「やっぱり経済との問題もある。原発はあれだけの被害が出たこともある。『じゃあ原発を止めよう。その代わり、極端な話、江戸時代の暮らしに戻しましょう』なのか」
7月22日、ミネヤ屋(日本テレビ)の司会者である宮根誠司氏がこのように発言した。先の参院選で、脱原発を訴えて当選した、山本太郎参議院議員に向けたコメントである。
宮根氏は番組内で、こうも言っている。
「未来の子どもたちに、『しばらくは我慢して、もう夜は真っ暗でもええやないか』と、『そんなに便利じゃなくてもええやないか』と…」
原発をなくせば、子どもたちに、電気のない夜を強いることになる、というのである。
山本議員は番組中、宮根氏の発言に失笑しつつ、「その刷り込みが一番こわいですよ。宮根さんが今、言われている言葉が」と反論した。
この宮根氏の発言はツィッター上で何度もリツィートされ、話題になった。岩上さんも、「すごいですねぇ。となると僕は江戸時代生まれ(笑)。黄金の高度成長期60年代も江戸時代」とツィートしている。
岩上さんは、1959年(昭和34年)生まれ。今年で54歳になる。その岩上さんが「江戸時代生まれ」とは、どういう意味だろうか。
その理由は、連投したツィートを読むと分かる。
「僕が生まれた1959年、日本に原発は存在していませんでした。時、まさに日本は高度成長期。日本で初の実験炉が完成したのは1963年、商用炉はそのずっとあとです。日本の高度成長は、原発抜きに達成されたことは紛れもない事実。原発建設が加速するのは、73年のオイルショックが契機」
「明治まで遡らなくても、昭和30年代の高度成長期、つまり3丁目の夕日の時代も、原発なし」
岩上さんの言うように、日本経済が右肩上がりに成長し、国民生活が大衆レベルで豊かになっていった高度成長期、特に昭和30年代(1956年〜1965年)には、商用原発は一基も存在していない。映画「3丁目の夕日」で象徴的に描かれていた東京タワーの建設は1958年。日本がまさに経済成長を始めた頃である。
自家用車も普及し、特に東京では渋滞に悩まされていたほどだ。62年には、交通まひ解消のため、京橋〜芝浦間で初めて首都高速道路が開通している。東海道新幹線が走り始めたのは、その2年後の64年。東京タワーも、首都高も、新幹線も、商用原発のない時代に誕生したのだ。
宮根氏が生まれたのは1963年だ。実験炉の誕生とともに、生まれたわけである。一般家庭には実験炉でつくられる電気は送られていない。原子力が電力需給に大きく貢献するようになったのは80年代(※1)。ちょうど幼少年期にあたる時代を、原発の電気と関係なく過ごしてきたはずだ。ということは、「原発がないと江戸時代に戻る」というならば、宮根氏も、江戸時代の生まれ育ちということになる(笑)。
(※1)出典:資源エネルギー庁 平成22年度「電源開発の概要」
大物議員による「江戸時代」、「ロウソク」発言―虚偽の情報操作
「江戸時代」発言は、宮根氏が初めてではない。2012年9月7日、ニコニコニュースのインタビューに答えた石破茂衆議院議員(現・自民党幹事長)も同様、「『江戸時代のような暮らしでもいい』という方向を国民が支持するのであれば、何十年も何兆円もかけて、ただただ廃炉にしていくだけ」と答えている。石破茂議員は岩上さんより2年早い、昭和32年生まれ。「江戸時代」を経験しているはずである。そんなに不便だっただろうか。
自民党議員だけではない。同じく2012年6月13日、当時、民主党の政調会長代行だった仙谷由人議員は、産経新聞のインタビューに対し、「『脱原発』の動きが、福島第一原発事故の深刻さと絡み、国民の感性的な部分で確かに存在する。しかし、今さらロウソクの生活には帰れない」などとコメントしている。
仙谷議員は、1946年生まれの67歳だ。もちろん、「江戸時代」生まれということになるが、では彼が青年時代を卒業する頃まで、日本中は電気もなくロウソクの明かりで生活していたのか。
1950年代後半は、「三種の神器」と呼ばれた、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機が普及し始めた頃である。その後、60年代に突入すると、今度は次世代の三種の神器である「3C」が登場。3Cとは、カラーテレビ、クーラー、自動車だ。団塊の世代の仙石氏は、電気をたっぷり消費する青年時代に、「三種の神器」「3C」の恩恵に浴したはずである。「原発がないとロウソク生活」などと、よくデタラメを言えたものだと思う。
もっと遡れば、2011年4月、福島原発事故直後に、当時の与謝野馨経済財政担当相が記者会見の場で、同様の発言を残している。
「日本人の生活レベルをどんどん落としてもいいなら、江戸時代に戻ることもできる」
与謝野議員は1938年生まれの74歳。戦中生まれである(終戦は1945年、与謝野氏は7歳)。彼が生まれた頃は、確かに原発はなかったが、間違いなく電気は普及していた。そうでなかったら、どうやって日本は巨大な戦艦を建造し、ゼロ戦を整備して、近代化された軍をもち、自前で兵器を製造し、近代戦を戦えたのだろう。馬鹿も休み休み言ってほしい。原発なしでもピカピカと光り輝いた時代に生まれ育った人物たちが、そろいもそろって「原発がないと江戸時代に逆戻り」などとあからさまなウソをつくのはなぜなのか。それも決まって「江戸時代」と、ネタが同じなのは、どうしたわけか。ネタ元を知っている人がいたら、ぜひ教えてもらいたい。
そもそも福島原発事故から2年2ヶ月の間、国内の原発はほとんど停止していた。正確には、2011年5月に浜岡原発が停止してから、翌年の7月に大飯の2基が再稼働するまで、国内で大停電は起きただろうか。「電力が足りなくなる」と、あれほど大騒ぎをしたが、結局、電力は足りていた。真夏のピーク時ででさえもだ。
日本にあるすべての原発には必ずバックアップの火力が用意されているのだ。いつ何時、原発が止まっても、停電しない仕組みになっている。
2013年7月現在、54基中、稼働している原発は大飯原発3、4号機のみだ。もはや「節電」の声も聞こえてこない。電力は原発がなくても足りるのである。「原発がなければ電力が不足する」という神話はすでに崩壊した。原発が稼働しなくても、私たちの生活スタイルが江戸時代まで逆戻りしないことは、火を見るより明らかだ。こんな子供だましのウソをついてまで、電力が足りているのに、危険で、コストがかかり、事故が起きたら取り返しがつかなくなる原発を維持しようとするのは、発電以外の理由があるからだろうと、普通のママたちだっていいかげん気づき始めている。
伊豆大島は原発は関係ない、八丈島も原発関係ない、伊豆諸島の全ての島は原発からの電気は来ていません。佐渡島も、対馬も、原発の電気を使っていない島は日本には沢山有ります。忘れてはならないのは、沖縄県には原発が有りません。沖縄県民が江戸時代の生活をしているかどうかは皆さん御承知の通りです。
家庭等で電池を上手に使って、発電した電気を全て使いきるプリウス型の電力供給にすれば燃料消費も減り、原発も要らず核の廃棄物も出ません。同期電動機のことだけを考えた電気の周波数にこだわるのを止めて、電力供給の周波数を全国的に上げれば変電所の小型化等経営資源を圧縮することも出来ます。
家庭で大量に電力消費するエアコンはインバータタイプが増えて電気の周波数は関係無くなり、テレビ、パソコン、ステレオはスイッチング電源化されて電気の周波数は関係無い。そろそろ家庭や事業所等で電池を上手に使って、発電した電気を全て使いきるような積算電力保証型に電力供給の発想を切り替えるべきで、長距離送電によるロスを無くす為に小型の発電所を沢山作る分散型に切り替えるべきだと思います。その上で、ピーク電力保証の電力供給に必要な変電所、発電所、送電線の廃棄を進めるべきです。