2021年10月26日(火)、午前10時30分より、神奈川県横浜市のイトーヨーカドー綱島店前にて、衆院総選挙・自由民主党 鈴木馨祐(けいすけ)候補(神奈川7区)の街頭演説が行われ、応援弁士として、菅義偉前総理大臣がマイクを握った。
全編動画には収められていないが、菅前総理の応援演説が始まる前に、鈴木候補の選対部長である、神奈川県議会議員の嶋村ただし氏が、次のように述べた。
「菅前総理、ご存知のとおり、『コロナ対策に全力を尽くす、そのために総裁選には出ない』、そう決めて、コロナ対策に全力を尽くして頂いた結果が、今月に入って、このような(新型コロナウイルス感染者数の)収束になりました。これは、菅前総理の政策だと思います。そうでしょう、皆さん! 私たちの言ったとおりになった!」
だが、菅前総理のコロナ無策と東京五輪強行によって、8月には空前の感染爆発が起こり、多くの在宅死者を出したことや、コロナ禍の只中、野党からの再三の臨時国会開催要請を、首班指名選挙が行われた10月4日の臨時国会まで、100日近く無視し続けた内閣の総理大臣であったことについては一言も触れられることはなかった。
続いて、菅前総理の応援演説となった。
「1年という短い期間ではありましたけれども、『国民のために働く内閣』として、様々な改革を進め、そして、多くの課題に答えを出してきたと思っています」
菅氏はこの応援演説の中で、自身が在任中に取り組んだ新型コロナウイルス感染症対策について縷々語った。それは、ワクチン施策に重点を起きつつ、自身の業績を抽象的に振り返り、「菅内閣の新型コロナ対応は間違ってなかった」とPRすることに終始するものであった。
菅前総理はまた、北朝鮮のミサイルの脅威などを例にとりながら、「国民の命を守る。それが政権の役割」と述べ、「共産党は、皆さんご承知のとおり、『日米同盟を廃棄する』と言っている。また、自衛隊は『憲法違反だから解消する』と言っている」と述べ、「こうした人たちに、この国の安全を任せることはできないんじゃないでしょうか?」と、反共プロパガンダを煽り立てた。
この菅前総理の問いかけに、聴衆は拍手と歓声で応じた。
「日米同盟の廃棄」について、共産党の綱領には次のように記されている。
「日米安保条約を、条約第 10 条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」
※日本共産党綱領
https://www.jcp.or.jp/web_download/2020/02/2020-manifesto.pdf
共産党は、単に「日米安保条約の廃棄」を唱えているのではなく、廃棄後、「アメリカ軍とその軍事基地を撤退させ、対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」としている。
また、「自衛隊の解消」についても、共産党の綱領は次のように規定している。
「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第 9 条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」
これも、共産党はただ無責任に「自衛隊を解消」して、そのまま放っておくと言っているのではなく、「国民の合意」で「憲法9条を完全実施」するとしているのである。
菅前総理の共産党批判は、共産党の政策を理解するための前後情報が欠落し、明らかに話が単純化されすぎており、共産党への誹謗中傷に近いものだ。
そもそも共産党は、立憲民主党が政権を取った場合の閣外協力について、4党合意以外の共産党独自の政策を持ち込まないことを明言しているのである。
鈴木候補、ならびに、菅前総理の演説は、全編動画をご視聴頂きたい。