これまで我々は、本メルマガ第48号(2012年9月13日発行)で、「野田政権の『勝手に決める政治』の裏に米国の露骨な要求」と題して、「第3次アーミテージレポート」を通し、米国の、日本に対する無茶苦茶ともいえる要求の中身を報じてきた。2012年12月16日の衆議院総選挙において、自民党が圧勝した後、米国はさらに要求を強めている。
【レポート原文はこちら(英文)】
奇観というべきは、日本の政官財各界が、このレポートに書かれた米国からのアジェンダを、忠実に遂行しようとしている姿である。民主党から自民党へ政権が交代してからも、そうした従属的姿勢は変わらない。これに新聞・テレビなどの既存大手メディアが後押しをして、対米従属の列に加わる。
本メルマガ第61号〜63号、72~74号で何度も論考した「改憲・憲法第9条の改正(集団的自衛権の行使)」の問題をはじめ、「原発の推進」、「TPP交渉参加推進」、「中国との緊張の維持」など・・・、現実に起こりつつあるこれらの政策の裏に、米国の要求があるのは明らかである。
このレポートが発表されたのは、今から5ヶ月半前、2012年8月15日、67回目の終戦記念日だった。尖閣問題で、民主党野田政権が翻弄されていた時期である。現時点で本レポートを読み返すと、改めて驚かざるをえない。本レポートに書かれていることは、今の自民党政権が進めようとしている政策と、見事に合致しているのだ。
原発の維持推進、オスプレイ配備、TPPの交渉参加、そして改憲と集団的自衛権の行使の容認。即ち日米の軍事的一体化への前のめりの姿勢において、とりわけ顕著である。衆院選において、自民党が多くの得票数を得たのは、大手メディアの報道によれば、「民主党野田政権に対する失望から」であったはずである。しかしその自民党政権が、民主党野田政権に比べ、より米国への従属性を深めていることに、驚きを禁じえない。
2012年9月22日付の東京新聞のスクープによって、「2030年代に原発ゼロめざす」という野田民主党野田内閣の方針が、米国の圧力で閣議決定が見送りになったことが明らかになった。野田政権は、「今後原発をどうするのか」という国家の進路にかかわる最重要課題ですら、自ら決めることができず、米国の言いなりとなってしまったのである。
原発の維持に関して、米国の言いなりとなる従属的な姿勢は、民主党政権だけの話ではない。自民党政権もまた同じである。総選挙で圧勝し、政権与党に返り咲いた自民党の安倍晋三総裁は、12月26日に国会で首班指名され、第二次安倍内閣を発足。その3日後の29日には、福島第一原発を視察に訪れ、民主党が打ち出した「2030年代の原発ゼロ」を見直す考えを示した。「原発を維持せよ」という米国の「要求」の丸のみは、より加速した。
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IWJ特報 75号 ― CSIS『第3次アーミテージレポート』全文翻訳・完全注解〜米国からの命令書を読み解く(1) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/59054 … @iwakamiyasumi
何度でもRTします。これを読まないと今の日本、安倍政権のやってることは理解できない。
https://twitter.com/55kurosuke/status/584317156554182656