選挙戦2日目の12月3日。京都1区、維新の党から出馬した田坂幾太候補が街頭演説を行い、同党の橋下徹共同代表が応援弁士として演説を行った。
橋下氏は冒頭から「告げ口をしにきた」と、橋下節を炸裂させた。今年2014年4月、消費税が8%にあがるのとほぼ同時に、国会議員の給料が月25万円アップしたことを指摘。国民に税負担を押しつける一方で、議員の懐は温めている実態を批判した。橋下氏は他にも、国会議員一人あたり、月100万円の経費が支払われているといい、庶民の生活とはかけ離れた優遇措置を、次々に暴いた。
今回の選挙は出馬せず、候補者の応援演説に徹底している橋下氏だが、テレビの党首討論に出演するなど、存在感の強さを見せつけている。また、候補者の擁立では、民主と協力体制を敷いている京都1区での演説だったが、橋下氏は容赦せず、民主党批判も展開した。
田坂候補が出馬する京都1区からは、無所属で、元衆議院議員の平智之候補も名を連ねている。
- 日時 2014年12月3日(水) 10:20〜
- 場所 京都駅前北側タワー前(京都市下京区)
※以下、演説要旨を掲載します
国民負担は何のため?「増税分の半分は公共事業にジャブジャブ使われている」
田坂幾太候補(以下、田坂・敬称略)「ずっと選挙区を回っていて、みなさんが言われることは、なぜ、こんな時期に解散して選挙をしなきゃいけないんだということ。
私もそう思います。でも、選挙になった以上は私も立候補して、みなさまに訴えをしなければいけません。2年前の選挙の時、先の社会保障のことを考えたら消費税5%を段階的に10%まで引き上げることを、みなさんも容認してくれた。
消費税が5%から8%、10%に上がる分について、社会保障を充実させるための財源として、そのお金を使わせてもらうから、何とかみなさんお願いしますよ、と。そう言っていたのではないですか。でも実際に、今年(2014年)の4月から上がった消費税のうち半分くらいしか、社会保障に使われず、後は公共事業にジャブジャブつぎ込まれてしまった。本当にそれでいいのか」
身を切る改革はどこへ?「国会議員の給料8%アップ」
田坂「国民のみなさんに痛み負ってもらうから、政治家は自ら身を切る改革をすると約束した。2年前のことだから覚えていらっしゃると思います。最低でも、自分たちの議員定数の削減、給料の削減をやってくれると思っていた。でも2年経っても、何もできていない。定数は5議席減っただけです。
そして、東北の大震災の時に、国会議員は自らの給料2割をカットした。少しでも復旧のためにお金を使おうと。ところが、びっくりしたことに、消費税が上がったときに、5%~8%、国会議員の給料はちゃっかり元に戻してしまっている。そんな政治でいいんでしょうか。
給料をどれだけ減らすのが正しいと、そういうことを言っているわけではない。国会議員が自ら約束したことは必ず守る、それが政治の基本ではないでしょうか。それがやれない今の政権。少し、大きな勢力にしすぎたのではないか。自民党、公明、会わせて326議席あると言われている。
今回の選挙、安倍さんに聞いたら「過半数を取ること」だと。議席が減っても構わないと言っているいるようなもの。何のために選挙をやるのか。自分の政権の延命、自民党のためだけの選挙をやるのではないですか」
既得権益まみれの自民党に日本の改革はできない!?
田坂「将来の日本のために、日本をどうしていくのか、みなさまに問いかける選挙です。私どもは、安倍政権を延命させるだけのこの選挙に、きっぱりNOを言っていきたい。そして、自民党政権に代わる、受け皿になる野党の再編をやっていかなければいけない。残念ながら時間がなかったので間に合わなかったが、限りなく、二大政党制に近づけていかなければいけない。
嘘のない政治をやる。これは、私たち政治に携わるものの努めではないでしょうか。景気が悪い、そして、将来への不安がある。素晴らしい日本を作ってくれた先輩たちが、安心して暮らせる制度を作るための増税だったら仕方ないが、そうじゃない増税は誰も望んでいない。
この街で、この国で、安心して暮らせる社会のための財源確保のために動かなければいけない。そのためには景気。アベノミクスを継続させるかどうか、今回の選挙で問いたい。安倍さんはそう言っていた。半分は間違いではないと思う。しかし第三の矢を放ったときに、大変なことが起きた。
自民党は、経団連という大企業の組織から献金をもらうことを再開した。自民党には、医師会、農協、いろんな団体がついている。放った矢は、団体の大きな岩の前に朽ち果てた。既得権益を持っている団体に世話になっている政党に、日本のこの大改革はできない。どこができるのか。全く、既得権益、団体企業、組合にお世話になっていない、ただ一つだけの政党、維新の党であります」
橋下氏「告げ口をしにきました」国会議員の給与アップと月100万の自由経費?
橋下徹共同代表(以下、橋下・敬称略)「今回の選挙は、みなさん、あまり関心がないと思う。どうせ自民党が勝つんでしょと。維新の党も全国で80名くらいしか候補者をたてていませんから、明日あさって僕らが政権を取るのは、難しい状況であることは間違いないんです。それでも皆さんに聞いてもらいたいことがある。
告げ口をしにきた。国会議員の酷さを知っていますか。今年(2014年)の4月から消費税が上がりました。普通の生活をしている人からすれば、3%上がったというのは大変ですよ。一部、大企業の社員の賃金は、1%から2%上がったと言われている。
でも、働きにいかれているみなさんのほとんどは、実感はないでしょう。それはそうでしょう。給料以上に物価が上がっているんですから。年金で生活している方、マクロ経済スライドといって、物価が上がってくると年金の価格は抑えられるんです。年金をもらっている方、年金額は目減りしているんですよ。
今年5月、国会議員が給料を上げたことをご存知ですか? 額にして、月額25万円ですよ。月額25万円と言えば、一ヶ月分の手取りの給料ですよ。それを、国民には知らせない。これから負担をお願いする時代になるんでしょう、だったらまずは、国会議員が身を切るのが当たり前ですよ。給料削減をまずやりなさい。議員の数が多いんです。自民も公明もこの2年間、身を切る改革は全くやっていない。
安倍さんは、メディアや野党から批判された法律をどんどん通しましたよ。それだけの実行力があるんだったら、自分たちの給料を削る法律をすぐ出せばいいんですよ。自民、公明、圧倒的な多数があるんですから。でも、給料を月額25万円上げてしまった。こんなの納得できますか。
国会議員は自分の給料とは別に、月額100万円の経費をもらっているんです。年間1200万円。会社で経費の請求をしたら、どれだけ経理担当にうるさく言われるか。『ちょっと食事代高いんじゃないの? 領収書出しなさい』と、会社から。まあ、サラリーマンは四苦八苦するのが現実。国会議員は、領収書を一枚もつけなくていい。報告書も出さなくていい。これでは、何に使っているか分からないじゃないですか。
おかしいと思って、維新の党はルールを作った。『文書通信交通滞在費』というものについては、これから領収書をHPにのせて、国民に報告する。維新の党だけそういうルールを作った。
自民、民主、公明に働きかけをした。『領収書くらい付けましょう』と。3党は知らん顔。民主党も5年前、過半数を持っていたとき、身を切る改革をやらなかった。自民、民主、公明は、自分の懐だけは守る。そのくせ、国民の懐は痛めつける。私は腹が立って仕方がない。でたらめなことをやっているから、大阪で維新の会を立ち上げた」
「給料3割減、退職金5割減」、大阪府知事時代の「身を切る」改革をアピール
橋下「大阪維新の会、知事についた時、給料を3割削減した。退職金は5割削減。大阪市長になって、給料4割削減、退職金は8割削減しました。
大阪市長に過ぎないのに、なぜ、党首討論ができるのか。大阪府民のみなさんが圧倒的に支持をしてくれているから。府議会で過半数を取った瞬間に、給料を削減し、議員の数をカットした。次は公務員改革をやった。大阪も天下りだらけだった。維新の会になって、天下りの団体は75%、天下り職員は70%カット。天下りの団体が受けている特権的な契約は80%カットした。大阪府の職員は6400人削減した。徹底した改革をやり続けて、生み出したお金は、医療、教育、福祉にぶち込んでいる。教育予算は67億円だったが、教育予算は5倍になって、365億円を超えた」
身を切らない自公、民主を徹底批判「政治家の役割は税金の無駄使いを改めること」
橋下「政治家ごときが、明日の日本をバラ色にする、給料を倍にするなんて力はないんです。政党代表者は、みなさんの生活を豊かにすると言いますが、そんな能力はない。政治家がやることは、税金の無駄を徹底的に改めて、医療、福祉、教育に還元する。
今の国会を見てくださいよ。みなさんに負担だけを押し付けて、自分たちの給料は20%アップ。月25万円アップしといて、誰が改革について行くというんですか。みなさんの方がよっぽど苦しい生活をしているんですよ。安倍さんは2017年4月に消費税を上げると名言した。ちょっと待ってくださいよ。身を切る改革をやって、それでもどうしても足りなければ、最後は頭を下げて消費税増税をお願いする。それが、政治の道理でしょう。今の自民、民主、公明、真逆のことをやっている。だから頭に来ているんです」
維新の党の役割「国会のおかしさを騒いで伝える」
橋下「僕は口も悪いし態度も悪い。でも告げ口するような存在が必要なんですよ。維新の党からは、80名くらいしか立候補してないですが、一人でも多く国会に送り込んで、国会のおかしさを、騒いで伝える役割を担わせてもらいたい。
アベノミクスがいいか悪いか。大きな争点になっているが、全然違います。アベノミクスは株をやっている人、大企業の職員の給料を上げた。それに、私は反対はしない。民主党は無責任な野党ですから、徹底的にこれに反対する。民主党は国民の生活を豊かにするというけど、どうやってやるのか。そこに回答がない。良いことばかり言うが、何もできなかったのはなぜか。お金を見つけることができなかったから」
1800市町村役場の公務員給料適正化で5兆円の経費削減