鮫川村焼却炉問題 北茨城市住民説明会 2013.5.16

記事公開日:2013.5.16取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)

 2013年5月16日(木)18時から、茨城県北茨城市の小川田園都市センターで、「鮫川村焼却炉問題 北茨城市住民説明会」が行われた。福島県鮫川村に放射性廃棄物の焼却実証実験施設を建設する計画について、隣接する茨城県北茨城市の住民に、最初の説明が行なわれたのが2月9日。地域住民からは計画を不安視する声が上がっていた。それから3ヵ月が経過した今回の説明会では、その間の北茨城市と環境省、鮫川村とのやりとりの経緯が説明され、質疑応答が行なわれた。

■全編動画

  • 出席者 豊田稔氏(北茨城市市長)
  • 日時 2013年5月16日(木)18:00~
  • 場所 小川田園都市センター(茨城県北茨城市)
  • 主催 北茨城市

 はじめに、北茨城市企画政策課の担当者より、2月9日の住民説明会以降の、北茨城市と環境省、北茨城市と鮫川村とのやり取りの報告があった。

 この事業は、鮫川村の除染で出てくる600トンの稲藁などを、鮫川村青生野地区に建設する仮設焼却場で焼却し、一時保管する、というものである。この計画を知った北茨城市は、今年1月21日、環境省に対して以下の申し入れを行った。「鮫川村内の農林業系副産物を焼却する施設の計画について、地元住民の不安感が広がっている。焼却場の隣接地域の住民に対し、焼却計画に関する情報を提供するように」というものだ。それを受けて、2月9日、環境省による北茨城市住民説明会が行われたが、住民には建設反対の声が多く、北茨城市の豊田市長は「空には境界がない」「北茨城市の反対の声を無視して進めるのか」と述べ、環境省は工事をストップした。

 その後、環境省は、2月14日に隣接するいわき市でも説明会を行っている。2月16日には、鮫川村の村長が北茨城市にて、焼却の実証事業の必要性を訴え、豊田市長は地区の住民が納得できる説明を求めた。2月から3月にかけ、環境省と鮫川村の住民説明会が3回ほど行われた。4月9日、鮫川村長が環境省で、「工事の再開に向けて、地元住民の理解が進み、村議会議員、市長会の賛同を得た」と述べたことで、工事が5月下旬に再開することとなった。

 北茨城市の豊田市長は、この計画を進める環境省と鮫川村に対し、「国や環境省は、必ず『安心・安全です』と言う。国の本音として、この事業が認められなければ、福島県内の除染で出たものを、焼却することができなくなるから失敗できない、という思いがあると思う。しかし、事前の計画説明や情報開示がなかったこと、鮫川村が北茨城市の近くに焼却場を持ってきたことには、憤りを持っている」と述べた。今後については、「環境省に対して条件闘争はしない。それは、焼却場を認めることにつながるからだ。これは、命の問題だ。将来の子どもたちに対して、遺恨を残してはならない。引き続き、環境省と鮫川村に訴えていく」との姿勢を表明した。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です