2019年10月に消費税増税が予定されている中、老後資金「2000万円必要」とした金融庁の金融審議会報告書の問題や、公的年金を事実上削減していく「マクロ経済スライド」の問題など、国民の生活に直結する大問題が2019年参院選における重要な争点となっている。
共産党の志位和夫委員長は7月7日、ツイッターに次のように投稿した。
「安倍さんは、党首討論で、『マクロ経済スライド調整後も基礎年金は実質で6万3千円は維持する』と。反論したように、『6万3千円』とは現役世代の実質賃金が38%も上昇するというあり得ない前提をもとにはじき出した『架空の数字』。現在価格で3割減=4万5千円まで減らされる。これが事実です」
- 志位和夫・日本共産党委員長ツイート(2019年7月7日)
岩上安身は7月7日、志位委員長のツイートにリプライして、連投ツイートした。以下、7月7日の岩上安身のツイートを加筆・修正して掲載する。
僕は企業の正社員(出版社の編集者)、非正規雇用(週刊誌の専属記者)、自営業・自由業(フリーランス)、中小企業経営者(IWJ代表)と経験してきたので、違う立場もわかるつもりです。最低賃金を全国一律に急に上げると潰れる会社やお店はたくさんあります。まず、その前に賃金不払いをなくすべき。
日本人の多くは中小企業で働いています。雇う側と雇われる側の利害は常に対立しているように言われますが、必ずしもそうではない。自分が愛着を持って仕事をしている、というパターンは、小さい会社やお店などの場合、労使どちらも同じ気持ちをもっているケースは少なくありません。
大事なことは、まずは不払い労働とか、不払い残業を徹底してなくすことです。メディアで働く記者や編集者、ディレクター、クリエイターらは、労基法が最も厳格な時代でも、裁量労働制が適応されてきました。僕もそれを受け入れてきたのですが、経営する立場に立って、ダメだと思うようになりました。
成果が上がらなければ寝る時間を削ってでも仕事をする、そうした成果が出せない場合、退出していくのは当然で、弱者だとか敗者だとかみなすのが当たり前になっているのがメディア業界です。でも、どんなに優秀でも寝ずに働いていれば体を壊すのです。当たり前のことですが。
若さとは、こうしたことを理解するためには、障害となる場合があります。僕自身、若い頃、がむしゃらに働いてきて、それを当たり前に思っていましたから。
僕は今、歳をとり、体力も衰え、故障するようになり、正直にそれをツィートしたりしていますが、20代の時にSNSがあったら多くの人に別の意味で心配されたと思います。
今は、こうした裁量労働制が一般の営業職や事務職にまで、何だかんだ理由をつけて適用されるようになり、どんな業界でも事実上の賃金不払いが横行していると思われます。
ある一般企業のOLの方に、つい先日、勤務実態について話を聞いたのですが、9時から8時までみなし労働時間とされ、実際には毎晩のように終電までとか、遅い時だと徹夜とかしておきながら、8時以降の残業代は支払われません。体力がある方で、頑張って働いてきたけれども体調を崩しているそうです。
こうした状況が蔓延していても、労基法が緩められ、残業代不払いでも働かせられる法制度にズルズルと変えられてきてしまっているので、個々人は自分の状況が把握できなかったり、その状況から抜け出すことができなかったりします。でも、体を本格的に壊してしまってからでは遅いのです。
今回の参院選を前に、各党が最低賃金の引き上げを公約に掲げています。高ければ高いほど、労働者にとっては魅力的なことは間違いないですが、急に高く引き上げられても手も足も出ないという小さな会社やお店は少なくないと思います。倒産、閉店が続出する可能性があります。
れいわ新選組が「全国一律! 最低賃金1500円『政府が補償』」と掲げているように、最低賃金引き上げに反論はしません。ウチもできたらいいなあ、スタッフは皆喜ぶなぁと、小さな会社の経営者の一人として、思います。しかし、政府が補償するといってもその資金は税金です。そのためにまた増税では意味がないでしょう。まず、ズルをさせないこと、その穴を塞ぐことが先決です。
何もこの点を、立憲民主党の枝野さんの専売特許にしておく必要はないじゃないですか。れいわも他の野党も、ブラック撲滅、労基法の再強化を明日から街頭で言えばいいんです。優れた公約はパクリありです。野党は共闘、公約も共闘です。
あと租税回避しているタックスヘイブン利用者に追徴課税をかける法律も早期に作ってもらいたい。租税逃れのキャピタルフライトや、海外に資産を移して移動させてゆき、どこにも税金を払わないパーマネントトラベラーは、究極のフリーライダーなので、追徴課税の重税化、厳罰化を図るべきですね。