「脱原発都都知事選候補に統一を呼びかける会」は2月3日、日本記者クラブで記者会見を開き、細川護熙・宇都宮健児両氏の「候補統一化」を、改めて求めると発表した。同会は、会見後に両陣営を訪問し、一本化への協議を要請すると説明した。
同会が両候補に要請する内容は下記の4つ。
- 両陣営は、確実な都知事当選を目指して候補者を一本化し、選挙運動で協力する。
- 両陣営とも、目標「原発ゼロ」に合致する政策内容の具体化とその実現に努める。
- その他、2020年オリンピック、社会保障など諸政策についても協力関係を強める。
- 以上の方針実施を確かなものとするため、新知事は選挙後に辞退側候補に都政への参与を求め、事実上の連立体制を組む。両陣営は予めその約束を協定化する。
- 会見者 むのたけじ氏(「たいまつ」 発行人)、澤地久枝氏(作家)、落合恵子氏(作家)、吉岡達也氏(ピースボート共同代表)
- 日時 2014年2月3日(月) 14:00~
- 場所 日本記者クラブ(東京都千代田区)
「統一化」は法的に可能なのか
「候補者の統一化」はイコール、どちらかに辞退を求めることだが、今の時点で候補者が降りることは公職選挙法に抵触しないのだろうか。この点について、呼びかけ人の一人であり、脱原発運動に長年関わってきた河合弘之弁護士が説明した。
「今の段階で一本化ということになった場合、どちらかの候補者が降りるというのは公職選挙法上、許されない。告示以後、候補者の辞退権はなくなります。今の時点での『一本化』というのは、どちらかが話し合いをして、『私は降りた』と宣言する。それは表現の自由で許されます」
つまり選挙期間中、どちらかの候補者に「降りる」と宣言させることで、有権者の票を一本化するというのが同会の狙いだが、両候補者は告示日前からすでに、「一本化」については難色を示してきた。
候補者はすでに一本化を否定
呼びかけ人であるジャーナリストの鎌田慧氏や、脱原発世界会議を主催する吉岡達也氏らは、告示日前から一本化を働きかけてきたが、一度は統一化を断念して細川氏の支持を表明していた。しかし選挙戦も残り一週間を切った今になって、再度「一本化」を申し入れる理由は何なのか。鎌田慧氏ら登壇者6名が、それぞれの想いを語った。
以下、登壇者の発言抜粋
ジャーナリズム研究者・桂敬一氏「宇都宮候補、細川候補どちらの陣営の集会に行っても、支持者は本心では、統一を望んでいる。鎌田さんに相談し、統一を呼びかけようということになった。統一しなければ、この国は大変なことになる。我々は何としても統一をまとめたい」
作家・落合恵子氏「都知事選は自治体の首長選挙ではなく、国政も左右するもの。宇都宮・細川両候補の得票率が、脱原発を抱えていない候補の得票率を上回った場合、私たちはそれをどう考えればいいのか。名護市長選、南相馬市長選の流れを切らないようにしたい。これは、どちらかの候補に降りて欲しいというものではない。
『話し合いの機会を下さい。もう一度考えてくれませんか』ということ。今、脱原発の陣営が分裂している。選挙後、両者が一つにまとまる期待も込めています」
前国連大学副学長・武者小路公秀「Facebookで統一化を求める議論を始めた。すると『宇都宮さんを裏切るのか』という抗議の声が届いた。私は、宇都宮さんを支持する考えは変わらない。細川さんの方から宇都宮さんに話し合いを呼びかけるよう提案したい」
脱原発世界会議・吉岡達也氏「有権者にとって、脱原発を掲げる候補が2人いることは、分かりにくいのではないか。今、脱原発志向の若者は多い。しかし、その票が分散し、結果的に原発推進勢力を勝たせてしまう。これでは若者の政治離れが進んでしまう。
国の大統領選でも、2000年の選挙で、ラルフ=ネーダーが勝てないことを承知のうえで立候補し、ゴアの票を食ってブッシュが当選しました。そのブッシュが、イラク戦争を始めた。今回の統一が出来ない状況、私は本当に悔しい」
「政策協定を話し合って欲しい」
6人は口を揃えて、脱原発票が割れることの悔しさと、その後の安倍政権の暴走に対する危機感を語った。しかし「脱原発」の一点の他に、両候補者の政策がどれだけ一致しているかは、明確ではない。細川候補は街頭演説で、「原発施策以外は誰が候補になっても同じだ」と語っているように、他の課題については政策をクリアにしていない。
一方宇都宮候補は、脱原発と同等、福祉や雇用問題といった幅広い問題を重要視し、具体的な政策を有権者にアピールしてきた。統一化を求めるのは困難ではないか、という質問が記者からも相次いだ。
以下、質疑でのやり取り要旨
フリーランス・竹内記者「細川さんの後ろには小泉さんがいて、新自由主義になってしまうんじゃないかと懸念する方が沢山いるが、統一を呼びかけるのであれば、細川さんに宇都宮さんの政策を飲ませた上で、ということでないと一本化は難しいのでは?」
桂氏「どちらかが勝つ、ということを前提としている訳ではない。両方がイーブンで話し合うこと。政策協定をして、知事になった際はお互いに協力をすること。それも含めて申し入れをしないと意味がない。両者からの答えを待ちます」
河合氏「私たちは枠を用意して、政策協定を話し合って下さいよとお願いしているわけで、今の段階で政策協定を作る自信があるかどうかを、聞くのは事態を全く把握していない」
鎌田氏「この都知事選は、脱原発が最大の争点。東京が脱原発を宣言し、世界に呼びかけることが重要。福祉にしろ外交にしろ、私は両陣営に対して違和感を感じていないので問題ない。とにかく、脱原発票が割れてしまうのは、日本にとって悲劇です。これが私たちの共通の思い」
IWJぎぎ「候補者がすでに『一本化』に否定的であることが明確な中で、大々的に記者会見を開いて、再度申し入れする意味は。候補者が置き去りになっているという有権者の声もあるが?」
桂氏「候補者の方が我々を置き去りにして選挙をやっているのではないか」
鎌田氏「これまで統一を呼びかけたことはあったが、このように表立ってやったものではなかった。『裏工作』と言われてしまうようなやり方ではなく、公明正大にやろうと、そういうことです。うろうろしている間に時間が経ってしまいましたが、その間に危機感も増し、一本化を望む声も増えてきた」
回答期限は2月6日正午
この日、記者会見には出席しなかったが、「脱原発都知事選候補に統一を呼びかける会」には、福島県南相馬市の桜井勝延市長やジャーナリストの原寿雄氏のほか、城南信用金庫理事長の吉原毅らも名を連ね、総勢19名が「脱原発」候補の統一を呼びかけている。同会は、両候補者からの回答を2月6日正午まで受け付ける。そして同日、記者会見を開き、両候補者からの回答の有無や内容を明らかにする予定だ。
インタビュー文字起こし
原発の問題は国政レベルの問題です。勿論都政にも大いに関係があります。しかしそれは都政の問題のひとつとして取り上げるべきものでありそれしか方法がないとおもいます。それをいま原発が唯一の問題であるという言い方は都政の問題を原発の問題にすりかえ都政問題をないがしろにするまやかしの考えです。いままで原発を推進側にたち本当の意味の反省もせず国政レベルの何らの対策もうたずいまになって厚顔にもでしゃばってくるとはなんということか。本当に原発を問題にするのであれば国会内で動いてもらいたいし今はは候補じたいするのが最善の道だと考えます。
大小を問わずマスコミは、選挙の事前予想、有権者に対する投票予定候補者調査結果、期日前投票の出口調査は投票行動に著しく影響を与えるので今からでも中止すべきだ。特に、期日前投票とは以前の不在者投票で止むを得ない理由以外は禁止されていた投票方式で、創価学会による投票依頼という犯罪行為の温床になっていた制度である。
その違法行為の温床を、合法化すれば違法時代の利益享受者を利することになるのにもかかわらず合法化したのは自公政権のメリットなんだろうか。