2012年6月11日(火)14時から、東京都港区にある原子力規制委員会で「第11回大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」が行われた。
今回は、これまでの会合で未決事項として積み残された案件の総ざらいの位置づけ。重大事故対策を中心に、関西電力の複数の担当者がそれぞれの案件について報告し、規制委員会側が質問を重ねる光景の連続となり、規制委員会の更田豊志氏が、原子力規制庁の担当者の勇み足的発言を留意する一幕もあった。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2012年6月11日(火)14時から、東京都港区にある原子力規制委員会で「第11回大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」が行われた。
今回は、これまでの会合で未決事項として積み残された案件の総ざらいの位置づけ。重大事故対策を中心に、関西電力の複数の担当者がそれぞれの案件について報告し、規制委員会側が質問を重ねる光景の連続となり、規制委員会の更田豊志氏が、原子力規制庁の担当者の勇み足的発言を留意する一幕もあった。
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まず、重大事故対策に関する議論が交わされた。これまでの会合で、関西電力から、ECCS(緊急炉心冷却装置)の注水機能喪失など、重大事故の対策の有効性に関するいくつもの資料が、規制委員会側に提出されている。今回は、提出済資料の修正・追加箇所が、関西電力の担当者によって説明された。
この7月に施行予定の新規制基準で、事故対応のための拠点として設置が要求されている「緊急対策所」については、関西電力は現在、免震事務棟を建設中である。会合では、「免震事務棟が完成するまでの間、1・2号機中央制御室横の代替指揮所を、緊急時対策所に代用する」との説明がなされた。更田豊志氏は「緊急対策所は、発災場所と共倒れにならないことが大事。1・2号機中央制御室の横を指揮所として使い、(代用指揮所は狭いため)要員は中央制御室に待機するということで、用件を満たしていると思う」とコメントした。
続いて、地震・津波を考慮した施設評価についての説明があった。新規制基準では、津波対策の施設が、重要な安全機能を備えたSクラス施設に追加された。それを受け、関西電力は「大飯原発3・4号機の当該施設は、Sクラスに分類された」とした。大飯3・4号機で使用されている難燃ケーブルの燃焼実験結果も報告され、関西電力の担当者は安全基準が満たされていることを強調した。
内部溢水を考慮した施設評価に関する説明では、原子力規制庁が消火活動(=放水)に伴う溢水との視点で、「3時間の消火活動を想定して溢水量が算出されているが、実際には3時間では済まないケースがあるはず」と指摘。さらには、火災報知器を配管事故時の蒸気発生検知に流用する関西電力の考えにも、「そもそも、火災感知の誤作動を避けるルールと矛盾してくるのではないか」と疑問をぶつけた。これに対し関西電力は、規制委員会を納得させられる回答を示せず、これらの案件は未決の扱いとなった。
最後は竜巻の影響についての説明。関西電力は、想定する竜巻の大きさに言及した上で、原子炉格納容器、原子炉周辺建屋、制御建屋施設などが評価対象となることを指摘した。その上で担当者は、当該する建屋・設備の構造健全性は、海水ポンプ(飛来物による破損を想定)以外は問題がないことを強調。海水ポンプに関しては対応策があることを示し、「発電所内の屋外に仮置き中の鉄骨材、鉄パイプなどを固く縛って飛散を防止する」などとした。規制委員会の更田氏は「海水ポンプ以外が、なぜ、飛来物の面で安全とされているのかについて説明がほしい」と発言した。
今回の会合を経ても、未決のままの案件は上記以外にもあり、関西電力はすべての未決案件を持ち帰って検討することとなり、次回(13日)以降の会合などで、結果が報告される予定となった。