香港の民主活動家に実刑判決! 黄之鋒氏は禁錮13ヶ月半、周庭氏は禁錮10ヶ月、林朗彦氏は禁錮7ヶ月…中国による自由と民主主義の「圧殺」は、隣国にとっても他人事ではない! 2020.12.9

記事公開日:2020.12.9 テキスト
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(文・仲川正紀 編集・杉浦まりあ、仲川正紀 文責・岩上安身)

 2020年夏に香港国家安全法が成立して以来、多くの人が恐れていた事態が現実となった。

 香港の民主化政治運動団体「デモシスト(香港衆志)」の著名メンバーである黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏と周庭(アグネス・チョウ)氏、林朗彦(アイバン・ラム)氏の3人に実刑判決が言い渡され、それぞれ即時収監された。

 3名は2014年の民主化デモ「雨傘運動」で名を知られるようになった。中でも黄氏は当時まだ10代であったことから国際的に注目され、周氏は「学民の女神」「民主の女神」などと呼ばれて注目を集めた。

▲2014年9月26日、学生ストライキを起こす周庭氏(左)と黄之鋒氏(右)(Wikipediaより)

記事目次

新型コロナウイルスが民主化運動の逆風に!? 3人が参加した「逃亡犯条例改正案」への抗議デモは半年以上継続、最大200万人が参加したが…

 2019年4月、香港政府は、犯罪者を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例改正案」を立法会(議会)に提出した。

 同改正案が成立すれば、香港での中国政府批判を中国側が恣意的に取り締まるようになるとの恐れから、改正案に反対する市民らによる抗議デモが拡大。6月には主催者発表で200万人がデモに参加するに至り、黄氏ら3人のメッセージを含め、抗議デモの様子は世界で大きく報じられた。

 抗議デモの影響は強く、2019年9月には林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が、改定案の撤回を表明した。しかし、改定案の正式な撤回を求めて抗議デモは継続され、年を越して2020年になっても継続された。

 しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響が事態を変えた。3月に感染対策として公共の場所で5人以上が集まることを禁止されると、事実上抗議デモは行えなくなり、香港市民の声はかき消された。

中国・全人代が「国家安全法」を施行! 「一国二制度」は事実上の終焉へ

 今年5月28日、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)において、香港への統制を強め、反政府運動を取り締まる「国家安全法」の制定方針が採択された。中国は香港での暴力的な抗議活動を取り締まるために「国家安全法」が必要だと主張していた。

 6月30日に「国家安全法」が施行され、香港の自治を認める「一国二制度」は事実上の終焉を迎えた。同日、黄氏と周氏らが創設した政治団体「香港衆志(デモシスト)」も解散した。

 8月10日、香港警察は周氏を香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕した。また、民主派の香港紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏とその二人の息子、さらに同紙を運営するネクスト・デジタルの幹部2名も同じく香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕された。

 9月24日には、黄氏も2019年10月に違法な集会に参加した疑いと、「覆面禁止法」に違反した容疑で香港警察に逮捕された。

 そして12月2日、香港の簡易裁判所は、昨年6月に香港政府の「逃亡犯条例」改正案への抗議デモを扇動したとして無許可集会の扇動罪で起訴されていた民主派活動家3人に実刑を言い渡した。

 黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は禁錮13ヶ月半、周庭(アグネス・チョウ)氏は禁錮10ヶ月、林朗彦(アイバン・ラム)氏が禁錮7ヶ月の量刑となった。

黄之鋒氏「これは闘いの終わりではありません。私たちの前には、もうひとつの挑戦的な戦場があります」

 実刑判決を受けて、黃之鋒氏は弁護士を介してツイッターで以下のようにコメントしている。

▲黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(黄氏のフェイスブック・プロフィールより)

 「これは闘いの終わりではありません。私たちの前には、もうひとつの挑戦的な戦場があります。

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