飯田てつなり草起塾 vol.2 タウンミーティング 2012.12.22

記事公開日:2012.12.22取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年12月22日(土)14時40分から、山口県柳井市の柳井市文化福祉会館で、飯田哲也氏が特別顧問を務める、みらい山口ネットワーク主催の「飯田てつなり草起塾vol.2 タウンミーティング」が行われた。前日に柳井市内のホテルで行われたイベントに続いて、飯田氏と慶應義塾大学教授の金子勝氏が出演した。さらに柳井市に隣接する平生町で農業を営む松本伸子氏を加えて、「地域の豊かさを問う」と題し、地域や農業のビジョンを会場の参加者も交え語り合った。

■全編動画

  • 出演者 飯田哲也氏(みらい山口ネットワーク特別顧問、環境エネルギー政策研究所〔ISEP〕所長) 金子勝氏(慶應義塾大学経済学部教授) 松本伸子氏(農業、山口県平生市在住)
  • 日時 2012年12月22日(土)14時40分
  • 場所 柳井市文化福祉会館(山口県柳井市)

 地域ナビゲーターの肩書きも持つ松本氏は、2008年から平生町に移り住み、環境に負荷の少ない循環型の農業を目指して、無農薬栽培やアイガモ農法等を行ってきた。また、周囲の人を巻き込んで、地域の活性化に取り組んでいる。松本氏は「まずは、人を集める事が大事」と述べて、水産会社の息子さんが東京からUターンし、自宅の倉庫を改装して朝市を開いている例などを紹介。「地元の主婦や高齢者の交流の場となり、地域に活気が生まれている」と語った。

 金子氏は、地域の特徴として「例えば、大都会の真ん中にいると、原発を稼働しようとしている人間の姿、実態が見えづらい。地方で何か新しい事を始めようとすると、目に見える形で必ず邪魔する人間が現れる。昔からの地縁血縁が入り乱れていて大変だが、この点は、都会よりも遥かにドラマチックである」と述べた。

 地域の取り組みがたくさんある中で、現在の経済市場の中では、評価してもらえない現状について問われた金子氏は、「地域産業そのものを一から育てていく意志が欠けている」と述べ、一方で、日本のモノ作りの場が、コストダウンを目的に日本の外へ出て行こうとする傾向があり、公共事業の波及効果がどんどん落ちている点を指摘した。

 道州制については、「地方自治体がお金をくれて、勝手な事業をやっても良いというなら問題ないが、形の上だけ統治機構を変えても、ミニチュア型の中央集権政治体制ができるだけである」と中央官庁に依存している体質を問題点として指摘した。また、小規模分散の発電を進め、日本の気候、地形に合った地域分散型の社会を構築していく必要性を説明した上で、「政治家から物乞いのようにお金をもらうのではなく、自分たちで生きる力を作っていける経済発展が正しい姿である。大量に物を作って、コストを下げるという20世紀型の方法から脱して、新しい社会システムを築くべきである」と述べた。

 松本氏は「大量生産、大量消費の時代には注目されなかったものが、里山には沢山ある。皆で力を合わせて、町づくりを進めていける土壌を作りたい」と語った。

 飯田氏は「電気をどんどん使う社会が悪いから、もっと貧しくなって電気を使わない方が原発はなくなる、というマイナス思考は止めた方がよい。今まではこうだったから、こうしましょうという考え方では負ける。物とエネルギーを地域で閉ざさず、お金と意思決定の権限だけを地域に留める。そういう意識変革が必要だ」と述べた。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です