7.21参院選の前に必読!韓国の輸出管理を批判し輸出規制を強化した日本が、実は北朝鮮に軍事転用可能な物資を密輸出していた!? 元徴用工問題に関して弁護士有志声明の呼びかけ人の一人、岩月浩二弁護士からの特別寄稿を参院選中に限りフルオープンで再掲載中! 2019.7.14

記事公開日:2019.7.14 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 韓国の輸出管理を批判し規制を強化した日本が、なんと北朝鮮へ軍事転用可能な物資を密輸出していた可能性が浮上した。

 日本政府は7月4日、半導体などの製造に必要な材料のうち、フッ化水素など3品目の韓国への輸出規制強化を発動した。日本政府は規制強化の理由として、軍事転用できる物資の輸出管理で「不適切な事案」があったとの判断を示していた。

▲経済産業省ホームページより

 NHKは7月10日、韓国政府の資料から明らかになったこととして、韓国から軍事転用可能な戦略物資が違法に輸出され摘発された件数が、4年間で156件にのぼることを伝え、韓国の「裏切り」を批判していた。この戦略物資の中には、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の兄、金正男(キム・ジョンナム)氏の殺害に使用された猛毒の原材料となる物質も含まれていたという、「韓国の専門家」による指摘も報じている。

 また、FNNも、「与党幹部」が語ったこととして、軍事転用可能な物資が韓国から北朝鮮へ渡っている恐れがあると報じていた。これらの韓国批判報道が、日本国内の「嫌韓感情」に火をつけていた。

 ところが、である。こうした日本の韓国批判報道に対して韓国の産業通商資源省は7月10日、韓国が摘発したのは「一部の国内企業が許可なく輸出したものを摘発した事例で、日本産のフッ化水素ではない」と説明した。すなわち、日本産のフッ化水素を横流ししたわけではないと正面切って反論したのである。その上で、韓国を批判する日本の現状はどうかというと、無許可輸出の摘発件数が公表すらされていないことを明らかにし、その無責任さを批判した。

 さらに、韓国国会のハ・テギョン議員は7月11日、日本の安全保障貿易情報センター(CISTEC)から入手した「不正輸出事件概要」資料を分析した結果、日本で1996年から2013年までの17年間に、30件を超える対北朝鮮密輸出事件が発生していたことを明らかにした。韓国紙ハンギョレが報じた。

▲一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)ホームページより

 ハンギョレによると、ハ議員は、日本から北朝鮮へ密輸出された物資の中には、核開発・生物化学兵器に利用可能な戦略物資が含まれていると主張。「日本は感情的な対応を自制すべきであり、ごり押し主張をすればするほど国際社会から孤立するだろう。日本は直ちに不当な輸出規制を撤回せよ」と痛烈に批判した。

 また、ハンギョレは7月12日、「ロシアが最近、外交チャンネルを通じて自国製のフッ化水素を韓国企業に供給できるという意思を政府側に伝えてきた」という韓国政府関係者の話を伝えている。これが実現すれば、日本による韓国に対する経済制裁は無効化する。日本がロシアに対し、抗議し、対抗措置をとれるような強気の外交ができるとは思えない。外交は二国間問題だけではなく、多国間関係で成り立っている。ロシアが明確に韓国をバックアップした点で、この件に関しては日本外交の敗北が確定したといっていいだろう。

 日本政府による韓国への輸出規制強化措置により、当初は、韓国企業だけでなく日本企業も打撃を受け、「共倒れ」することが危惧されてもいたが、このままでは、日本だけが「自滅」する可能性が高いと思わる。

 しかし、こうした外交的敗北は、日本の道義なき外交姿勢に原因があると言わざるを得ない。

 日本政府は、韓国向け輸出規制の強化の理由について、「韓国向けの輸出で不適切な事案があった」ことや、「韓国との信頼関係が著しく損なわれた」ことを挙げている。しかし、韓国への高圧的な外交姿勢の、日本政府の意図は明らかである。

 菅義偉官房長官は7月2日午前の記者会見で、韓国人元徴用工問題への「対抗措置ではない」と述べながらも、「(日韓)両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上に(元徴用工問題で)G20(サミット)までに満足する解決策が示されなかった。信頼関係が著しく損なわれたことは言わざるをえない」とも語った。韓国への輸出規制強化が、元徴用工問題を念頭に置いた「報復」的な措置であることは明らかだろう。

 昨年10月30日、太平洋戦争中に日本で強制労働をさせられた韓国人の元徴用工4人が、雇用者であった新日鐵住金に損害賠償を求めた訴訟で、韓国の最高裁にあたる大法院は原告の主張を認め、1人あたり1億ウォン(約1000万円)の賠償金支払いを命じた。

 この韓国大法院判決を受けて、弁護士や学識者らが「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」を発した。この声明について、岩上安身は次のようにツイートしている。

 「この有志の声明を出した呼びかけ人の弁護士の一人が岩月浩二弁護士。元徴用工問題は、現代の外国人労働者の問題と重なり合う。この問題は、韓国をなじってすむ話では決してない」

▲岩月浩二弁護士(2018年11月12日、IWJ撮影)

 岩上安身は2018年11月2日、徴用工問題に関して岩月浩二弁護士にインタビューを行い、その後、岩月氏から特別寄稿もいただいた。インタビューと寄稿は、ぜひ下記URLからご覧いただきたい。

 また、徴用工問題に関して、IWJサポート会員の「健康みらい2100 佐藤朝生」様からメッセージをいただいた。ご本人から許可をいただいた上で、以下にご紹介させていただく。

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徴用工問題、冷静で前向きな解決策を

 元徴用工訴訟問題で日本の多くのメディアは日本政府の韓国批判の姿勢に追随しています。

 日本政府は「1965年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決している」と指摘して、韓国最高裁の判決は国際法上あり得ないと断言していますが、果たして正しい判断でしょうか。

 まず元徴用工の個人請求権ですが、1991年、外務省条約局長は「日韓両国の外交保護権(相手国の責任を追及する権利)を相互に放棄したが、個人の請求権は消滅していない」と答弁しました。日本政府も昨年11月、初鹿明博議員(立憲民主)の質問主意書に対して「1991年答弁を含めて政府の見解は一貫したものだ」と回答し、個人の請求権は消滅していないことを認めています。

 すなわち、外交保護権の相互放棄により個人の請求権は韓国に移行したため、日本政府への請求はできないということですが、日本の私企業に対する請求権は有効という韓国最高裁の判断は妥当ではないでしょうか。

 次に「元徴用工への賠償は日韓請求権協定で日本が韓国へ無償供与した3億ドルから韓国政府が払うべき」という日本側の主張です。

 日韓請求権協定、第一条に「供与及び貸付は、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない」「両政府の代表で構成される合同委員会を設置する」と明記されています。すなわち「使いみちは経済発展のみ、使い方は日韓両政府で決める」という内容で、元徴用工への賠償は蚊帳の外になってしまったということです。

 従って、日韓両政府はあらためて日韓請求権協定を検証し、冷静で前向きな解決策の協議をしていくことが必要だと思います。

健康みらい2100(https://kenkoumirai.net/)佐藤朝生

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