「知る権利が奪われ、国民主権は空洞化」 〜学習会「国家安全保障基本法と秘密保護法」 講師 飯島滋明氏 2014.3.6

記事公開日:2014.3.6取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

特集 秘密保護法|特集 憲法改正

 「戦争による最初の犠牲者は、情報である」──。2014年3月6日、名古屋市の愛知大学車道校舎にて、学習会「国家安全保障基本法と秘密保護法」が行われた。名古屋学院大学准教授の飯島滋明氏は、国家安全保障基本法と秘密保護法によって、国民主権が空洞化していく危険性を解説した。

 この春、安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)の報告書を提出し、憲法9条の解釈改憲により、集団的自衛権の行使容認に踏み切ろうとしている安倍政権。飯島氏は「国民が反対の意志を表明し、権力の暴走を抑えることが重要だ」と力を込めた。

■全編動画

  • 講師 飯島滋明氏(名古屋学院大学准教授)

秘密保護法は日本国憲法の3大要素に抵触

 はじめに、愛知大学教授の田中光照氏は、特定秘密保護法の内容が、日本国憲法の3大要素である『国民主権、平和主義、基本的人権の尊重』のすべてに抵触していることを指摘し、「廃案にするためには、市民が秘密保護法の問題点を学び、理論武装する必要性がある」と述べた。

 講演を行った飯島滋明氏は、国家安全保障基本法について触れ、「この法律は、自民党の改憲草案と重なる部分がある」と指摘。「集団的自衛権の行使を可能にし、平和主義を破壊しようとする自民党の考えを理解する上で『良い参考材料』になる」とした。

非人道的軍事介入のための隠れ蓑、集団的自衛権

 続いて、集団的自衛権について解説する中で、飯島氏は「戦争の最初の犠牲者は、真実である」というアメリカの政治家、ハイラム・ジョンソンの言葉を紹介した。「集団的自衛権を行使するにあたって、海外派兵のための装備を充実させると同時に、国民や自治体の協力体制が求められていくことになる」とし、そのための愛国教育、広報活動によるマインド・コントロール、不都合な情報を隠蔽する法整備が進められていくことを問題視した。

 また、集団的自衛権によって、アメリカはベトナム戦争に、ソ連はハンガリー、チェコスロバキア、アフガニスタンへ軍事介入し、そこで残虐な行為を行ってきた歴史を振り返りながら、集団的自衛権が、実際には、侵略戦争、非人道的軍事介入の隠れ蓑になっている点を指摘した。

秘密保護法によって国民主権は空洞化

 特定秘密保護法については、権力者にとって都合の悪い情報が、特定秘密の名目で隠蔽されることにより、「国民の知る権利が奪われ、国民主権が空洞化する」と懸念を表明した。加えて、テロ対策の名目で、権力者による監視社会が強化される可能性を危惧。「主権者に対して、国は情報を広く公開しなければならない。秘密保護法への反対運動などによって、国民の意思を表明することは、権力者の暴走を抑える点でも重要である」と主張した。

 また、質疑応答の中で、国家安全保障基本法によって、日米間の軍事一体化が加速し、自衛隊が米海兵隊化していく危険性などについても触れた。

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