2012年3月5日2012年3月5日(月)、東京・霞が関の司法クラブ記者クラブで行われた「東京電力代表株主による訴訟記者会見」の模様。
同日、代表株主42名は、当時の経営陣を相手どり、日本の民事訴訟史上過去最高額である5兆5045億円の損害賠償を請求、訴訟を起こした。東京地裁に訴状を提出した直後に行われた会見。
(IWJ・ぎぎまき)
2012年3月5日2012年3月5日(月)、東京・霞が関の司法クラブ記者クラブで行われた「東京電力代表株主による訴訟記者会見」の模様。
同日、代表株主42名は、当時の経営陣を相手どり、日本の民事訴訟史上過去最高額である5兆5045億円の損害賠償を請求、訴訟を起こした。東京地裁に訴状を提出した直後に行われた会見。
■ハイライト
<原告>
1989年1月に福島第二原子力発電所3号機でおきた機器の破損事故を契機に、活動を続けてきた「脱原発・東電株主運動」のメンバーを中心とした東京電力株主。<被告>:
2002年7月から2011年3月11日までの間に東電の取締役に就任した経験のある現取締役または前・元取締役ら。
(2002年7月、文科省の地震調査研究推進本部がM8クラスの地震を起きうるとの見解を発表)
「東電の集団無責任体制の是正。個人の責任を問うためにこの訴訟を起こしました」。河合弁護士は、訴訟の目的をこう簡潔に述べた。
10年前の平成14年、文部科学省は、三陸沖から房総沖の日本海溝沿いで、マグニチュード8クラスの地震が起き得るとの見解を公表。さらに、平成20年には、13.7m~15.7mの巨大津波が来ることが、東電の内部調査でも分かっていた。
あらゆる社内外のこうした忠告を無視し、漫然と原発を稼働し続けた結果、事故が起きたと原告側は主張。「個人責任が問われなければ、原子力体制は何も変わらない。もし事故が起きた場合、株主代表訴訟が起こりうるんだという覚悟を、他の電力会社の社員も持っていただきたい。原発の再稼働についても同じ」と河合弁護士は続けた。
被災者は、身体的、精神的、財産的損害を被り、深い苦しみと絶望感の中にある。一方で、東電の役員らは今後、責任を追求されることなく、多額の退職金を受け取り定年退職をし、関連法人へ天下ることで安楽な人生を送ることになる。
「私たちが『代表訴訟』と名付けたのは、これは原告や株主だけの問題ではなく、国民が起こしたいと思っている訴訟だからです」。国民の税金である交付金を受け取りながら、賠償金も十分に支払わないままの東電に怒りを表した株主の一人堀江氏は、この裁判を支えていただきたいと、国民に向かって訴えた。
国民が事故を忘れる頃にもまだ継続している可能性があるこの裁判。「壮絶な闘いになることを覚悟している。人に苦しみを与えた人は許さない。粘り強く続けます」。今後の裁判の行方に注視したい。