2013年6月16日(日) 18時15分から、東京都杉並区のあんさんぶる荻窪で、元日経新聞記者で現在フリージャーナリストの田中宏治氏による講演会「メディアが隠していること 知られたくないことって何なの?」が行われた。田中氏は新聞・テレビの低たらくぶりを怒濤のごとく語り、集まった市民は、マスメディアの実情に何度もため息をついた。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2013年6月16日(日) 18時15分から、東京都杉並区のあんさんぶる荻窪で、元日経新聞記者で現在フリージャーナリストの田中宏治氏による講演会「メディアが隠していること 知られたくないことって何なの?」が行われた。田中氏は新聞・テレビの低たらくぶりを怒濤のごとく語り、集まった市民は、マスメディアの実情に何度もため息をついた。
■ハイライト
「新聞やテレビは、記者クラブという形で独占的に情報を吸い上げ、それを加工し、重みづけまでして流通させている」。田中氏は、このように切り出して、ニュースの価値判断を新聞社やテレビ局が行ない、それが国民に一方的に送りつけられる報道システムに疑問を呈した。そして、「インターネットがない時代は、人々はそれに甘んじるほかなかった。だが、ネットの普及を背景に、情報の授受が簡便に行える環境が整備されてきた。現在では、誰もが、加工されていない生のニュースに接することができる」と続けた。
田中氏は「新聞・テレビを軸にしたメディア・リテラシーは時代遅れだ」と喝破した。ネット上に溢れる情報の信憑性を問題視する声に対しては、「世間の評価は必ずしも高くない告発サイトでも、疑わしい告発には必ず反論が入る」と話し、ネット上の言論空間ならではの「衆人監視性」を指摘した。そして、「完成品主義(=流通されたニュース自体の修正不可能)の新聞やテレビに比べ、ネットメディアが信憑性に劣っているという見方は当たらない」と、反論を展開した。
さらに、「大手メディアの記者たちは『見識のある、われわれに与えられた特権』という理由で、ニュースの加工や重みづけを正当化する。しかし、どの新聞もテレビも同じトーンでニュースを伝える現状は、国民を洗脳しているとしか言いようがない」と語り、マーティン・ファクラー氏(ニューヨーク・タイムズ東京支局長)が上梓した『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書・2012年刊)を紹介した。「著者は『記者クラブ』は英語には訳せないという。米国にはそんなものは存在しないからだ。ネット上に発表すれば、皆に平等に届く情報が、日本では記者クラブ経由で、最大でも1000万程度の発行部数しかない新聞社などに、独占的に流されている」。
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