2012年3月21日(水)、東京都千代田区の総評会館で開かれた、近く国会審議入りする個人識別番号法案(マイナンバー法案)への反対集会「共通番号制3・21市民集会」の模様。
マイナンバー法案は、共通番号制度を導入して政府が国民一人ひとりに番号を割り振り、納税実績・年金・医療・介護・保育などの情報を一元管理することが趣旨。しかし一方で、プライバシー侵害や国家による国民への管理強化など、さまざまな懸念が取り沙汰されている。
導入のきっかけは「税と社会保障の一体改革」。政府は国民の所得を正確に把握し、適正な負担と給付を実現するための“インフラ整備”と説明してきた。
しかし実は、同法案の中には一体改革に触れている箇所が全くない。先日、神奈川県で行われた政府主催の共通番号制シンポジウムで、反住基ネット連絡会がその点を追及。それに対し内閣参与の峰崎直樹・参院議員(民主党)が、「番号制は国民生活を豊かにするツール。目的や利用範囲はあとから考えればよい」と回答。当初から立法目的があいまいであることが明らかになった。
反対集会では、辻村祥造氏が税理士の視点から法案の危険性を指摘。「マイナンバーと納税者番号の兼用は民間の企業間で番号共有を促す。源泉徴収義務で会社にだけでなく、原稿料や講演料を受ける際にも番号を示す必要が生じる。提示を繰り返すたび心理的抵抗が薄くなり、それに伴って民間での利用目的の制限がなし崩し的に広がっていくのではないか。また企業が倒産した場合、その手元にあった番号が外部に流出し悪用されるおそれもある」
自治体問題研究所の黒田充氏は、民間企業が番号を取り扱う場合、企業利益にかなう人とそうでない人の選別を可能にするという。「生命保険会社が病気がちな人を把握し、不都合な契約を避けるという使い方もできる。企業利益の拡大に利用されるのではないか」と、民間企業による“顧客の仕分け”につながる危険を指摘した。