放射能被害から子どもたちを守る ふくしま集団疎開裁判報告会 2013.6.17

記事公開日:2013.6.17取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年6月17日(月)17時30分から、宮城県仙台市の仙台市市民活動サポートセンターで、「放射能被害から子どもたちを守る ふくしま集団疎開裁判報告会」が開かれた。1年8ヶ月という異例の長期審理の末、却下となった一方、被曝の危険性が事実認定された現状を踏まえ、柳原敏夫弁護士は今後の方針を語った。

■Ustream録画
・1/2(17:02~ 3時間0分)

・2/2(20:02~ 44分間)

    内容

  1. ふくしま集団疎開裁判・第二審4・24却下決定を読み解く(問題点と成果) ― ふくしま集団疎開裁判弁護団 柳原敏夫弁護士
  2. ふくしまの子どもたち・現地からの声(提出した裁判資料と解説) ― 南相馬市 安心安全プロジェクト 吉田邦博氏(吉田さんの紹介)
  3. 原発事故子ども・被災者支援法を生かすみやぎの取り組み ― みやぎ脱原発 風の会 篠原弘典氏
  4. フロアディスカッション
  • 日時 2013年6月17日(月)17:30
  • 場所 仙台市市民活動サポートセンター(宮城県仙台市)
  • 主催 ふくしま集団疎開裁判・仙台アクション詳細

 はじめに柳原弁護士は、被曝限度を年間1ミリシーベルト(以下mSv)から20mSvに緩和した政府の問題など、事故後の行政の対応の酷さから、ふくしま集団疎開裁判を起こすことになった経緯を語った。その後、1年8ヶ月という異例の長期審理となった仙台高裁にて、低線量被曝が認められながらも、訴えは却下となった結果を、「裁判では、人権保障に適合しているか、という判断を求めた。近代裁判の原理に基づけば、負けるはずがないという確信があったが、甘い幻想であった。裁判官は、政府や財界の声に耳を傾ける能力に長けた官僚だったのだ。しかし、一方で、原告が主張する集団避難が、子どもたちの被曝を回避するための選択肢として考慮されるべきだと、事実認定させることができた。その点では、画期的な裁判でもある」と説明した。

 また、世界中から、子どもたちを救うために多くの声が寄せられた点に触れ、「日本政府の対応に対して、全世界から、正義を求める良心の声が届いた。今後、子どもたちの深刻な被害を知らせ、画期的な事実認定を踏まえて、第2次集団疎開裁判を起こしたい」と述べた。

 吉田邦博氏は、南相馬市の放射能被害の実態を報告する中で、東電社員に対しては徹底的な被曝防護策が講じられている一方、放射線管理区域に相当する数値の地域で暮らす人々に対しては、対策がまったく講じられていない点を問題視し、次のように述べた。「汚染地帯に住む人々は、危険であるとも知らされず、被曝に晒されている。国は、すべての国民に対して、健康的で安心できる環境の中で生活する権利を保障するべきだが、自分の身は自分で守らないといけない状況である。大切な人を守るためにも、放射能の危険性について、私たち自身が学んでいかないといけない」。

 篠原弘典氏は、事故後、放射性ヨウ素がどれだけ人々の体内に取り込まれたのかというデータがない状況を説明し、現在、放射線調査と被曝調査を、宮城県に対して求めていることを報告した。また、子ども被災者支援法について、「国にとっては、今後の原子力推進の障害になるため、未だに対象地域と具体的な施策を定めようとしない」と述べ、国の対応を問題視した。

 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人、駒崎ゆき子氏は、国や県が頼りにならない中、集団避難プロジェクトを自分たちで計画し、実行していくための話合いを進めている現状を語った。柳原弁護士は、このプロジェクトについて、山村留学をモデルとし、過疎地の定員割れが起きている学校と連携し、被曝の恐れがない環境で、子どもたちだけで寮生活を行っていくような、現段階での計画を語った。

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