【安保法制国会ハイライト】後方支援での自衛隊員の安全確保規定「なかった」!民主党・福山哲郎議員の追及に的外れな答弁を繰り返す安倍総理と中谷大臣に鴻池委員長も「時間が無駄」と善処求める 2015.8.28

記事公開日:2015.8.28取材地: テキスト
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(佐々木隼也)

特集 安保法制

 「安全確保義務、あるいは、活動区域を定めた規定がないというのは承知をしておりました」ーー。

 安倍総理はこれまで、安保法制において自衛隊員の安全確保は「当然」であり、「明確に定めた」と強調してきた。しかし「存立危機事態における後方支援」を定めた法律には、隊員の安全確保が規定されていないことが判明。野党の追及に、安倍総理はこの事実を「知っていた」と開き直った。政府は、総理のこれまでの答弁と実際の法案の「矛盾」を、戦場に派遣される自衛隊員に、どう説明するのだろうか。

 2015年8月25日の参議院で午前の質問に立った民主党の福山哲郎参議院議員は、「存立危機事態における後方支援」を定めた「米軍等行動関連措置法」で、自衛隊が海外活動を行う際の「安全配慮」「実施区域の指定」「一時休止」「撤退」などの安全確保がどのように担保されているかを聞いた。

 安倍総理はこれまで、隊員の安全確保をなどを定めた公明党による「北側三原則」について、「全面的に受け入れ、三原則を法律上の用件として明確に定め、全ての法案にこの原則を貫徹することができた」、「全ての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれた」などと説明。安全確保の措置が全ての法案に盛り込まれたような印象を与えてきた。

 中谷大臣も、これまでの国会審議で何度も「安全配慮」「実施区域の指定」「一時休止」「撤退」は確保されていると答弁してきた。今回の福山議員の質問にも、中谷大臣は「これまで答弁をしてきたとおり、安全の確保、また配慮等につきましては、法案に明記している」などと答弁した。

 しかし、実際は「米軍等行動関連措置法」には、こうした自衛隊員の安全確保に関する規定は盛り込まれていない。

 この点を追及されると中谷大臣は、同措置法の第4条に、「隊員の自己保存のための武器使用の規定が書かれている」「武力攻撃を排除する範囲内でも、(武器使用は)事態に応じて合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならないと規定している」と書かれていることをあげ、これが「隊員の安全確保に配慮したものだ」と述べた。

 「武器使用の権限がある」「しかし必要最低限度だ」ということが、なぜ「隊員の安全確保を明記したもの」と直結するというのか。この不可解な中谷大臣の答弁に、議場は紛糾し質疑は中断。その後も中谷大臣は同様の答弁を繰り返し、速記が3回止まった末にやっと、「一時休止、中断とか、実施区域に規定、これに関する事項はございません」と、同措置法に安全確保が盛り込まれていないことを認めた。

 しかし中谷大臣は、今度は「後方支援の実施はその性質上、安全な場所であるということが大前提。それが隊員の安全確保のために必要な措置を担保したということだ」という主張を展開。後方支援を実施すること「そのもの」が、つまり隊員の安全確保につながるのだ、という筋の通らない答弁にまたも議場は紛糾。7回の質疑中断の末、午前の審議はいったん休会となった。

 明けて午後の審議で答弁に立った安倍総理は、午前の質疑で理解が得られなかった「同措置法の第4条」を持ち出し、中谷大臣の答弁を繰り返した。結局、午前と午後にまたがった約40分の質疑で、13回も中断するという異例の事態にも関わらず、安倍総理と中谷大臣から明確な答弁が発せられることはなかった。

 噛み合ない答弁に業を煮やした鴻池祥肇委員長が、「これ以上議論がかみ合わないと質疑の時間が無駄になる」と釘を刺し、政府側に「善処」を求めたほどだった。

 政府の統一見解は、存立危機事態においては「現に戦闘行為が行われている場所」でも後方支援は可能だとしている。「安全配慮義務」も「実施区域の指定」も「一時休止」も「撤退」も規定されていない法律に基づき、自衛隊員が「戦場」に派遣されることになる。

 「総理は(規定が存在しないことを)知っていて、『後方支援は安全が確保されない限りやらない』とか、『全部の法案、全ての法案に盛り込まれている』とか答弁で言っているとしたら、これまさに国民をだますことになる。総理は答弁だけで調子のいいことを言っているが、(規定が)ない状況で、これ自衛官にどう説明するんですか?」

 福山議員は質疑の最後、こう憤った。この問題は、次回以降の審議でも引き続き追及が行われる予定だ。以下、40分に及んだ質疑のうち、午後の後半戦の全文文字起こしを掲載する。

8月25日、参院特別委での福山議員の質疑

福山哲郎議員「それでは、質問を続けたいと思います。

 先ほど防衛大臣は、米軍等行動関連措置法に、いわゆる後方支援、存立危機事態の後方支援については法案の中に安全確保がない、規定がないということを認めていただきました。

 総理、総理はこの米軍等行動関連措置法に安全確保の規定がないことは御存じでしたか御存じではなかったか、もう正直に、単刀直入にお答えください」

安倍総理「この規定が、定めた規定が、安全確保義務あるいは活動区域を定めた規定がないというのは承知をしておりました」

福山議員「義務ではなくて配慮等ですが、総理が知っていた。知っていたなら、ガイドラインに基づく後方支援というのは実は4種類も5種類もございます。そして、この存立危機事態における後方支援が規定がないということを御存じだったとしたら、総理の、この、北側三原則における自衛隊の安全確保の答弁がそごを来しします。

 もう一度御覧ください。北側三原則の自衛隊の安全確保のための必要な措置です。必要な措置を定めること、政府としては、全面的に受け入れまして、三原則を法律上の要件として明確に定め、全ての法案にこの原則を貫徹することができた。

 その下でございます。全ての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれたものと考えていますと。この答弁を聞いた国民は、ああ、全ての安全保障法案には安全確保の措置がとられたんだと、そういうふうに認識するはずでございますが、総理が知っていたんだとしたら、このことに対してこういった答弁をするのは、私は国民に対して一定の、だますという言葉は言葉が悪いので、誤解を与え、ある種事実と違うことを総理は述べたというふうに私は考えますが、総理、どうですか」

安倍総理「この北側三原則につきましては、与党間で何回も議論を行ってきたところであり、そしてこの三原則の法的担保をどの条文から読んでいくか、あるいは条文としてしっかりと規定していくかということについては与党で議論をしたところでございます。

 そこで、米軍等行動関連措置法第4条において、『行動関連措置は、武力攻撃及び存立危機武力攻撃を排除する目的の範囲内において、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない』。言わば、限度を超えるものであってはならないということにおいて、その規定に規定しているとおりでありまして、この目的、限度内において行う、目的、限度内において行うとの限定があり、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであると、まさにこれは与党においてそういう合意がなされたわけでございまして、このように我々は解釈をしているところでございます」

福山議員「今の総理の答弁は4条ですが、4条は武器使用の合理的な限度、最小限度を定めているもので、隊員の安全確保を定めているものではありません。

 それは、中谷大臣が午前中何度も答弁をして、そして、結果としてそれが理解を得られなかったことをもう一回総理が答弁をするというのは、先ほどの委員長のお裁きに対して余りにも政府は不誠実だというふうに私は思いますので、今の答弁では私は納得できません」

安倍総理「今私が申し上げましたのは、武器使用を定めたものではございません。まさにこれは後方支援を定めたものでありまして、その中の行動関連措置について、どういう行動をするかということでありまして、これは武器の使用の限度を定めたものではなくて、その行動の中におきまして、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものではあってはならない、つまり後方支援の行うこの限度について定めたものでございます。

 であるからして、この目的、限度内において行うという限定があり、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであると、我々はこのように解釈をし、その中において、我々はこの北側三原則、この原則がこの中に趣旨として盛り込まれていると、このように解釈をしているわけでございます。

福山議員「総理、要件追加していないです。4条、変わっていないんですよ。改正していないんです。前と一緒なんです。規定を盛り込むもくそも、改正していないんです。それならもう全然、さっきの防衛大臣の答弁と一緒ですよ。これ、委員長、質疑続けられません、これでは」

安倍総理「いや、これは、まさに武力攻撃事態の中にある条文でありまして、この中にある条文において、今申し上げましたように、これは武器の使用の権限ではなくて、まさに後方支援について書き込まれた、この行動について書き込まれているものであります。

 その中において、今申し上げましたように、目的、限度内において行うとの限定があって、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであると、趣旨を含むものであるというふうにこれは我々は理解をしているわけでございまして、その中におきまして、まさに自民党と公明党の与党の議論の中におきまして、この北側三原則の趣旨がこの中に入っていると、このように我々は理解しているわけでございます」

【速記中止】

安倍総理「同じことなんです」

【速記中止】

鴻池祥肇委員長「安倍総理大臣、今の同じことだという話をちょっと聞かせてください」

安倍総理「私の答弁と中谷大臣の答弁においては、趣旨としては同じことを述べているわけでございまして、その件において先ほど委員長預かりになったわけでございまして、その中でまさに我々がこの答弁に対して善処するということにおいては当然同じことを私も答弁をするわけでありますから、それは同じ答弁になるということでありまして、その委員長預かりになった中に、当然これは私が答弁する中身においても、これは当然同じことを答弁することになると、こういうことでございます」

【速記中止】

安倍総理「先ほどこの4条について答弁をさせていただいたわけでございますが、更に質問をいただきましたので、席上において同じ答弁になるということについて申し上げたことについては撤回をさせていただきたいと、このように思います」

福山議員「ですから、趣旨を聞いているのではありません。全ての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれたと、それが4条だとおっしゃいますが、4条には実は盛り込まれたもくそも、存立危機事態だけが、条文が、内容が加わっているだけで、ほかの中身は全く加わっておりません。

 それで、総理が長々と答えられるので、これ本当困るんですけど、次の一覧表を見てください。

 実は、総理は何度もこういう答弁をされています。安全が確保されない限り、自衛隊による後方支援を行うことはないと言ってきています。言ってきている以上、自衛官の生命や身体に関わる問題であり、答弁でごまかすのではなく、法律に明確に規定すべきだと私は思います。答弁でそんな解釈でごまかして自衛隊の安全なんか確保できないんです。

 見てください、これ。これ、総理や大臣がいつも言われている後方支援の中の法律です。先ほど申し上げた米軍等行動関連措置法は、実施区域も安全確保も配慮義務も一時休止、中断もありません。なおかつ、存立危機事態においては現に戦闘行為が行われている場所でも後方支援は可能です。

 これは統一見解ではっきりと見解が出ています。総理が否定しようがしまいが、統一見解が出ています、政府から。現に戦闘行為が行われる場所でも実施が可能なところで安全配慮規定が全くありません。

 それから、国際平和支援法と重要影響事態法でいうと、安全確保の配慮義務が重要影響事態ではありません。これを僕は一つ一つ確認を質疑でしたいと思っていたんですが、全く質疑にならない。

 これを総理が知っていたんだとしたら、この安全確保が入っていないことを知っていて、国民に向かって、安全確保がされない限り自衛隊による後方支援を行うことはない、行うことはない、確保できている、自衛隊のリスクは減るんだ、これ全部、だって答弁違うじゃないですか。

 総理が知っていて、本当に後方支援は安全が確保されない限りやらないとか、先ほど申し上げたように、全部の法案、全ての法案に盛り込まれているとか答弁で言っているとしたら、これまさに国民をだますことになりますし、自衛官は、現に戦闘行為が行われている場所でも実施されるかもしれないところに安全配慮規定がないんです。総理は答弁だけで調子のいいことを言っているけれども、ない状況で、これ自衛官にどう説明するんですか。

 国際平和支援法も重要影響事態法も、実は可能性としては戦闘現場になるかもしれません。これは法律に書かれているんですけれども、そのことを僕今日聞こうと思っていました。戦闘現場になる可能性が二つの法案の場所もありますねと、法案に書かれていますねと聞こうと思いましたが、これも実は今日、本当にまともに答弁が返ってこないのでできませんでした。

 そして、委員長の御英断によって、私は委員長の裁量にお任せをしましたけれども、4条では安全配慮、安全規定ではありません。解釈でなんか安全規定やられたら、自衛官たまったもんじゃありません。この自衛官の安全確保というのは本当に今回の法案の根幹です。それをこういったごまかし答弁をして、全部に規定が含まれているんだとか、そして安全が確保できない限り自衛隊は出さないんだと答弁を衆議院からずっとやってきているのがこの結果です。

 私は、総理が答弁どおりだとおっしゃるのだったら、答弁どおりちゃんと規定を入れてください。総理の答弁どおりじゃないんだったら、衆議院から始まった答弁を撤回して審議やり直してください。そうじゃなければ、自衛官に、安全じゃないですよ、安全規定もないけれども行ってくださいと言っていただかなければ、余りにも不誠実だと僕は思います。

 今の私の三つのうち、総理、どれかお答えください。総理、もう時間ないんですから、総理」

中谷元防衛大臣「もう一度説明させていただきますが、この米軍行動関連措置法、これは物品と役務の提供でありまして、いわゆる後方支援であります。これは累次、私も答弁しているとおり、性質上安全に配慮しながら行うものでございます。

 この米軍の行動関連措置法の第四条はそのための法案でありまして、もう一点付言させていただきますが、この法案の中に、後方支援の実施に当たっては、安全確保措置についても十分配慮する所存でありまして、この中に行動関連措置法第十三条がございます。そこに行動関連措置に関する指針、これを作成するとなっておりまして、こういった必要な安全措置についてはここで、指針の中に盛り込んで安全を確保するということでございます」

福山議員「一個だけ反論します。先ほどは、総理も含めて四条だと言いました。その前は規定がないと言いました。今は十三条だと言いました。何なんですか、この答弁は。総理、先ほど私が言った三つのうち、どれかお答えください」

安倍総理「 これは4条であることには変わりがないわけでありまして、この四条の中において、これは先ほど申し上げましたように、政府としては、まさに後方支援の中において、『事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない』と規定をしており、この目的、限度内において行うとの限定があり、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う旨、趣旨を含むものであると、このように述べているわけでございます。これが政府の立場でございます。

 そして、今、中谷大臣から説明をさせていただいたわけでございますが、それは米軍等行動関連措置法に基づく後方支援の実施に当たっては、任務の遂行に際して必要な安全確保措置についても十分考慮する所存であり、その具体的な内容については、その支援の態様に応じて米軍等行動関連措置法第13条に規定する行動関連措置に関する指針において担保する考えでございます」

福山議員「法案に規定が盛り込まれていると何度も国会で答弁をし、そして今は、いきなり解釈が出てきたり、いきなり何か精神規定みたいな状況であったり、これ、自衛隊は実力部隊です。

 そして、本当に危険なところでの業務です。先ほど申し上げたように、命も安全も、家族もいらっしゃいます。こんな状況だということを国民によく知っていただいて、政府に対して本当に私は反省を求め、一旦今日は質問を終わりますけれども、とにかくこの続き、またやりたいと思います。ありがとうございました」(了)

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