「工事自体の差し止めを求めて9月21日に裁判を起こしました。法律的には差し止めの裁判と、裁判が終わるまでの間工事を止めてもらうという仮処分、この二つを提起しています。仮処分の結果は年内に出る見込みです。原告は周辺住民33人。代理人弁護士は30人で私はその一人です」
沖縄県東村高江で米軍北部訓練場ヘリパッド(離着陸帯)建設に反対する住民が、那覇地方裁判所に提訴した。被告は国。
2016年10月13日(木)、高江在住の安次嶺現達(あしみねげんたつ)氏と伊佐育子氏、弁護士の小口幸人氏が日本外国特派員協会で記者会見を行った。
小口弁護士「ヘリパッドは17個もあります。残りの4個のヘリパッドを作るかどうかという話と、軍事とか、平和とか、抑止力の話は関係ないと思います」
会見では伊佐氏が貴重なやんばるの森で自然が破壊されていることや、ヘリパッド建設に反対したことで2008年に国からのスラップ訴訟で8歳の子どもまで含めた15人が訴えられたこと、全国から集められた機動隊が高江で市民への違法な弾圧を繰り返していることなどを紹介し、沖縄以外で報道されない異常さを訴えた。
▲高江在住の安次嶺現達(あしみねげんたつ)氏
また、安次嶺氏は夜遅くまで続くオスプレイの騒音により、子どもたちが眠れず、通学へも支障をきたしている生活の状況を紹介した。
「沖縄は1879年(明治12年、琉球処分の行われた年)まで、基本的には(日本とは)別の国でした。その65年後、第二次世界大戦において沖縄は地上戦が繰り広げられました。多くの土地が米軍に軍事施設として奪われました。戦争で奪った土地をその後も使い続けるのはハーグ陸戦規定で禁止されていますが、その多くは今も基地として使われています」
沖縄の歴史と現状をそう説明した小口弁護士は、「ヘリパッドの移設工事というのは北部訓練場の返還の条件になっていますが、沖縄の歴史から見れば、過去に奪われたものを返してもらう、ただそれだけに過ぎません。奪われたものを返してもらうのに、なぜ新しいヘリパッドを作らなければならないのか」と、「沖縄県民のおもい」を代弁した。
さらに「日米両政府は在日米軍がアジア・太平洋の平和のために非常に重要だと言っている」という記者の質問に答えた小口弁護士は、「とても大事な点ですが、今回のヘリパッドは基地ではありません。訓練場です。ヘリパッドはもともと22個あって、北部訓練場の一部を返してもらう時に7個減ることになる。
新しいのがもう2個できていますから、このまま返してもらってもヘリパッドは17個もあります。17個では訓練に足りないというならまだわかるが、そんなに使っている気配は全くありません。だから、残りの4個のヘリパッドを作るかどうかという話と、軍事とか、平和とか、抑止力の話は関係ないと思います」と語った。
▲小口幸人弁護士