2012年12月16日(日)14時より、福島県郡山市の郡山女子大学で、「フクシマ・アクション・プロジェクト市民会議『海外からみた福島原発震災、福島から考える未来』」が行われた。福島での政府とIAEAの国際会議に対抗し、フクシマ・アクション・プロジェクトが主催したもので、ラインハルト・ウーリヒ氏やクリストフ・エラン氏など、海外からのゲストがIAEAやWHOの実態を語った。
(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)
2012年12月16日(日)14時より、福島県郡山市の郡山女子大学で、「フクシマ・アクション・プロジェクト市民会議『海外からみた福島原発震災、福島から考える未来』」が行われた。福島での政府とIAEAの国際会議に対抗し、フクシマ・アクション・プロジェクトが主催したもので、ラインハルト・ウーリヒ氏やクリストフ・エラン氏など、海外からのゲストがIAEAやWHOの実態を語った。
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第一部は「 IAEA、WHOの実態と現場の市民アクション 」をテーマに、ラインハルト・ウーリヒ (Reinhart Uhrig) 氏(GLOBAL 2000, FoEオーストリア)とクリストフ・エラン (Christophe Elain) 氏(Independent WHO)がスピーチを行った。第二部は「私たちのアクション~福島原発事故は終わっていない 」と題して、武藤類子氏(フクシマ・アクション・プロジェクト)、天木直人氏(元駐レバノン大使)、オリビエ・フロロン (Olivier Florens) 氏(ヨーロッパ・エコロジー=緑の党、ヴォクリューズ県議会副議長)、ラインハルト・ウーリヒ氏、クリストフ・エラン氏らが話をした。
ウーリヒ氏は「IAEAは、自ら研究して、自ら実力を発揮する機関ではない」と話した。福島第一原発事故に関しても、IAEAは日本の公的な情報に頼っていると話し、「国際原子力事象評価尺度の決定をレベル4から5、7へと上げていったのも、日本の規制当局がレベルを上げていった後にIAEAが追従しただけだ」と説明した。ウーリヒ氏は、こうしたIAEAの現状に対して改革が必要だとして、「まず、IAEA憲章にある、原子力を推進する役務を変更して、原子力の広告会社から脱し、国際的な権限を持ち、世界中の原発を制御する機関となるべき」との見解を示した。
エラン氏は、IAEAとWHOの関係について、1959年の両者の合意を紹介し、その合意の中に「活動する際に、相互合意に基づく調整を図らなければならない、ということが含まれている」と指摘した。たとえば健康被害を伴う原子力災害が起きた場合、WHOが健康の危険性を主張すると、IAEAは原子力を推進する機能に損害を受けることになり、双方の利害が対立する。「この合意後、調整を図るという点で、WHOは放射線防護に関して自立できなくなり、IAEAがイニシアチブを持つことになった」と説明した。さらに、「WHOは、IAEAと合意できない場合は解約できる条項があるにもかかわらず、解約していない。共犯者だ」と指摘した。
天木氏は冒頭で、「原発問題は国家権力の犯罪であり、大きくて深刻な問題」と指摘した。そして、「きわめて外向的な問題かつ日本固有の問題であるが、この原発問題も放射能汚染の問題も含めて、戦後66年の日本外交は、アメリカとの関係がすべてである」とした。「日本の外交が、国民のための自主的な外交でないという特殊な状況であり、それは原発問題にも影響している。この点を外国の方に知ってもらいたい」と訴えた。
続いて、天木氏はIAEAの任務に関しても言及した。「原発の管理と同時に核不拡散の役目を果たしているが、これは表向きだ」とし、「核不拡散とは、アメリカの核を守り、他の国には渡さないこと。それは、アメリカの危険を高めないためだ」と話した。さらに、「日本は唯一の被爆国として、世界の核廃絶に向かって先頭を切る役割を担っている。これは、核を独占したいアメリカの思惑には都合がいい」と説明した。最後に、天木氏は「福島第一原発事故を経験した日本が、世界に向かって強く原発をなくそうと発言すれば、その影響力は非常に大きいはずだが、これを妨げているのが政府や官僚である」と批判した。