責任逃れに終始した4人の旧経営陣への尋問は終了! 海渡雄一弁護士は「どういう構造で判決を書こうとしているのか、大体はっきりしてきた」と手応えを表明!〜7.20東電株主代表訴訟 第61回口頭弁論期日後の記者会見 2021.7.20

記事公開日:2021.7.24取材地: テキスト動画
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(取材、文・渡会裕)

 2021年7月20日、東京都千代田区の司法記者クラブで、東電株主代表訴訟の第61回口頭弁論後の記者会見が行われた。被告人尋問を終えた原告と弁護団が、尋問の結果などについて説明を行った。

 東電株主代表訴訟は、原発事故の起こる以前から東電に対し、原発路線をやめるよう求めてきた42人の個人株主によって2012年3月に提訴され、福島第一原発の事故で東京電力が被ったとされる22兆円の損害について、旧経営陣5人に対し個人の財産で同社に賠償するよう求めた民事訴訟。当初被告人の数は多数いたが、最大の争点が津波対策となるに伴い、現在は勝俣恒久・元会長、清水正孝・元社長、武藤栄・元副社長、武黒一郎・元副社長、小森明生・元常務の5人となっている。また、被告が東電や国といった集団訴訟と異なり、個々の経営陣の時々の経営判断について、その責任を問うというのが特徴だ。

 会見で訴訟団事務局長の海渡雄一・弁護士は「長く続けてきたが、今日は証拠調べのほぼ最後で、被告人3名の反対尋問と裁判官の補充尋問を行った」と述べ「10月29日の(裁判官による東京電力福島第一原子力発電所内視察の)現場進行協議も裁判所ははっきり法廷で言明した」として「11月30日に結審と結審までの行程が全て示された」と述べた。

 20日に原告側弁護士の尋問を受けたのは5人のうち、勝俣元会長、清水元社長、武黒元副社長の3人。武藤元副社長は7月6日に原告側弁護士の反対尋問を受けた。小森元常務は健康上の理由で尋問が遅れている。

※10月29日に裁判官が初めて福島第一原発の現地調査へ! IWJ記者の質問に海渡雄一弁護士は「なぜ事故の前に(津波対策の)工事がちゃんとできなかったのかを示したい」!~7.13東電株主代表訴訟 進行協議期日後の記者レク 2021.7.13

10月29日に裁判官が初めて福島第一原発の現地調査へ! IWJ記者の質問に海渡雄一弁護士は「なぜ事故の前に(津波対策の)工事がちゃんとできなかったのかを示したい」!~7.13東電株主代表訴訟 進行協議期日後の記者レク

 海渡弁護士はさらに、法廷での武黒・元副社長に対する裁判官からの尋問に触れて、武黒氏が原子力・立地本部長だった2009年5月に、部下から政府の地震調査研究推進本部(推本)による長期評価と15.7メートルの津波試算の詳しい報告を受けたにも関わらず、土木学会に再評価を依頼していた点について「(裁判官からは)3人3様の尋問があったが、『具体的に検討している間に地震や津波が来るかもしれない。その時に安全性は確保されているのか。もし推本の言っていることが正しかった時にはどうなるのか』との問いが繰り返し行われていた」と述べ「(武黒氏ら)原子力担当の役員について、どういう構造で判決を書こうとしているのか、ということが大体はっきりしてきた」と語った。

 判決は2022年3月の予定であることも明らかとなった。

■全編動画

  • 日時 2021年7月20日(火)17:15~
  • 場所 司法記者クラブ(東京都千代田区)
  • 主催 東電株主代表訴訟事務局

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