2013/09/10 「敦賀原発1号機の発電単価は50.8円」独自の試算結果を発表 ~金子勝氏講演会「原発ゼロノミクス『改めて考える原発のコスト』」

記事公開日:2013.9.10
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「『電力不足キャンペーン』は明らかに破綻したが、燃料費上昇に伴う『原発は安いキャンペーン』がまだ行われている」――。

9月10日、「原発ゼロノミクス『改めて考える原発のコスト』」と題する講演会で、慶応大学経済学部教授の金子勝氏はこのように述べ、日本でこれまで連呼され続けてきた、「原発の電気は火力よりも安い」という、政府や電力業界による喧伝に対し、異を唱えた。

■内容
・原発ゼロノミクス趣旨説明
・講演 金子勝氏(慶応大学経済学部教授)
・会場質疑
・「原発ゼロノミスト」呼びかけ 明日香寿川氏(東北大学 東北アジア研究センター教授)

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◆発電所ごとの発電単価を試算

発電方式ごとの発電単価の計算をめぐっては、立命館大学国際関係学部教授の大島堅一氏が、電力会社の有価証券報告書を分析する手法により、原発の発電単価は、政府が言ってきたような1キロワット時(kWh)あたり 5~6円というレベルではなく、実際には10~12円に達し、火力をも上回っているとみられることをすでに公表している。

IWJではすでに2011年4月11日には、岩上安身による大島堅一教授のインタビューを実施、中継している。このインタビューは3.11から1ヶ月後の時点で、「原発は経済的で発電単価が安い」とする推進派の主張が、根拠のないものであることを明らかにする決定打となった。

・2011/04/11 大島堅一立命館大教授インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/679

■政府は計算の前提を間違っている

金子氏は、大島氏による計算について、その意義や価値を認めた上で、さらに踏み込んだ分析を加え、発電所ごとの発電単価を算出する試みを実施したことを講演で述べた。

まず、政府による発電単価計算の手法について、「廃炉になるまでの40年間、全ての原発が動いているという前提での計算。廃炉に伴って順次原発が減っていくことを想定していない」と批判した。その上で、福島第一原発事故を契機に決まった追加安全対策のコストを、廃炉までの残存期間で償却する場合を想定するケースや、損害賠償費用を発電単価に上乗せした場合などを想定した、独自の試算結果を解説した。

■大飯原発の発電単価は政府試算の約10倍

これによると、福井県にある日本原電敦賀原発1号機の発電単価は50.8円に達し、活断層問題によって敦賀原発の廃炉措置が決定した場合、茨城県にある東海第二原発の発電単価は21円にまで上昇するとした。また、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の発電単価は、損害賠償費用4.1兆円を考慮した場合は13~15円に、10兆円を考慮した場合には19~21円に跳ね上がり、採算が合わなくなるとした。なお、今回の試算では、核燃料サイクル費用や、自治体への交付金や補助金などは計算に含まれていないため、それらを加味した場合、さらなるコストの増加が見込まれる。

◆泉田知事は普通のことしか言っていない

金子氏は、柏崎刈羽原発について、「(2007年の新潟県)中越沖地震を喰らっているし、3号機は2002年の定期点検で、シュラウド(炉心隔壁)のひび割れが見つかっている」と述べたほか、「原発ゼロの会」が発表した「即時廃炉リスト」に1~7号機までが全て入っているほどの危険な状態であることを説明した。

その上で、「(新潟県の)泉田(裕彦)知事は非常に頑張っているが、よく聞くと、普通のことしか言っていない」と述べ、「日本は常識がなくなっているから(知事の発言が)過激に聞こえたりするのだろう。事故処理もできないし、『情報(開示)で嘘をつくような企業に運転してもらっては困る』と言っているのは、当たり前のことだ」と語った。

また、東京電力の姿勢について、「自動車で人身事故を起こしたのに、『すいません』とか言って、また次の車に乗るのと同じ。これを『待ってくれよ』というのは常識。なのに、常識が通じない」と皮肉った。さらに、甘利明経済再生担当相について、「原発推進の親玉」と皮肉った上で、「汚染水問題が起きている最中に、柏崎刈羽原発の再稼働のことに夢中になっていたということだ」と厳しく批判した。

◆東電の姿勢の変化に危機感

金子氏は、「『原発は不良債権である』とずっと言ってきた」と強調し、「東京電力や日本原電の財務や発電単価試算を見ると、もはや存続の可能性がないことがはっきりする」と語った。また、原発専業にもかかわらず、保有する3基の原発が全て停止し、廃炉問題までも取り沙汰されている日本原電について、電力各社からの出資や、売電で成り立っている特殊な経営事情を解説した。

東電については、汚染水処理問題の深刻化に代表されるように、事故収束作業に向けた展望が開けない状況であることを挙げた上で、「最近は、情報開示が非常に早くなっている。彼らも手に負えないと思っているのだろう」と述べ、さらに、「隠したりごまかしたりして何とかなるという時は過ぎている。僕は、東電の姿勢の変化に、相当危機的な状況を感じている」と懸念を示した。【IWJテキストスタッフ・久保元】

■リンク 原発ゼロノミクス「改めて考える原発のコスト」金子勝さん講演会|eシフト

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