きたる参院選に向け、民主党は安倍政権の明確な対立軸となりうるか。
2016年1月13日、衆議院内で民主党・枝野幸男幹事長の定例記者会見が行われた。IWJは枝野幹事長に対し、同党の福山哲郎議員が京都市長選において「共産党と徹底的に闘う」と発言したことへの受け止めや、北朝鮮による拉致被害者家族・蓮池透氏が刊行した著書の内容の真偽を問われて「逆上」した安倍総理への対応について質問した。
(取材・記事:城石 裕幸 記事構成:原佑介)
※1月15日テキストを追加しました!
きたる参院選に向け、民主党は安倍政権の明確な対立軸となりうるか。
2016年1月13日、衆議院内で民主党・枝野幸男幹事長の定例記者会見が行われた。IWJは枝野幹事長に対し、同党の福山哲郎議員が京都市長選において「共産党と徹底的に闘う」と発言したことへの受け止めや、北朝鮮による拉致被害者家族・蓮池透氏が刊行した著書の内容の真偽を問われて「逆上」した安倍総理への対応について質問した。
記事目次
■ハイライト
冒頭、枝野幹事長は、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」対策(所得の低い高齢者に対する1人3万円の臨時給付金など)を盛り込んだ今年度の補正予算案について、「様々な課題が山積している中での補正予算審議だが、審議時間があまりにも短い。大変遺憾で、審議は極めて不十分だ」と批判した。
また、安倍総理の国会答弁に対し、「基本的には民主党政権の批判と悪口だ」と指摘。「政府として聞かれたことに真摯に答えず、過去の政権の批判を繰り返している。総理大臣が過去の政権の批判をして自らに突きつけられた問いに正面から答えないという政治の劣化ぶりは大変深刻だ」と糾弾した。
「とにかく自らのやっていることはすべて正しい、という姿勢だ。国会での答弁は質問者に対しての答えではなく、国民に対して答えているのであって、質問者がご自身にとって気に食わない相手であってもそれは国民から聞かれていることだ。それに対して子供の口げんかのように質問者に罵詈雑言を浴びせて聞かれたことから逃れるという姿勢は、政治の劣化として深刻に受け止めざるをえない」
衆院予算委員会では、安倍総理が「逆上」する場面もあった。
民主・緒方林太郎議員が、北朝鮮による拉致被害者・蓮池薫氏の兄であり、家族連絡会の元事務局長だった蓮池透氏の著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)を取り上げ、「首相は拉致を使ってのしあがったのか?」と、本の内容の真偽について質問した。対する安倍総理は、「極めて不愉快だ。何の意味があるのか」「北朝鮮の思うつぼだ」とまくしたてた。
この件に関してIWJは「今後、関係者を呼んでさらに話を聞くなどといった考えはあるのか」と質問したが、枝野幹事長は「それはむしろ質問をした緒方議員に聞いていただきたい」と回答するにとどまった。
「安倍政権の暴走をただす」と標榜する民主党だが、京都市長選では自民・公明とともに現職の門川大作市長を推薦すると決めており、同党の福山哲郎参議院議員は、「(市長選では)共産党と徹底的に闘う」と発言。市門川市長の対抗馬となる元労組委員長・本田久美子氏(共産推薦)を意識した発言だが、参院選に向け、野党共闘を求める市民らからは大きな批判の声が上がった。
福山議員はツイッターで、「国政と市長選を混同されている方もいらっしゃるかもしれません。門川京都市長は、元々8年前、民主党が担ぎ出した方であり、自公だけの推薦候補ではありません」として門川市長の実績を列挙。さらに、「共産党は他の候補者を立てているので『戦う』というのは当然のことと考えます。言うまでもありませんが、今夏の参院選の1人区においてみんなで勝てる候補を応援しよう、という話とは異なる話です」と弁明した。
しかし、民主党の推薦する現職の門川大作氏は、かつて第一次安倍政権の「教育再生会議」の委員を務め、「美しい日本の憲法をつくる京都府民の会」の設立総会に激励の祝電を送っていたことも明らかになっている。同会は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の地方組織で、その実態は日本会議。その点で門川市長は、安倍政権目指す「改憲」を後押しする人物だとの見方もある。
これについてIWJは、「市長選挙であれば、改憲勢力を応援しても(改憲が争点となる)夏の参院選における野党共闘に影響はないのか」と質問した。
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