、この記事、まずざっと内容をご紹介しますと、1月2日にMXテレビで放送された、長谷川さんが司会を務めていらっしゃる『ニュース女子』という番組の内容が、『一方的で事実に反する』と批判されたことを受けて掲載されたとなっております。

で、長谷川さんが論説副主幹を務める東京新聞が、2月2日、論説主幹の深田実さんによる…まぁこれ社告になるんですかね?」

長谷川氏「社告でもないけど、まぁお知らせみたいなもの」

飯田氏「お知らせ。ええ、で、この中身が、MXの内容が、『本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなければなりません。加えて、事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません』。

で、少し飛ばしまして、『他メディアで起きたことではあっても、責任と反省を深く感じています。とりわけ副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します』などの内容が書かれているというものです」

長谷川氏「まずですね、この『対処します』とこう書いてあるわけですけども、まずこのMXの番組のね、中身については、私は今日は、あえて論評いたしません。

 というのはですね、これは製作・著作は『DHCシアター』っていう会社が責任を持っているわけですよ。CS放送のね。それでMXってのはそれを流したステーション、テレビ局なわけです。で、ここが、このふたつが責任があって、そこが、それなりの態度はもうすでに示しております。まぁインターネットなど検索していただければわかると思うし。

 で、私は出演者・司会という立場で出ているので、そういう立場ではね、この番組についてコメントするということは今日のところは差し控えたいと。

 それを申し上げたうえで、問題は、この東京新聞なんですね。それははっきり言って、私これをみた時はびっくりして、『ニュース女子』と、東京新聞ははっきり言ってまったく何も関係ない。のに、なんで深く反省するのかと、まず直感的に私そう思ったんですね。

 それで、これ読んでみると、一体なんでこんな文言の記事が出たのかというと、私が副主幹で出ていること、それが問題だと。で、それについて重く受け止めて『対処します』と。

 『対処します』というのは一体、何なのか。まぁよくわからないけど、普通に考えれば、ようするに不始末を起こしたので処罰します、というようなニュアンスの言葉ですよね。

 で、すでにネット上では、もう私のその『対処』の中身について、いろいろ憶測が飛び交っていて、まぁ例えば、ネット検索すればすぐわかるから喋ってしまいますけど、私が『論説副主幹から退任して平の論説委員になるらしい』とか、まぁ真偽取り混ぜいろいろ飛び交っているわけです。

 で、私が問題だと思うのは、確かにその『ニュース女子』の報道したというか、番組で取り上げた議論と、それから東京新聞の報道姿勢・論評は、これは違いますよ。私自身も違います、東京新聞の主張とは。さっきの敵基地攻撃能力の問題含めたって、まったく違うと思いますよ。

 でもね、違うということで、それが理由に私に対して処分するということは、これははっきり申し上げて、『言論の自由』に対する侵害だと、私は思いますね。

 つまり、新聞が社説で訴えるのは、何を訴えたってそれはご自由だし、まぁ私の意見と違っていたことが載っているわけですけど、それはそれでいいんですね。でも、例えば社説だってそれに出る途中の過程では、さまざまな議論があるし、異論ももちろんある。

 で、それがまとめて出てくるわけですけど、そういう結果として出てくる東京新聞の報道・あるいは論説姿勢なるものと、私が社内、あるいは社外で発言することが違っていたって何の問題ないし、そういうことを保障すること自体が、私は言論の自由を守るということなんですよね。

 で、今回はその、私が副主幹で、司会をしていたことを重く受け止めて、ということなんだけど、これはね、はっきり言ってもうとんでもない問題だと私は思っていますね」

飯田氏「まぁよく誤解されがちなんですが、ラジオもそうですけど、ラジオ、テレビっていう電波メディアは、電波という公共物を預かっているという関係で、中身についても公平・中立という原則があると。ただ新聞に関しては、特に中身についての縛りっていうのは一切ないんですよね」

長谷川氏「ない。もちろんそうです」

飯田氏「基本的にその、新聞綱領みたいなかたちで、自主規制はあるけれども、まぁある意味、言論の自由が最大限保障されている場であると。それが新聞紙上なんだと」

長谷川氏「はい。それで、新聞の社内でもそうですし、それがましてや外のメディア。ここでも、この深田さんの文章の中でも書いてありますけども、外のメディアで言ったことについても、『それは一体、何ていうことを言うんだ』ということで私を処分するなんていうことを、もし許してしまったらですよ、これから東京新聞の記者たちは、外で自由な発言できなくなっちゃう。東京新聞の報道姿勢に沿ったことしか言えなくなっちゃう。はっきり言って北朝鮮状態になっちゃうと。どこを割っても同じということになりかねない。

 私、日本のマスコミについてね、常々思ってきたのはそのことなんです。つまり、日本のマスコミっていうのは、自分の会社の姿勢があると、みんな記者が『ヒラメ』状態になっちゃって、それにみんな調子合わせて、そうやって発言していく。

 まぁ私くらいですよ。はっきり言って。会社の路線と全然違うことを言ってきたのは。だから僕はこういうことが許せなくて、こういうことを許してしまうとね、ますます新聞記者のサラリーマン化、ヒラメ状態で会社におもねって、会社に調子を合わせていこうと。こういう議論になりかねない。そこが一番心配です」

問題は報道内容が事実にもとづいているか否か!事実でなければ名誉毀損が成り立つ!「事実か否か」を棚上げして「見解の相違」に問題をすり替える長谷川氏のトンデモ論!

▲ニッポン放送「ザ・ボイス そこまで言うか!」ホームページより
▲ニッポン放送「ザ・ボイス そこまで言うか!」ホームページより

 威勢よく反論しているように見せかけているが、問題は、「ニュース女子」の報道内容が事実にもとづくものであったか否か、である。事実にもとづかない虚偽の報道は名誉毀損に該当しうる。

 番組制作にあたったDHCシアターは「反対派の言い分を問う必要はまったくない」と開き直りの姿勢を明らかにしているが、番組の司会者を務める長谷川氏は、こうした製作会社の姿勢を批判せず、態度を留保している。この時点で、長谷川氏はジャーナリスト「失格」であり、名誉を毀損する番組の姿勢に足並みをそろえ、同調、加担したとみなされても仕方がない。

 長谷川氏は、「『ニュース女子』と東京新聞の論評は違います。(略)でも、『違う』ということを理由に、私に対して処分するというのは言論の自由に対する侵害だ」と声を荒げたが、陳腐な論点ずらしである。

 東京新聞が今回、長谷川氏を問題視しているのは、長谷川氏の持論が東京新聞の社としての考え方と食い違っていたからではない。紙面ではっきり明記していたように、「事実に基づかない論評」が含まれていたからだ。

 「見解」や「論評」の差異は、言論(報道)の自由の範囲内の話である。しかし、「事実」か「事実ではない(虚偽、あるいはデマ)」かは、言論(報道)の自由の範囲の話ではない。言論(報道)の自由が成り立つには、事実性、公益性、公共性の3つの要件が満たされなくてはならない。事実にもとづかない論評は、何であれ「デマ」である。言論(報道)の自由は認められても、「デマ」の自由は認められない。

 例えば「ニュース女子」は番組内で、「基地反対派が救急車の進行を妨害している」という地元民の証言を紹介したが、地元の消防本部はIWJの取材に対して、「そうした事実はない」ときっぱり否定している。

 この1点だけとっても「ニュース女子」がデマを流したことは明らかだが、長谷川氏はこうした「デマ」に加担したことには一切触れない。そして問題を東京新聞との「見解の相違」であるかのようにすり替え、そのうえで「言論の自由の侵害だ」と述べ、あたかも自分こそが被害者であるかのよう演出しているのだ。姑息という他ない。

東京新聞内の「言論の自由」を体現してきたのは他ならぬ長谷川氏自身!

 長谷川氏は上述した書き起こしの中で、「さっきの敵基地攻撃能力の問題含めたって、(自分と東京新聞の考えは)まったく違うと思いますよ」と言及している。

 これは、安倍総理がマティス米国防長官に対し「日本は防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく方針」を打ち出したというニュースについて、長谷川氏がラジオ冒頭で、「防御一辺倒だけでなく、攻撃能力についても真面目に本気で考えるときだ」と安倍総理を評価していたことを指している。

 長谷川氏が言うように、安全保障をめぐる長谷川氏の発言と東京新聞のスタンスは大いに食い違うだろう。だからこそ、もし、本当に東京新聞社内に「言論の自由」がないのであれば、当然、自衛隊の攻撃能力に関する長谷川氏の発言も社論から外れた「暴論」として問題視されるはずだが、果たして東京新聞はこうした「暴論」を問題視してきただろうか。

 むしろ、長谷川氏はこれまでも、東京新聞の社論とは違う自説を、好き放題に述べても野放しにされてきた。だからこそ今も論説副主幹の椅子に座っているのであって、すなわち、東京新聞内に「言論の自由」が存在することを長谷川氏本人が身をもって証明しているようなものである。

 このことからも、長谷川氏が問題視されているのは、事実にもとづかない「ニュース女子」の虚偽報道沖縄ヘイトデマに加担したことであって、「東京新聞の社論との見解の相違」ではないことは明白だ。

ヘイトやデマを公共の電波で流す自由などない!東京新聞は厳格な対応を!

 この日のラジオ放送で長谷川氏は、「東京新聞は辞めるのですか?」というリスナーの質問に対し、「こんなことになってしまったら、私の方から辞めるなんてことは500%ありません」と回答し、次のように続けている。

 「まぁ正直言うと、実は内示のようなものは受けていますよ。でもそんなことは会社の中の話で、公表されるのはまだこれからでしょうから、その公表がどうなるかわかりませんし、まぁそれを見て考えますけど、私の口から辞めるなんてことは絶対にありません」

 東京新聞との対決姿勢を前面に打ち出す長谷川氏。IWJはラジオ放送終了後、東京新聞で「ニュース女子」について謝罪記事を書いた深田実・論説主幹に再び連絡をとり、ニッポン放送における長谷川氏の言動に関する見解を尋ねたが、深田氏は、「前回、紙面で書いたとおり」と述べるにとどめた。
 東京新聞がいかなる処分をくだすかは成り行きを見守りたい。しかし、ヘイトデマに加担しながらその事実を認めず、開き直って詭弁を弄し、醜態を晒し続ける長谷川氏に対しては、厳しい「対処」を求めたい。

 「降格」や「自主退社」と行った、人事上の「処分」ですませるのではなく、(それが必要だとしても、あくまで社内の人事問題である)、「ニュース女子」の報道内容とその中における長谷川氏の言論に立ち入って、誌面で検証を行ってもらいたい。それが報道機関としての責任ではないだろうか。

 あるいは、社として責任を負う立場の人間が、長谷川氏にインタビューし、その言い分を聞いた上で、過ちを指摘し、社としての姿勢をはっきりと明示してもらいたい。先に公開したIWJの質問状の内容、著作権を当方は主張しないので、全問、長谷川氏にぶつけて紙面上で公開してもらいたいと思う。

 我々、東京新聞の愛読者が求める「対処」とは、言論の上で、長谷川氏やDHCシアターらとの鮮明な対決姿勢を東京新聞が見せることである。それが、彼のような人間をこれまで野放しにして論説副主幹にまで取り立ててきてしまった新聞社としての社会的責任でもあると思う。

 繰り返すが、事実にもとづかないヘイトやデマを公共の電波で流す自由など、ない。長谷川氏はいつになればこの事実と向き合うのか。

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