2012年12月15日(土)20時50分より、福島県郡山市の福島県産業交流館ビッグパレットふくしまにおいて、政府および国際原子力機関 (IAEA) が共催する「原子力安全に関する福島閣僚会議」1日目の日程終了後、会場内で原子力規制庁による記者ブリーフィングが行われた。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2012年12月15日(土)20時50分より、福島県郡山市の福島県産業交流館ビッグパレットふくしまにおいて、政府および国際原子力機関 (IAEA) が共催する「原子力安全に関する福島閣僚会議」1日目の日程終了後、会場内で原子力規制庁による記者ブリーフィングが行われた。
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ブリーフィングには、原子力規制庁の森本次長と山形国際課長が出席した。山形課長から、「本日、田中委員長は、まずフランス原子力安全委員会のシュヴェ委員長とジャメ委員と会談し、国際協力協定文書に署名をした。また、フランスから情報交換の具体的な方法と、テクニカルなワークショップ開催などの提案がなされた。カナダからは、来年4月にIAEA共催で行う国際会議への招へいを受けた。また、田中委員長は、原子力規制委員会の透明性と独立性について聞かれていた。最後に、IAEAフローリー事務次長と会談をした。田中委員長は、原発の安全基準と深層防護の考え方を尋ねた。大島委員はセキュリティや防災を話し合った。また、IAEAは、2014年中に福島第一原発事故のレポートを提出するので、それについて協力を求められた」などと報告をした。
質疑応答で、読売新聞記者より「IAEAの2014年レポート提出に関しては、先方からは何か具体的な要望はあったのか」と聞かれ、山形課長は「特に具体的なことではなく、現状は協力を求められただけだった」と答えた。次に、IWJが「IAEAフローリー事務次長との会談で、セイフティ・カルチャーと防災に関して、具体的な内容が話し合われたのか」と質問した。山形課長は「具体的な話は出なかった。IAEA内にはセキュリティに関する常勤職員がいる。緊急時対応のための避難についてもハイレベルな委員会を設置するので、メンバーを派遣してほしい、との要請はあった」と答えた。
事故レポートへの協力手順について尋ねられると、山形課長が「まず、IAEAから一定箇所に関してレビュー(評価)が申し付けられ、こちらはその部分をIAEAの安全基準と比較しながら自己評価書を作る。IAEAは、それを専門家と検討、事故レポートを提出する」と説明した。また、「田中委員長が、IAEAのセイフティ・カルチャーに期待するというのは、全体的な安全指針や組織のあり方、安全への考え方について、ということだ」と答えた。
さらに、IWJは「除染、モニタリング、健康について、協議・協力するという覚え書きが、本日、IAEAと福島県の間でとり交わされた。先日、規制委員会での健康管理のあり方に関する検討チームの席上で、木田福島医師会副会長が、国連人権理事会の特別報告官アナンダ・グローバー氏の勧告のことを話した。その件について知っているか」と尋ねた。「ドラフトは読んだ」と答えた森本氏に、さらにIWJは「本日午前中に、外務省を通して、市民団体の要請文がIAEAの報道官に手渡された。内容はグローバー氏の勧告と同様、『県側と住民との意見の不一致が見受けられ、住民の意見が反映されていない。もっと勘案して欲しい』というものだが、承知しているか」と重ねて問いかけた。森本氏は「今こちらに来たばかりで自分は知らない。ただ、外務省ではそれらの情報は共有しているとは思う」とした。
福島県の県民健康管理調査の件などについても質問が出たが、本会議とは趣旨が異なるとして、規制庁は回答しなかった。IWJが「IAEAと健康についての話し合いはあったか」と尋ねると、森本氏は「個別にはなかったが、IAEAとして包括的な調査をするにあたっての意見はでた」と答え、山形課長が「IAEAの中で、2013年1月に除染とエリミネーション(除去)に関しての専門家会合を開催する、という話はあった」と補足した。
最後に、「IAEAは原子力を開発推進する機関。かつて、日本の原子力安全・保安院と資源エネルギー庁が一緒だったことと似ているが、今後、原子力規制庁としては、どう対応するのか」と質問があった。山形課長が「IAEAは国連の組織のひとつ。日本政府の中に、エネ庁と規制委員会がある、というような感覚だ。彼らが言うには、『IAEAはインスペクター(検査)機関ではない。知識や情報を共有し、学ぶためにあるレビュー(評価)機関』とのことだ」と答えた。