「参院選では自公をギャフンと言わせるために、野党に一票を投じたい!」~安保関連法に反対する創価学会員たちが、創価学会本部前で抗議のサイレント・スタンディング!!その後、8名の学会員たちが思いのたけをぶちまけた! 2016.7.3

記事公開日:2016.7.5取材地: テキスト動画
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(取材・記事:安道幹)

 「私たちは、安保法は池田名誉会長の思想に反しているということで声を上げている。あの法案は、名誉会長であれば絶対了承はされないだろうと私たちは確信しています」―。

 7月3日、東京都新宿区にある創価学会本部前で、安保関連法に反対する学会員たちが、サイレント・スタンディングを行なった。集まった学会員は総勢35名。学会員たちは、「安保推進の公明党を支援することは創価三代に違背している!」「安保法制を容認し師匠に敵対する執行部は退陣せよ!」「安保法制に反対の声を上げる会員を処分するな!」などと書いたプラカ―ドや横断幕を掲げ、昨年9月に自公による安保法案の強行採決を容認した公明党および創価学会執行部に抗議の意志をあらわした。

 IWJではその様子を取材し、参加者にインタビュ―を行なった。以下、インタビュ―の様子を掲載する。

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▲サイレント・スタンディングの様子

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◼️7・3 創価学会本部前 サイレントアピール
※映像の途中まで音声が聞き取りづらくなっております。申し訳ございませんが、なにとぞご了承ください

「学会内では安保賛成の話はしていいんだけど、反対の話はしちゃいけない。発言を制されている状況です」(元創価学会職員・野口裕介氏)

――今日はどのような方々が集まったんですか?

野口裕介氏(以下、野口・敬称略)「私たち3人でブログで学会員に呼びかけを行いました。昨年の安保法の可決から、公明党に対して疑問を抱いている方。またその大元が創価学会本部の“狂い”に原因があるんじゃないかと憂えている方々が集まりました」

――反対の声を公然と上げるのは、勇気のいることだと思いますが?

野口「なかには村八分にされたり、役職を降ろされたり、会合に誘われなくなったり、様々な苦闘の中で、集ってくださった方々です。今選挙中ですので、学会内で安保賛成の話はしていいんだけど、反対の話はしちゃいけない。発言を制されている状況です」

――公明党が安保法案に賛成したことに、反対の思いを持っている方は、学会の中でどれくらいおられますか?

野口「きっと声には出さなくても、多いと思います。直接反対の声を出さなくても、何かおかしいんじゃないか?と疑問に思ってらっしゃる方は、見えないところでたくさんいらっしゃると思います」

――公明党や創価学会の上層部は、こういった反対の声に耳を傾けようという姿勢はありますか?

野口「まったくないと思います。私たちは、安保法は池田名誉会長の思想に反しているということで声を上げているんですね。あの安保法は、名誉会長であれば絶対了承はされないだろうと私たちは確信しています。今、名誉会長が表に出られないことをいいことに、執行部が思いのままに組織を運営してしまっています。師匠に対してのこうした裏切りに、私たちは怒りを持っています」

――参院選では公明党に投票するかどうか、迷っておられますか?

野口「正直言えば、公明党とは書けないですね。NOはNOと言わないと、公明党のためにもなりませんし。先生も公明党がおかしくなったら、応援しなくていいとおっしゃっています。創価学会員は公明党を応援するために、存在するんじゃないとおっしゃっている。

本来は公明党が力を付けて、(学会の力を借りずに)社会で信頼を得て、自力で当選するようになってほしいというのが名誉会長のお考えなんですね。そこまでおっしゃてるんです。だから、今でも公明党が学会に甘えているということ自体が、あり得ないことなんですね」

「池田先生は明らかに憲法9条を改正するべきではないとおっしゃっています」(元創価学会職員・滝川清志氏)

――今、どういう思いでスタンディングされてますか?

滝川清志氏(以下、滝川・敬称略)「本部は対話もしようとしませんし、池田先生を利用してるんです。今までの創価学会ではあってはならないことが起きていると思います。会員として、弟子として声を上げなければ、本当に創価を守るとか、今まで創価にお世話になってきたことの恩返しができないなという思いで、立たせていただいています」

――昨年の安保法成立から、声を上げ始めたんですか?

滝川「まず2015年7月の閣議決定では、本部としては最初は認めないというコメントを出していましたし、それはそうだと思っていました。まさに先生が言われていることだと。ところがその後、閣議決定が通った後、本部としてはそうじゃないと、公明党は努力したんだ、よくやったという話になっていったときに、おかしいぞという思いがありました。先生の意志がもうなくなってしまったんじゃないかと思ったことが、反対するきっかけでした」

――池田名誉会長の教えと、どのように矛盾を感じたのですか?

滝川「池田先生は明らかに憲法9条に関しても改正するべきではないとおっしゃっています。国家主義的な流れに対しては、先生は明確にそう言われている。本来、公明党が言うべきなのに、歯止めにもなっていない。むしろ、積極的に進める側に回っている。本来は、あの閣議決定について、自分たちはサインできないと言うべきでした」

――公明党の姿勢に違和感を持っている学会員の方は、他にもいらっしゃる?

滝川「私たちは、関西や東北などで安保法制を考える会など、やってきました。毎回同じ方が来られるわけじゃなかった。沖縄や九州からも、たくさんメ―ルをいただきました」

――安保法案は、池田大作氏の考えと明確に反するとおっしゃいましたが、逆に公明党の姿勢を支持している学会員は、どういった考えで支持されているんでしょうか?

滝川「基本的には、池田名誉会長がどうかということが判断基準には入っていないと思います。そこがまず問題です。現実がこうだからとか、こういう学者がこう言ってるとか、そういう話はたくさん聞きます。でも、本来私たちが弟子として考えるべきことは、池田名誉会長がどういう考えなのかを基軸に考えなければ、見えてこないと思うんですよ」

――今回の参院選は、公明党に投票しますか?

滝川「公明党には入れません。入れたら逆によくないと思います。反対の意志をしっかり示すことが、弟子としての立場かなと思っています」

「学会内では、安保法案の話題に触れないようにしていると感じます。これでは安保法が戦争にどう影響するのか、学会員の不安が取り除かれない」(学会員・野口桃子氏)

――どういった思いで今日は来られたんですか?

野口桃子氏(以下、野口・敬称略)「安保法制は どうしても戦争になってしまうと私は考えています。子どもを持つ母として、戦争を容認するような安保法には反対ということをアピ―ルしたくて、ここに来ました」

――今までも反対の意思表示をされたことはありましたか?

野口「サイレント・アピ―ルには参加してきました」

――学会内で、反対の声が上げづらい状況があるようですか?

野口「はい。学会内では、安保法の話題に触れないようにしていると感じます。学会内で行われる月1の座談会でも、別の話題です。安保法については『自分たちが悩まなくていいんだ』と。その話題には触れようとしません。これでは安保法制が戦争にどう影響するのか、学会員の不安が取り除かれないと思うんですね。そこが問題だと思います」

――これからも、反対の意志表示をしていきますか?

野口「はい、そうです。意思表示していきたいです」

「『あなたたちは共産党でしょう!』とレッテル貼りがすぐに始まります」(学会員・天野達志氏)

スタンディング終了後、改めて8名の学会員にお話をうかがった。以下、インタビュ―を掲載する。

――サイレント・スタンディングでは、学会の方もその様子を見ておられました。今日の感想をお聞かせください。

天野氏「お昼近くになると、婦人部の方々が通られてお話できました。あなたたちは共産党でしょう!とレッテル貼りがすぐに始まります。やっぱり私たちがやっていることを、最初から認めていただけない。大きな誤解があるのかなと感じました。本部の前で三色旗を掲げるのは迷惑だと。そういったことも言われました」

篠澤氏「決して公明党が嫌いなわけじゃない。止むに止まれぬ思い、そこを上層部は分かってほしいし、分かってないんだなとすごく思います。私も去年までは学会の活動に専念していた方なんですけども。今はこちらの闘いのほうが、自分自身にすごく納得のいくものだなと感じています」

――改めて、安保法案には反対?

石川氏(女性)「反対です。地元の幹部とお話するんですけど、通じないことが多くて。自分たちの意に沿わないことは全部ないことにされます。安保の話は、皆さん不勉強ですよ。何も分かっていないのに、私たちに対して『あなたの言ってることは反学会だ』と言われます。私は本当はこういうところに立って、自分の意志を言いたかったんじゃなくて、皆さんと一緒に、仲良く地元の人と話し合いをして、そうよねと喜んで活動できる、それがいいと思っているんです」

――昨年の安保法案可決以降、学会の中で、反対の声を上げる方は多くいらっしゃるんでしょうか?

天野氏「数としては把握できませんが、ただ、少数だと思います。大きな潮流にはなっていないと思います。よく現場の話を聞くんですが、そういう方はレッテルを貼られたり、孤立していますし。分断され、排除されていきます」

「変えてほしいのは、学会の隠蔽体質です」(学会員・佐藤氏)

――すぐに感情論になってしまい、学会内で安保法案について冷静に対話できる雰囲気ではなさそうですね。

河島氏「本当は僕らはもっと話がしたいし、対話をしたいと思ってるんです。そういった場を作っていきたいですし、もっと開いた場がほしいなと思っています。」

佐藤氏(仮名)「変えてほしいのは、いわゆる学会の隠蔽体質です。先生のご健康状態とか、幹部の方が急に変わったりとか。新聞に報道されない大型人事もあるわけです」

――皆さんは、池田氏の現在の健康状態を学会員に明らかにするべきだと訴えておられます。それは安保法制の問題とどのように関係してくるのでしょうか?

天野氏「私たちは池田先生を師匠として仰いでいます。もし今回の安保法の内容が、私たちが学んできた池田平和思想に違背するものであれば、先生ご自身のお考えとは異なりますから、先生から何らかのアクションがあるだろうと思ってました。しかし、先生はご病気で倒れられたこともあって、なかなか先生ご自身の考え方を出していないということがまずひとつあります。それは先生のご溶体を鑑みて、ということですね。

 それからもう一つは、2010年6月の大きな会合以降、先生は表に出てこられませんでした。その時に頂いたメッセ―ジは『いつまでも師匠を頼る弟子であってはいけないよ』と、『これからは君たちで考えて行動していきなさい』というものでした。今年の6月から、6年ぶりに先生のお写真が出るようになって、その姿は、ものすごいお痩せになられて、非常に健康状態が心配されるお写真だったんですね。それで、自分たちが先生に代わって、反対の声を上げたんです」

学会上層部は「池田先生は安保法に賛成」と歪んだ解釈!?

――学会員へのプロパガンダとして、学会上層部から、池田氏が安保法に賛成しているとする見方が示されることはあるんですか?

天野氏「そういうことはありますね。先生をまさに利用しています。もし先生が安保反対なら、反対だと意思表示されるはずだと。そういうロジックです。逆に言うと、反対のメッセ―ジを出していないということは、認めているんだと、そんなふうに学会員さんたちは教えられています」

――皆さんの他にも、「有志の会」(安全保障関連法に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者 有志の会)など、反対の声を上げている方がいます。そういった方々同士で、横のつながりはあるんでしょうか?

天野氏「連絡先を知っているくらいです。しょっちゅうはやり取りはないんです。それぞれが自立した気持ちでやっています。ただ思いが一緒なので、何かあると来て、(お互い)また会いましたねと。我々は分派活動じゃないですから(笑)」

石川氏(女性)「今日も始めてあった人とか、この前会った人ばかりです。みんな個人で来てるんです」

安保法に反対する学会員に対して、公明党・山口代表も「あの人たちは共産党だ」と中傷!?

丸山氏「私たち、公明党の山口代表から『あの人たちは共産党だ』って言われたんですよ」

――国会前で三色旗を上げて、安保反対の意思表示をしただけで「共産党員」だと?

天野氏「あの発言には本当にがっかりしました。私たちが求めているのは対話なんです。反対だっていう人をレッテル貼りしたり、排除するのは、本来の創価学会じゃないと思います」

「公明党は、『自立できなかった子供』」(学会員・石川氏)

――安保法が池田氏の教えに反しているなら、今の公明党執行部は一体どこを向いて政治をしているのでしょうか。どのように感じていらっしゃいますか?

天野氏「私が思うのは、自民と一緒に与党の立場を守っていくんだと。それが第一の目的になってしまったんじゃないかと思います」

石川氏(女性)「自分たちの今の状態を維持したいんだと思います。権力握っちゃうと、どうしても自分の意見を言えなくなる。公明党は、最初は本当に民衆の中から立ち上がったのに、ある程度の議席をもらって、与党に入って長いわけですから。今はもう自民党さんと同化しちゃってるんだと思います。もう民衆なんて見てないですよ。山口代表のいう『小さな声』なんて、どこにも届きません」

石川氏(男性)「もう一つは、やはり『自立できなかった子ども』です。公明党結成50年、いまだに自分たちで票を稼ぐことができない。みんな創価学会におんぶに抱っこです。学会も『なぁなぁ』で子どもを可愛がってきた」

――先ほど、どなたかにうかがいました。池田氏は、公明党は学会員以外の有権者からも信頼を得て投票してもらえるように、自立しなければならないと考えていると?

石川氏(男性)「はい。ですが、親である創価学会が、子である公明党を自立させるように仕向けなかったということです」

河島氏「僕から見ると、創価学会が公明党を盾にしているように見えるんです。(自公連立が成立する以前は)自民党からの攻撃がすごかったんですよ。池田先生を証人喚問しようとか、そういう動きもあって。それに懲りちゃって。権力からの攻撃が怖くて。それで与党に入る時に、自民党との駆け引きがあったんだと思います。与党にいれば、学会が攻撃されることはありませんから」

「自公をギャフンと言わせるために、野党に一票を投じます」(学会員・天野達志氏)

――今度の参院選はどこを応援していますか?また、野党共闘についてはどう評価されていますか?

天野氏「自公にお灸を据えたいなと思うんです。自民党にはまったく賛同していません。改憲草案や、バックに日本会議がいたり。もともと日本会議は国家主義、軍国主義の思想から出てきたものですよ。私たち創価学会の初代である牧口先生を獄死させた思想ですよ。本来、まったく相容れない。ですので、自民党はバツ。公明党もいい気にさせてはいけない。だから私は自公に投票はしません。自公を何とかギャフンと言わせるために、野党の方に私の一票を投じたいなと思っています」

篠澤氏「もちろん、そうです」

鎌田氏「小林節さんや、三宅洋平さんは、野党共闘でも拾いきれない人を拾おうとして立ってくださった。私は応援しています。野党の中で、憲法を守ろうという人達の中では割れてほしくないなと思っています」

 インタビューに答えてくれた創価学会員の天野達志氏は、昨年夏に国会で安保法制が審議された際、公明党本部に同法案撤回の署名を提出するとともに、国会前でもスピーチを行った。今回の参院選で東京選挙区から出馬している三宅洋平候補の「選挙フェス」では、創価学会員の若者が「これが池田大作先生が思い描いた世界なのか」と公明党を批判した。

 「平和と福祉」をうたっていた公明党は、最大の支持母体である創価学会員のこうした声にどう答えるのか。これからも変わらず、右傾化路線を突き進む安倍政権を支え、与党の座にしがみつき続けるのか。残りわずかとなった選挙戦の行方が注目される。

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