「国産シイタケは安心と言い切れるのか」 ~福島県保護者、学校給食「安全性」交渉で文科省に詰め寄る 2014.1.30

記事公開日:2014.1.30取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

特集 3.11

 1月30日、東京千代田区の参議院議員会館で「第1回給食委員会省庁交渉大円卓会議」が開かれ、食品と暮らしの安全基金代表の小若順一氏、チェルノブイリへのかけはし代表の野呂美加氏、参院議員の山本太郎氏らが参加した。

 集会は午前と午後の2部構成だったが、本丸は午後の、集まった母親らと、学校給食の関係省庁官僚たちとの交渉だった。

 教室で、ほかの生徒たちが給食を食べる中で、自分が弁当を広げるわけにはいかない──。子どもからこの旨を伝えられ、学校給食を食べることを渋々認めたと明かしたのは、会津からやって来た母親。「低線量被曝」の危険性を重視する保護者と、その子どもが肩身の狭い思いをしなければならない、今の日本社会のあり方が、この集会でも明らかにされた。

 その母親は、因果関係は定かではないとしつつ、学校給食を摂取した時期に、自分の子どもに表れた健康被害について説明した。

 交渉では、司会役を務めた野呂氏の頑張りが出色だった。「地産池消」との言葉には裏事情あり、とにらむ母親たちによる必死の訴えの、言葉足らずの部分を的確に補いながら、交渉全体を、実りが期待できる方向へと導いていくその姿には、頼もしさが感じられた。

■ハイライト

  • 交渉先 文部科学省、厚生労働省、復興庁をはじめとする関係各省庁
  • 出席者 鎌仲ひとみ氏、川根眞也氏、小若順一氏、野呂美加氏、広瀬隆氏、村上さとこ氏、森啓太郎氏、山本ひとみ氏、山本太郎氏
  • 日時 2014年1月30日(木) 10:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

 午前中の第1部は講演会。複数のスピーカーが登壇し、各人が15分程度、マイクを握った。

 まずは小若氏が、旧ソ連時代のチェルノブイリ事故の被災地、ウクライナで2012年に始めた調査の結果や、地元である、さいたま市への申し入れについて話した。

 小若氏は、ウクライナには、現在のさいたま市と空間線量が変わらないエリアがあり、そこでは頭痛や足痛、虚弱で風邪を引きやすいといった、健康上のトラブルを抱える子どもたちの姿が目立っていたと指摘した。

 さいたま市への申し入れは、こうした、ウクライナでの調査結果を受けたもので、昨年6月に、学校給食の放射能規制を「1キロにつき1べクレル以下に」と求めている(国の基準である同100ベクレル以下を適用していた同市は、この1月、「特別な設定を考えていない」と回答)。

 小若氏は「さいたま市は突然、面会への担当課長の出席をキャンセルすると告げてきた。係長以下との面会となった」とし、その時の様子を振り返りつつ、午後に始まる交渉を前に、役人と交渉する折の勘所を、客席に向かって解説した。1. 根拠となるデータを明確にして冷静に迫る、2. わめくより泣いた方がいい、3. 役人と仲良くしないと子どもを守れない──などだ。

学校給食「内部被曝管理」のポイント

 会場のスクリーンに、さいたま市で2013年6月に撮影された、奇形の穂の写真を映し出したのは川根眞也氏(内部被ばくを考える市民研究会代表)だ。同市内の校庭土壌で計測(2012年5月さいたまラボによる)したセシウム134と同137の合計が、1キロにつき114ベクレルと高濃度だったことも指摘し、独自に実施した尿検査の結果などを紹介した上で、次のように述べた。

 「給食でシイタケを、産地を気にせずに使う学校があるが、シイタケは内部被曝リスクが高い。山菜や栗もそうだ。これらを学校給食に使うことを、極力避けるのが常識ではないか」。

 続いて、武蔵野市会議員の山本ひとみ氏による、同市の、学校給食での内部被曝管理への取り組み事例の紹介を挟み、放射能測定機器に関する説明を行った森啓太郎氏(ホワイトフード社長)は、学校給食での内部被曝管理のポイントを説明。1. 米や牛乳など必然的に食べる量が多くなるもの、2. シイタケなどリスクの高さが指摘されているもの──の2つの検査を、ことに十分に行うことが大切、とした。

 その後、会場ではちょっとした力仕事が行われた。参加者全員が協力して、椅子と机を移動して「大円卓」を作り上げたのだ。

 これは第2部の、政府との交渉のための準備。「円卓」にする理由について、主催者である山本太郎後援会関東支部は、「官僚も国民も議員も、みんな同じ『心』で日本の子どもを守っていきたいから」としている。

今の福島に「地産地消」はあり得るか

 第2部の交渉には、母親ら100人超が参加した。交渉相手となる政府からは、学校給食にかかわる省庁である文部科学省、厚生労働省、消費者庁、復興庁の若手中堅クラスの官僚が出席した。

 冒頭、山本太郎氏(参院議員)があいさつに立ち、「1キロにつき100ベクレル以下という現行の食品安全基準は、事故前基準の1000倍に相当する」と強調し、次のように話した。

 「米国は昨年、日本からの食品輸入で、禁止対象を、それまでの福島を含む8県から14県にまで拡大しており、私は、これこそが今の世界の、日本の食品に対する見方だと思う。子どもたちは放射性物質に過敏に反応する。せめて『学校給食』だけでも、事故前の基準に近づけていく努力が必要だ」。

 国会からは、福島みずほ氏(参院議員)も出席。福島を中心に放射能汚染のリスクが存在する中で、学校給食に「地産地消」の機運が復活していることに強い懸念を表明した。「給食に関係する行政政策では、子どもたちの生命がもっとも大事であることを、念頭に置かれるべきだ」。

 そして、交渉が本番を迎えると、まず、福島県郡山市から来た母親が訴えた。「地産地消が掲げられ、原発事故があった福島産の米が学校給食に使われている。牛乳にも、『地産地消』を適用していいものか。ほかの産地の牛乳が混ぜられているから、検出される放射能値が低いのではないかなどと、つい疑いたくなる」。

 これを聞いた司会者は、「国の政策の方向性は、『学校給食では、ある程度の内部被曝は仕方ない』なのか、それとも『内部被曝を極力低減させる』なのか」とし、官僚たちに答弁を求めた。

 文科省の学校給食担当者は、次のように語った。「厚労省が定めた基準に基づいて出荷段階で制限をかける形で、食品の安全を確保している。国が関与する出荷時の検査では、基準値を超えるものは出ていないと認識している。内部被曝をより低く抑えることができれば、それに越したことはない」。

文科省が「シイタケ使用」を推奨した理由とは

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