2013年5月10日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、平成27年度をめどに、都営地下鉄の日比谷駅と神保町駅に「駅ナカ」の店舗を設置することを報告した。これにより、周辺の地域商店にお客が回ってこなくなる懸念について問われると、「第一に利用者の利便性を改善する。競合するというレベルにいっていない」と、不安に思う部分はないことを強調した。
(IWJテキストスタッフ・中川/澤邉)
2013年5月10日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、平成27年度をめどに、都営地下鉄の日比谷駅と神保町駅に「駅ナカ」の店舗を設置することを報告した。これにより、周辺の地域商店にお客が回ってこなくなる懸念について問われると、「第一に利用者の利便性を改善する。競合するというレベルにいっていない」と、不安に思う部分はないことを強調した。
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最初に、猪瀬知事は、2020年夏季五輪の招致を争うイスタンブールを批判したとされる発言について、9日に駐日トルコ共和国大使館のセルダル・クルチ大使を訪問して謝罪したことを発表した。また、19カ国・地域からなるアラブ諸国の駐日外交団が、都庁を表敬訪問する予定があることも併せて公表した。
質疑応答に入り、記者から「ニューヨーク出張での問題発言が、一部の週刊誌で『異文化への敬意が足りない』などと非難されているが、自身の都知事としての資質をどう評価するか」と尋ねられた。猪瀬知事は「トルコの大使には不快の念を与えたことを率直におわびして、昨日お会いした」と答えた。そこで記者が「質問に答えていただきたい」と問いただすと、猪瀬知事は「資質は僕が決めることではない。アラブ諸国以外のイスラムの方々には、この場を借りておわびしたい」と、似た回答を繰り返した。
駅ナカの店舗を設置する件については、「周辺の地域商店と競合する状態になったら、やめることも考えているのか」と記者に問われると、「お客の利便性があって、次に周辺の店舗の問題は出てくると思う。今回、利便性の話から入っているので、その心配はない」と話した。
「五輪招致に伴う三環状道路を含めた道路整備という政策は、人口減社会で高齢者が増えている日本では、時代とミスマッチではないか」と投げかけられると、「三環状道路はオリンピックのためにあったほうがいい。前から計画されているものだから、2020年オリンピック・パラリンピックが開催できるまでに完成していることが望ましい」と反論した。
そこで同じ記者が「猪瀬氏が、道路の専門の作家活動、ジャーナリズム活動をしたという見地から、再確認したい」と前置きをした上で「道路の必要性が乏しくなっている中で、大型公共事業を見直さない姿勢は、作家として活躍した時代から立場が変わった気がするが、その整合性についてどう考えているのか」と尋ねた。すると、猪瀬知事は「外環整備については費用対効果があるので、行うべきだという考え方は一貫している」と述べた。
「人口減で水需要が減っているのに、八ツ場ダムの建設もするべきと考えているのか」と追求されると、「これまでの東京都の方針の中でずっと計画されてきたことで、本来は国の事業であって、東京都は負担金を払うということで進めてきた。だから、その負担金を払って、完成を待つことになると思う」と口にした。
「猪瀬知事の著書である『日本国の研究』の中で、『地方分権とは地方自治体の自決の論理のはずである。情勢に変化が生じて水が余るという地元自治体の判断があれば、無理に公共事業をやることはない。地元が自決できないのは補助金のせいである。やれば補助金がもらえる。一度補助金を断れば次にもらえなくなるから、無駄な工事と知っていても参加する』と書かれているが、当時と現在で気持ちの変化はないのか」という質問には、「基本的に変わっていない」と断言した。
さらに、「東京都の使える水は現状で1日600万トンあるが、実際に使っているのは400万トンという状況だが」と指摘されると、「今年は十分に足りている。しかし、長期的な見通しの中で、(需要量が)減ってきたとしたら、それはさまざまな技術、あるいは工場、ビルのつくり方が変わってきたりした結果であって、東京都の人口は増えているので、軽々に発言できない。データときちんと向き合いたい」と語った。
また、4月26日に八ツ場ダムについて話を聞いてほしいという要請書を提出(会見当日が回答期限)した市民団体の声に耳を傾ける意思を尋ねられると、「さまざまな方々の意見は寄せられているから、そういう意見をいつもできるだけ見ている」とだけ答えた。
ヘッドクォーター特区を進めるにあたり、救急隊員に外国人を採用する案があるのかという問いかけには、「外国の方がヘッドクォーター特区に来て、急に具合が悪くなったときに、どうしても母国語に近いもので『助けてくれ』と言う。だから、英語が話せる救急救命士がいたほうがいいというふうに、まず現状の制度の中で運用できるものを運用しながら結果を出す。さらに、結果を出すことによって次の展開、法改正なり、特区の中の規制の廃止なりを考えていければいい」と言及した。
猪瀬知事が副知事の時代に、ツイッターで「交通信号が赤でも、全く車の気配がなければ歩行者は横切ってもいいんだよ」、尖閣諸島に中国人が上陸した際には「泳いでくるのだから、こちら側から蹴りを入れれば一発だよ」とツイートしているが、公の立場に立つ人間が、違法行為や暴力をあおるような投稿をしたことについて見解を求められると、「誤解を招く表現であれば、誤解のないようにしたいと思っている」と答えた。続けて、「問題ないと考えているのか」と問いただされると、猪瀬知事は「ツイッターは短いから、文脈がなければわからない。そのときに起きた出来事を絡めてアレするわけだから」と話し、それを受けた記者が再び口を開くと、「あなた、何を言いたいの」と逆に質問を投げかけた。
すると、記者から「道路交通法では赤信号を守るのは当たり前の話で、これは明らかに違法行為をあおっている形になるし、尖閣の話でも、『蹴りを入れれば一発だよ』と、完全に暴力を想定させるのでは」と厳しく批判されると、「それは誤解を招かないようにしたほうがいいと思うから、文脈の中でご理解いただくしかないが、誤解の招く発言を今後しないように注意したい」と発言した。