2020年5月27日(水)午前11時より、新宿区の東京都庁舎6階会見室にて、宇都宮健児氏が東京都知事選出馬表明記者会見を行なった。東京都知事選挙は現職小池百合子都知事の任期満了に伴い、6月18日に告示され、7月5日に実施される。
宇都宮氏は今回の都知事選には、「都民の生存権がかかっている」と述べた。都民ひとりひとりの雇用、営業、住まい、生活そして命を守ることをモットーに、緊急の課題として、新型コロナウイルス感染症から都民の命を守る医療体制の充実と自粛・休業に対する補償の徹底、都立(8医院)・公社(6医院)病院の独立行政法人化の中止とこれまで以上の充実強化、カジノ誘致計画の中止の3点を政策の主要な政策の柱として掲げた。
また、都政上の実現を目指す項目として、学校給食の無償化、東京都立大学の授業料の半額化、都営住宅の新規建設と家賃補助など住まいの貧困の根絶、非正規雇用を減らし、正規雇用者を増やす、災害対策、道路政策の見直し、羽田空港新ルート低空飛行への反対、温暖化対策の強化を挙げた。
参加記者との質疑応答において、前回2016年の都知事選において野党統一候補として鳥越俊太郎氏が擁立されたことを受けて野党票の分裂を避け、宇都宮氏が出馬を断念した件に関連して、今回そのようなことがあった場合退くのか、という問いがあったが、宇都宮氏は、「今回は退かない。そのようなことをすべきではないと考える」と回答した。
存在感やイメージがちょっと地味ではないか、そこを克服せねばと思うか、との問いに宇都宮氏は、「特に克服しようとは思わない。都政のこと、都民の状況を考えていない、名前が売れてて派手な候補者が出てくるのは失敗。私は地味を最大限売りにして、都民市民と対話して、みんなのことを考える政治をやっていきたい。そういう政治が受け入れられる社会にならないと都も変わらない、国も変わらない。僕以上に地味で泥臭い人が出てくるべきだ」と答えた。
質疑応答のさなか会見参加者より思わず拍手が沸き起こり、記者クラブ幹事社がそれに対して拍手を抑えるように呼び掛け、市民ジャーナリストと言い争う一幕もあった。実際のやり取りは、ぜひ、動画で御覧いただきたい。
オリンピックに関して宇都宮氏は、最終的な決定はIOCが下すとしたものの、積極的に推進はせず、早急に中止と決定されれば都の財政負担の軽減や他の補償に注力することが可能になるとの見解を示した。
また、緊急対策への支出によって減じた都の財政調整基金で先述のような政策が可能かどうか、今後の都の財政はどうなってゆくかについて、積極的な予算の組み換えによってまかなってゆくべきとの認識も明らかにした。
宇都宮健児氏は、現在の新型コロナウイルス感染症の直接の健康被害よりも、自粛・休業要請と今後も続く経済の落ち込みによって都民の生活困窮が大きくなることが問題であるとし、貧困と弱者救済を意識する都政を目標とし、2020年東京都知事選に臨む。