新型コロナウイルス流行もすでに2年目に入った。コロナ禍で女性たちが追い詰められているという。女性の失業者、自殺者の増加が報道でも取り沙汰されるなか、その肝心の女性たちの声が聞こえてこない。これはおかしい――。
2020年の年末から21年の年始にかけて、新型コロナウイルス感染拡大により、職を失ったり収入が激減し、生活困窮に苦しむ人のための相談会が都内各所で行われた。
そのうち新宿区大久保公園の「年越し支援・コロナ被害相談村」には、344人が相談に訪れたが、女性はおよそ2割であったという。
そこでは、「セーター1枚欲しかったが、男性の支援員には言い出せなかった」、「女性の法律家に相談したい」など、女性ならではの声が寄せられた。
男性には相談しにくい生活まわりの困りごとがあったり、自分の悩みや不安があっても、家族のことを優先させがちな女性は、自分のことを後回しにせざるを得ないケースも多いという。
そんな現状を受けて、コロナ被害相談村に参加した支援者の女性たちからは、「『女性による、女性のための支援体制』を作る必要がある」という声が集まった。
そこで、2021年1月から、労働組合、市民団体、日本労働弁護団などの女性有志約60人が集まり、今回の相談会を立ち上げた。
相談会は3月13日(土)と14日(日)、午前10時から午後5時まで、新宿区大久保公園で行われた。IWJはこの相談会の初日を取材した。
3月13日(土)午前9時過ぎ。激しい雨が降る中、午前10時の相談会開始に先立って、相談者に配布するための支援物資の搬入が行われた。
特筆すべきは、女性ならではの支援物資の多様さである。相談者には、マスク、マスク用ケース、生理用品(ナプキン)、除菌ティッシュ、ストッキング、絆創膏、基礎化粧品の7点が配布される。気持ちの和らぐチューリップなどの花や、栄養なども考えて、農民連女性部からはたくさんの農産物や食品などが届いた。
「相談に来た人には、まずはほっとして欲しい」。そんな配慮から、会場には、温かいお茶を飲めるスペースを用意し、相談しやすい雰囲気にも気を配っていた。マッサージのスペースも用意したという。
また、相談の対応言語は、やさしい日本語、英語、フランス語、ベトナム語など。手話対応もあった。さらに、セクシャルマイノリティの女性からの相談も受け付け可能であった。
会場には、新型コロナウイルスの影響などによって職を失ったり、生活が不安定になったり、困窮、DV被害や性被害など、様々な困難に直面する「当事者」の女性たちが訪れることも予想される。
取材に来たメディアが勝手に行動してしまうと、「当事者」に不要なストレスを与えたり、肖像など、彼女たちのプライバシーに関する情報が拡散されてしまう恐れがある。
会場では、あくまでも「当事者支援」が第一の目的。そのため、取材に訪れるメディア関係者には、前もって、約1時間の事前説明会への参加が義務付けられ、取材条件について、綿密なレクチャーが行われた。
当日は、相談者と相談者の動線を含むスペースの撮影は禁止され、事前の支援物資搬入の様子、そして、午前・午後に1回ずつ行われた、主催者によるブリーフィングの様子のみの撮影となったことをご了承いただきたい。
相談会終了後の午後の記者ブリーフィングでは、雷鳴轟く中でも、相談者が訪れ、住まいを持たない相談者のケースでは生活保護同行につなげたなどの報告があった。
13日の支援にあたった実行委員とボランティアは約80人にのぼった。取材に訪れた報道関係者も9割が女性スタッフであった。
詳しくは、相談会主催者への取材動画を御覧いただきたい。
参考サイト