無名の新人が17万票を獲得、なぜ「選挙フェス」が成功したのか 〜岩上安身によるインタビュー 第346回 ゲスト による三宅洋平氏 2013.9.11

記事公開日:2013.9.11取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・ぎぎまき)

 「祭は命をかけるから燃えるんだとしみじみと感じている」ーー。

 こう語るミュージシャンの三宅洋平氏は、先の参議院選挙で緑の党から立候補し、無名の新人でありながらも17万6970票を獲得。快挙に導いた「選挙フェス」という戦略は、大手メディアからも大きな注目を浴びることとなった。11日、岩上安身がインタビューを行い、選挙戦を振り返りながら、三宅氏の今後について聞いた。

■イントロ

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なぜ選挙区ではなく、比例だったのか

 17万という得票数を考えれば、選挙区で立候補していた場合、「三宅洋平議員」が誕生した可能性もある。事実、参院選で東京選挙区から出馬し、当選を果たした山本太郎議員と並んで神奈川選挙区で戦うという案も出ていたという。

 しかし三宅氏は、「勝ち負けはもちろん大事だが、首都圏の一つの現象として終わってしまうのは本意ではなかった。落選したとしても、全国の音楽シーンを支えてきたサポーターたちが政治に目覚めるという現象を起こしたかった」と全国比例にこだわった理由を説明した。

 選挙に出るにあたり、「他の政党から声がかからなかったわけではない」と打ち明けた三宅氏は、山本議員とともに、反自民勢力が統一比例名簿を作り連携する必要性を訴えてきたが、大きな変化を受け入れられない既存政党に理解を示しつつも限界を感じ、しがらみのない緑の党を選んだ。三宅氏と同じく、脱原発、脱戦争経済を掲げる緑の党は、世界90ヶ国にネットワークを持つ。この点にも三宅氏は大きな可能性を感じたという。

 選挙中、ライブ演奏と選挙演説を同時に行う「選挙フェス」を展開した三宅氏。この戦略が功を奏した背景には、それが今までになかった手法であったことはもちろんだが、三宅氏がステージ上で自らを晒し、本音を語り続けてきた点も大きい。

三宅氏が広めたアイヌ語、「チャランケ」

 「ストレート一本。自己検問をせず、自分が言えることを言うしかなかった。賛否両論が起きるだろうが、それを通して議論が深まればいいと思った」と、選挙中、三宅氏が広めた「チャランケ」(談判、論議の意)というアイヌ語に象徴されるように、民主主義の根底にあるのは話し合いであるという主張が、多くの聴衆の共感を得たのではないだろうか。

 それだけではない。三宅氏は常に「みんなで国会に行こう」と呼びかけていた。組織も政治経験も持たない候補者の選挙戦には、一人一人がいかに自発的に情報を拡散するメディアとなれるかが決め手となるからだ。選挙中、三宅氏を応援する「ツイキャス隊」が誕生し、全国の選挙フェスの模様がネット配信された。ビラ25万枚を配布、7万枚の選挙ポスターを貼り切ったボランティアたちも三宅氏を支え続けた。
 
 「(山本)太郎君を一人にしちゃ駄目だと思って立候補した。いよいよ選挙前っていう時、『僕の人生はどうなるんだろう』と、さめざめと泣いたことがある。漠然とした恐れがあったが、それを僕は乗り越えた。だから、思い立った人がいたら応援したい。既存の政治枠では語れない候補者が一万人くらい出れば、政治が明るく、柔らかいものに変質していくのではないか」ーー。

 国政や市政を目指す第2、第3の「三宅洋平」が続くことを願う三宅氏は、3年後の参院選に再び立候補することを表明している。

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「無名の新人が17万票を獲得、なぜ「選挙フェス」が成功したのか 〜岩上安身によるインタビュー 第346回 ゲスト による三宅洋平氏」への1件のフィードバック

  1. 今関 和子 より:

    このインタビューを姪や甥にも見てほしいと思いました。これだけしっかり自分というものと向き合って、そこから地球人である自分の使命を感じとり、その信念にしたがって行動できる人が、他でもない日本にいるんだということに感動しました。
    きょうは村上春樹が65歳になった日です。 私は同い年ですが、彼の本はたいてい読んでいます。 読みながらいつも、自分が日本人で村上春樹の作品を翻訳でなく日本語で読めることの幸せを感じています。 今日、三宅洋平氏の人となりをこのインタビューで見て、 自分が日本の選挙権を持っていてよかったとつくづく思いました。 三宅洋平氏が、政略結婚で嫁がされようとしている女性のように自分を感じ、選挙戦前夜に一人泣くほどだったこと、 それを乗り越え、知恵を尽くして健闘して17万6970票を獲得されたこと。 日本を見直しました。 「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る。」という詩のように
    なってくれるように祈っています。 ちなみに私は緑の党のサポーターです。参院選では老いた両親と緑の党を応援しました。 明日、両親にわれわれの3票は無駄ではなかったことを伝えるつもりです。

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