2013年3月8日(金)15時から、東京都千代田区の弁護士会館で、日本弁護士連合会が主催する「第56回人権擁護大会プレシンポジウム『福島第一原発事故発生2年を迎えて―低線量被ばくと損害賠償の現状と課題』」が行われた。吉田由布子氏(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク事務局長)、松本克美氏(立命館大学教授)、秋元理匡氏(千葉県弁護士会会員)の3人が演壇に立った。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2013年3月8日(金)15時から、東京都千代田区の弁護士会館で、日本弁護士連合会が主催する「第56回人権擁護大会プレシンポジウム『福島第一原発事故発生2年を迎えて―低線量被ばくと損害賠償の現状と課題』」が行われた。吉田由布子氏(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク事務局長)、松本克美氏(立命館大学教授)、秋元理匡氏(千葉県弁護士会会員)の3人が演壇に立った。
■ハイライト
前半は、吉田氏による、低線量被ばく問題に関するスピーチから始まった。吉田氏は「私たちの団体は、1990年の発足以来、チェルノブイリ原発事故の被害調査を行っている。今日は、これまでの活動で見えてきたことを伝えたい」と挨拶し、1986年4月に起きたチェルノブイリの原発事故の概要と、ソ連政府(当時)の対応について語り始めた。
チェルノブイリ周辺の住民に、放射能汚染地図が示されたのは、事故から3年後であったことを挙げて、吉田氏はソ連政府の秘密主義を批判した。しかし、「福島原発事故後の日本政府の対応より、ソ連政府のほうが評価できる点がある」とも述べ、「事故の翌日から、原発30キロ圏内の住民の避難が始まるが、たとえば原発から100キロ以上離れているキエフ市でも、86年に約3カ月間の疎開が実施されたし、(ソ連崩壊後の各共和国での対応となった)91年以降は、移住者が大勢いた」と話した。
続いて吉田氏は、ソ連政府による初期の健康調査の結果が、概して「健康被害はない」としたことに触れ、「その評価内容は別として、被災地住民に対して大規模な健康調査が行われていない日本に比べれば、はるかに真っ当だ」と明言した。
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