米国の同盟国をやめた瞬間に、CIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!? その真偽は!? ――映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督に岩上安身が直撃質問!会見全文起こし! 2017.1.18

記事公開日:2017.1.19取材地: テキスト 動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文・IWJ翻訳チーム)

特集 スノーデン|特集 共謀罪
※2月9日、テキストを追加しました。

 「日本と米国は真の『同盟国』ではありません。日本は米国の『人質』なのです」――。

 映画『スノーデン』のプロモーションのため来日していたオリバー・ストーン監督が2017年1月18日、都内某所で会見を開き、記者からの質問に応じた。ストーン監督の最新作は、米国政府が国際的な巨大監視プログラムを構築している実態を暴いた元NSA(米国国家安全保障局)職員のエドワード・スノーデンの実話を映画化したもの。

 もし、日本が米国の同盟国をやめれば、日本中の電源が落ちるように、米国政府は日本中のインフラに有害ソフトを仕掛けたと劇中、証言したスノーデン氏。IWJ代表の岩上安身はトップバッターでストーン監督に質問し、スノーデン証言の真偽を問いただした。

 ストーン監督は岩上安身の質問に対し、「ここに目覚めている人がいて嬉しいです。その通りです。ヨーロッパや米国にも行きましたが、誰もこんな質問をしてくれませんでした」と、ビビッドな反応を示し、真剣な口調で質問に回答した。

 ストーン監督はスノーデン氏の話をもとに、有害ソフトが仕掛けられているのは日本だけではなく、ブラジルやメキシコ、ヨーロッパ諸国も同様だと話し、さらに、巨大な監視システムで世界を監視している米国によって、「サイバー戦争」の時代へと突入しているとも指摘した。

 トランプ新大統領誕生後、安倍総理はことあるごとに「日米同盟の強化」をうたい、2月10日に行われる日米首脳会談では「日米同盟は揺るがないというメッセージを世界に向けて発信したい」と述べている。

 しかし、ストーン監督は、米国にとって真の「同盟国」など存在せず、事実上、日本は米国の「人質」にすぎないと警鐘を鳴らした。さらに『スノーデン』を通して、日本が置かれている状況の深刻さについて理解を深めてほしいと呼びかけた。

 以下、岩上安身や他社記者に対するストーン監督の回答を全文翻訳し、掲載します。

 1月20日に召集された今国会で、与党は「テロ等準備罪(共謀罪)」を提出すると見られ、日本も気づかぬうちに監視国家へと近づいている。その恐ろしさについて、2016年12月26日、岩上安身は、日本人として初めてエドワード・スノーデン氏にインタビューをしたジャーナリスト小笠原みどり氏に訊いた。こちらの記事も併せてご参照いただきたい。

記事目次

■映画『スノーデン』予告編

■ハイライト

  • 日時 2017年1月18日(水) 12:00~
  • 場所 東京某所
  • 『スノーデン』
    1月27日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー
    配給:ショウゲート  ©2016 SACHA, INC. ALL RIGHTS

170118_357253_01

米国政府は日本のインフラを乗っ取っている!? 原発は大丈夫なのか? 岩上安身が監督に質問

岩上安身「作品の中では、日本に関わる重要なくだりがあります。スノーデン氏が横田基地にいた時のことを回想するシーンで、米国機関が日本に対し、監視を実行していたと。

 『日本の通信システムの次にインフラも乗っ取り、密かにマルウェアを送電網やダム病院にも仕掛け、もし日本が同盟国でなくなった日には、日本は終わりだ』と証言するくだりがあります。

 大変ショッキングで、スノーデンの告白は事実にもとづいていると思います。監督は日本列島から電気が消えていくシーンを挿入されています。もし、このマルウェアが日本のインフラ電源に仕掛けられ、原発に仕掛けられていた場合、全電源喪失が起こることを意味します。日本が米国の同盟国でなくなった途端にサイバー攻撃をかけるという米国からの脅しだと日本国民としては思うが、スノーデンの証言はどこまで事実なのでしょうか?」

オリバー・スト―ン監督「ここに目覚めている人がいて嬉しいです。その通りです。ヨーロッパや米国にも行きましたが、誰もこんな質問をしてくれませんでした。

 以前にも言ましたが、この映画の中の素材は、すべてスノーデン氏から聞いたもので、彼の見解そのものです。NSAと話すことなど一度も許されませんでした。話せたのは、私にパンフレットをくれた広報の人くらいでしたね。

 もし、スノーデン氏の語ったことがすべて偽りだとしたら、スノーデン氏は私がこれまで見てきた中で最高の役者だということになります。

 この2年間で9回、スノーデン氏を訪ねてきましたが、心から、そして私のこれまでのすべての経験から言っても、彼は真実を語っていると感じます。

 ときに彼は、自分がしたことの中でも、告訴され得るようなことについては話してくれませんでした。その場合は、同じ視点を再現するために、劇中、似たような状況を作り出しました。

 これは彼が日本にいたときの話ですので…2010年にさかのぼりますね。スノーデン氏は、映画の中でまさしくこのように言っています。

 『米国は僕たちに日本を盗聴させたかったのですが、日本の公安調査庁がそれは違法であり、倫理的にもいかがなものかと拒否しました。どっちみち、日本を盗聴しましたけどね。僕らは、民間のインフラにマルウェア(有害ソフト)を仕掛けました。鉄道も、電気供給網や通信網もすべてにです。いつか、日本が米国の同盟国でなくなった日に、『灯りを落とす』ことを考えてのことです』と。

 スノーデン氏は、原発については触れませんでした。私が想像するに、原発はマルウェアではなく、別の方法が取られるのではないかと思っています。間違っているかもしれませんが。

 しかも、スノーデン氏によれば、これは日本だけの話ではなかったといい、まるでなんでもないことかのように、『ブラジルでも、メキシコでも、そしてヨーロッパ諸国でもやった』と付け加えたのです。全ての国名を特定しては言いませんでしたが、ベルギーやオーストリアの名前はあげましたね。私が推測するに、他にもたくさんの国があったと思います。イギリスは含まれないでしょうがね。私が想像で述べているだけですが」

2010年にはすでに「サイバー戦争」が計画されていた!米・イスラエル開発の「スタックスネット・ウイルス」

ストーン監督「それにしても、これは驚くべき新事実ですよ。2010年前後にすでに米国が、日本をはじめとする国々に対して、いわば『サイバー戦争』を計画していたのですから。

 ここで過去の出来事を振り返り、それら相互の関係に注目してみましょう。まず米国は、マルウェアを使ってイランを攻撃しました。2007年から2009年にわたって攻撃を試み、ようやく2010年になってある程度の成功を収めます。イラン国内の核施設を攻撃し、一定の損害を与えました。どの施設だったか、失念してしまったのですが。とにかくその施設にあった遠心分離機の内、約400台でメルトダウンを誘発させます。その後、メルトダウンを起こした遠心分離機は新しいものと交換され、半年後に稼働を再開します。

 ところがここで、秘密が表沙汰になります。漏洩したんです。米国政府は公式には否定したのですが、マイケル・ヘイデン氏が少しにやりとしながら、数回この件について発言しました。米国は敵を野放しにすることはないんですよ、と言ってね。つまりヘイデン氏は、イランが米国の敵であることをほのめかしたんです。また、結果にとても満足しているとね。

 米国がイランに対して用いたのは、イスラエルと共同で開発した、『スタックスネット・ウイルス』というプログラムです。これは本当に醜い話です。詳細がすでに明るみになっていて、文献もあります。このウイルスはその後、イランから中東の別の国に感染してしまいます。

 米国が宣戦布告することもなく、事実上サイバー戦争を始めていた事実が、このイランの事件を通して我々の知るところとなった訳です。これはすごいことですよ。我々が今日目の当たりにしているあらゆること、例えば、米国が攻撃されているという虚偽のニュースが米国発で発信されていることも、サイバー戦争の一環なんです。

 米国政府がサイバー戦争について発言する時は、是非疑う耳を持ってください。サイバー戦争をリードしているのは米国なんですから。米国はありとあらゆる国を標的にしています。中国が米国をハッキングして、連邦人事管理局で働く人員の名簿を大量に獲得したという話も聞いていますよね。でも米国は何につけ、何の証拠も提示しないんです。ここ数週間は、何の根拠もなしに突拍子もない非難を繰り返しています。

 というわけで、これが我々に到来した世界の実態です。スノーデン氏が気付かせてくれました。でも、その氷山の一角を少しかじった程度にしか、その実態をまだ我々は知りません。これは新しい形の戦争です。1945年に米国が日本に実施した原爆投下に匹敵するぐらい重要だと、私には思えるのです。新しい種類の戦争が始まったんです。危険極まりない戦争です。通常我々が考えている監視というものに、新たなものが加わったことになります。世界中を対象にした監視については、この映画でも扱っています。

 (通訳者に向かって)長くなってしまってごめんなさい。でもこの話題は込み入っているので。(聴衆に向かって)まあこれぐらい彼女の手に負えないことはないんですが。(通訳者に向かって)でも、ここで通訳を始めてください」

 (以下、通訳が日本語に訳し、その後ストーン監督がさらに岩上安身の質問への回答を続ける)

日米同盟などない!? 「日本は米国の人質。日本が同盟国をやめれば、米国は日本を恐喝する」

ストーン監督「一つ、付け加えさせてください。これは法的な定義を鑑みても、この監視システムは『戦争行為』だと言えると私は思います。

 米国と同盟関係にある日本やその他の国々は、米国にとっては真の同盟国ではなく、事実上『人質』だと言っていいと私は考えています。もし、日本が同盟国をやめたいといったなら、米国は日本を恐喝するでしょう。日本が中国と経済協定を結ぼうとしても同じことが起きます。これは非常に深刻な状態だと思います。

 日本のジャーナリストたちが、防衛省などに取材をし、日本が置かれているこうした状況についてどう思うのか聞いてみてほしいですね。

 彼らは何というでしょうか。知らないというか、否定するか。NSAだってもちろん否定するでしょう。NSAは『スノーデン』という映画は、スノーデンという、諜報機関の間では信用に値しない人物の証言によって作られたものだと主張しています。しかし、スノーデン氏は私たちにこれだけの膨大な情報を提供してくれました。

 すべての国の政府について言えることですが、マルウェアがしかけられているメキシコやブラジルでも、自国の政府を追及する動きがあればいいなと思っています。

 米国のジャーナリストから、こうした質問は出なかったことは驚きです。これが今の世界の問題の一つなのだと思います。監視システム、サイバー行為に対する説明責任がないことが」

スターチャンネル・加藤記者「主演のジョセフ・ゴードン・レヴィットがはまり役だと思いました。なぜ彼を選んだのでしょうか?ちなみに彼がこの作品を選んだのは、この作品を撮るのがストーン監督だったからだそうですが」

ストーン監督「実は2014年にスノーデンに会ってすぐに、ジョセフに連絡を取り、ジョセフも興味を抱いてくれ、ともにモスクワへ行ってスノーデンに会いました。またジョセフはスノーデンをリスペクトもしていました。ジョセフは実に巧みにスノーデンを演じてくれたと思います。実はスノーデンはいわゆる典型的な“ストーン映画”のアクティブなヒーローではなかったため、批判をされました。彼は受け身で、もの静かな人間。むしろパートナーのリンゼイの方がアクティブなキャラクターでした。

 諜報機関での監視というような仕事を長く続けていると、人は次第に抑圧されていくと思うのですが、この対照的な2人だからこそ、惹かれあい、そして補いあう事によって良い関係を築き、また、スノーデンはその人間性を保ち続けられたのだと思います」(…会員限定ページへつづく)

関連記事