2011年5月15日、「『3.11』から未来を拓くシンポジウム」が、東京オリンピック記念青少年センター国際棟にて行われた。パネラーとして出席したのは、飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)、竹信三恵子氏(和光大学教授)、ジルヴィア・コッティング=ウール氏(ドイツ緑の党国会議員)の三名。各氏が基調講演として日本がとるべき震災・原発被災後のビジョンを語り、その後ディスカッションが行われた。
(テキスト:IWJボランティアスタッフ 鈴木樹里)
2011年5月15日、「『3.11』から未来を拓くシンポジウム」が、東京オリンピック記念青少年センター国際棟にて行われた。パネラーとして出席したのは、飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)、竹信三恵子氏(和光大学教授)、ジルヴィア・コッティング=ウール氏(ドイツ緑の党国会議員)の三名。各氏が基調講演として日本がとるべき震災・原発被災後のビジョンを語り、その後ディスカッションが行われた。
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いのち最優先の自治体・エネルギー政策
大震災・原発被災後のビジョンを徹底討論!
NPO法人 環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也氏
和光大学教授 元朝日新聞記者 武信三恵子さん
ドイツ緑の党 国会議員 Sylvia Kotting-Uhさん
今回、代々木公園内施設にて、飯田哲也氏、ドイツ緑の党 シルビアさん、元朝日新聞記者の武信三恵子さん、田中真一郎さんなどがパネラーとして出席されたシンポジウムであった。
今回の飯田氏のお話は、
「二度も原爆で被害を受けたという過去を持つ日本が、何故再び、水素爆発という形ではあれ、核を自分たちの手で爆発させることになってしまったのか。311以前の日本は、戦前の、戦争を問えない空気と同じだったのではないか、国民が原子力が日本の電力にはかかせないものになっているという共通意識が刷り込まれてしまっている。」
というようなところからお話が始まった。
主な内容としては、
「原子力発電は今後急速に減って行く。石油はコストが上がり、石炭もCO2を多量に出すので減らさなければならない。
原発を推進しているのは今や日本だけであり、世界では、風力、太陽光、水力が昨年の暮れに、原子力発電を上回っている。
今、持続可能なエネルギー社会を考えるときである。」
とのことだった。
和光大学教授、元朝日新聞記者 武信三恵子さん
武信さんは、労働基準の問題からお話くださった。「解雇は地震後増えたものの、その中の1つに原発労働者がいる。
派遣で働きに行っている原発労働者は、被爆線量が高くなってしまったらもう原発では働けなくなってしまう。基準を緩めてでもいいから仕事が欲しい。危険だと分かっていても、仕事がないよりはいい。そういったところに働き手を送ると、送られた人はその仕事がなくなってしまったらおしまいだお思ってしまう。明日食べられないと困る、という考えにさせてしまう日本の社会が、劣悪な労働を広げてしまっている。それは持続可能な労働ではない。
明日食べられればそれでよい、という思想ではなく、持続可能に食べることが出来て、明日困らなくてもよい、そんな社会への変換の時期ではないか。」
その他に、避難所での人権問題のお話。
「避難所では間仕切りがなく、女性は着替えもままならない。化粧水が欲しくてもなかなかそれを言うことが出来ない。
日本の人権の定義が少し違うのではないか、」
「全員に平等にすることが援助ではない。自分の声で言えること。日本の今の援助では、それは出来ていない。例えば、『何か欲しい』と言うと、『あなただけには出来ない、平等でないから』と言われ、被災者はそれ以上何も言うことが出来なくなってしまうのが今の現状だ。色々と明るみに出てきた問題をプラスにしないでどうするのか」
と武信さんは語る。武信さんは、被災には合っていないものの、郡山市で農家に嫁いだ女性のお話をして下さった。
「『ももの手入れをしないとな、と思うけど、売れないから淀んでしまう。災害が起きると簡単に解雇されてしまう。』
悲惨なのは、
『福島で原発の問題があるから、福島県の人は福島人同士で結婚するしかないかもね、って母が言ってた。』
『大学に入るのに、福島出身と言って何かあると嫌だから、新潟の親戚の家に籍を移してからにした方がいいのかなー』
なんていう人になんて言えばいいのか」
武信さんは、そうお話する。笑いながらお話くださるが、そこに武信さんの思いが伝わってくる。これが現実であり、笑っては済まされない問題だ。しかしそれが今まさに福島県内で起こっている現状である。
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