【大雪被害】救援活動でめざましい力を発揮した「SNS」 〜市民と行政がTwitterで連携、災害対策の新たな可能性 2014.2.21

記事公開日:2014.2.21 テキスト
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(ぎぎまき・佐々木隼也)

 2014年2月14日からの記録的な大雪で、各地で雪崩や建物屋根の崩落、雪で車や電車が立ち往生し、交通網が遮断された集落では、多くの孤立地域が発生した。未曾有の雪害で、消防も警察も役所も被害の実態把握が難航していたなか、飛躍的にその役割を担ったのがSNSだった。

 多くの被災者が、主にTwitterで自分の場所や周辺の状況を発信し、助けを求めた。これに被災県外の人を含め、多くの人間が呼応し、行政への働きかけや情報提供、被災者への声がけ、励ましを行った。

 そんななか、Twitterを通じて情報を集積し、整理して発信する、「市民有志による災害対策本部」も誕生した。

SNSを使った救援活動「市民災害対策本部」が誕生

 この「市民災害対策本部」が立ち上がったのは、被害がいよいよ本格的になり、Twitter上でも数多くの「救難信号」が発信されていた、15日の深夜である。

 立ち上げたのは、高尾洋平氏。先の参院選で三宅洋平氏や山本太郎議員が展開した「選挙フェス」の中心的メンバーでもある。高尾氏は大雪の被害状況が気になり、スマートフォンを使って、ツイキャスを開始。画面に向かってただひたすら視聴者に話しかけ、災害に関する情報を集め始めた。

 ツイキャス開始当時、視聴数は30〜40人。しかし次第に、各地避難所や、災害時の緊急連絡先、ガソリンスタンドやドライブインの情報などが集まり、視聴者がその情報をリツィートすることで、災害に関する情報がネットを駆け巡った。

 ほぼ同じ頃、岩上安身とIWJも、@iwakamiyasumiと@iwakami_staffで情報提供の呼びかけを始め、情報の集約と発信を始めた。また他にも都知事選に出馬した家入一真氏や、ジャーナリストの伊藤隼也氏も、情報の集約と発信を開始。相互にフォローし合いながら、状況把握の「ハブ」を形成していった。

 今回、政府やテレビなどの反応は極めて鈍かった。どこのメディアも詳細な被害の状況を報道しない中、Twitter上では大雪の被害状況がみるみる拡散し、多くのユーザーが反応。自分たちにできることは何かと模索し始めた。

 「政府批判をするというよりも、自分たちにできることは何だろうっていうのが、初動にありましたね」

 高尾氏は、とにかく情報の受発信を続けた。土曜日の夜中に開始したツィキャスも12時間を超え、ぶっ通しで画面に向かって話し続けた。情報が集約され、視聴者も増えていく中で、自然と、高尾さんのツイキャスが「市民災害対策本部」と名付けられることになった。

 15日の深夜から始まった「市民災害対策本部」は、2月20日現在まで、情報発信はほとんど止まることなく、名乗りをあげた複数のメンバーでツイキャスを続けている。

一人のSOSを皆でフォローする「立ち往生リスト」

 16日、市民災害対策本部の動きから「立ち往生リスト」が生まれた。Twitter上に投稿された、車の中で立ち往生している人たちの声を拾い上げ、リスト化したものだ。多くのTwitterユーザーが、国や行政が把握できない「一人」のSOSを、詳細な場所と状況などの情報を添えて、付近の自治体や消防などに通報した。

 リストは誰もが閲覧、編集できる機能を持たせた。偽情報を書き込まれるリスクよりも、緊急性を考慮した。「立ち往生リスト」はみるみるうちに6,000人がアクセス、リストは随時更新され続けた。

 市民たちは、河口湖周辺で車両ごと動けなくなったというツイートを拾い、詳細を河口湖町役場に通報。群馬県内の国道で立ち往生している女性のツイートをもとに、群馬県庁に通報した。

 Twitterに流れる被害状況を、国はもちろん、行政は把握しておらず、ネットを通じた情報収集を行っていない場合が多かった。「市民災害対策本部」の小さな動きは、そんな行政と助けを求める市民とのパイプ役となった。

 実際に被害に遭った人からは、「雪の中で3日、4日取り残される孤独な状況下で、誰かが自分の窮状を知り、励まし見守ってくれていたのが、何よりも精神的な支えとなった」という声が多くあがった。

「ボランティア活動を可視化する」という試み

 そんななか高尾氏は19日、雪かきボランティアのため、秩父のボランティアセンターに向かった。そしてボランティアセンターからツイキャスを使って中継を開始。センターの様子や、作業の内容、現地の被害状況を可視化した。すると、それを見た視聴者が続々と、ボランティアに志願するという流れが生まれた。

 また、秩父以外のボランティアセンターの情報など、自然と、各地のボランティア募集の情報が集まるようになった。それだけではない。その盛り上がりの中で、「立ち往生リスト」に続き、誰かが「ボランティア募集リスト」を作成。みるみるうちに、各地のボランティアセンターの情報がリスト化され、ネット上で拡散された。

 大雪から6日たった20日午後2時現在、各地にはまだ、600世帯以上が孤立している。自衛隊や民間による除雪作業が不眠不休で行なわれているが、市民レベルの助け合いはこれから必要になってくる。

 「市民災害対策本部」は今後、災害ボランティアの体制づくりを目指し、緑の党や、先の都知事選に立候補した家入一真氏とも連携し始めた。

 市民に何ができるのかー。

 今回、誰よりも早く、被害状況を発信し、情報を集約してきたのは間違いなく市民だ。ネットという情報共有のスピード力も、大手マスコミよりも断然早い。こうした特性を活かしが「市民災害対策本部」は今後、国や行政では手が回らない部分を補足し得る力になるかもしれない。

 「市民災害対策本部」のツイキャスは、下記のURLで視聴が可能。ツィッターでは、ハッシュタグ#市民災害対策本部で検察することができる。

SNSを活用し災害対策に活かした長野県佐久市・柳田清二市長

 今回の大雪対策でSNSを活用したのは、市民だけではない。長野県佐久市の柳田清二市長も自ら陣頭指揮を取り、SNSをフル活用した救助活動を行った。

 柳田市長は16日、自治体の連絡網では状況判断に限界があると見切り、午前11時45分に、以下のようなツイートを投稿している。

 柳田市長が佐久市付近の情報をTwitterを使って募っている、との報はまたたく間にSNS上に広まり、実際に付近で立ち往生をしている方からの救援信号や、そうした助けを求める声を拾った県外のフォロワーから、多くの情報が寄せられた。

 寄せられた声に対し精力的に対応し、SNS上で市民と積極的に情報交換を行い、除雪が必要な場所の情報提供に関しては、迅速に関係各所に指示し、対応を急いだ。

 今回の雪害で被害が長引いた主な原因は、情報把握の困難さである。雪で交通網・通信網が遮断された状況において、自治体側も情報の集約と整理は困難を極める。その難点を、柳田市長はSNSを使い、現地からの位置情報と写真を投稿してもらうことで克服した。災害対策において、SNSの活用の重要性を改めて示した例と言える。

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「【大雪被害】救援活動でめざましい力を発揮した「SNS」 〜市民と行政がTwitterで連携、災害対策の新たな可能性」への1件のフィードバック

  1. 宮澤 望 より:

    大雪/SNS情報に対する姿勢は議員により大差 普段防災防災叫ぶ人必ずしも災害に関心なく。地元目配りだけが政治家の役割ではないが、地元議員でも16日午後明るみに出るまで知らなかったらしい人もいた。後で国会質問で心配や同情しても票目当てにしか見えず(以降も音無しの議員もいたから、それよりはマシか)
    選挙の投票の参考にはなる。予想たがわず頑張る党も、意外にダンマリも、真剣さで見直した党も。がっかりさせられた党も。

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