「政府がケチやったらアカン!積極財政で日本再生を」元内閣官房参与の藤井聡氏が財政政策を斬る!山本太郎議員は消費税を5%へ減税すべきと提案!山本太郎×藤井聡×松尾匡 本当に日本を再生できる みんなのための財政政策 Part3 2019.1.19

記事公開日:2019.1.19取材地: テキスト動画
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(取材:萩崎茂 文:花山格章)

※2019年3月2日、テキストを追加しました。

 「私たちがデフレで苦しんでいても、徹底的に財政政策を拡大しないケチな政府が、日本をダメにしている。緊縮とは要するにケチ。政府がケチではアカン! 政府がケチであることは罪なのだ」

 2018年の年末に安倍政権の内閣官房参与を辞職したばかりの藤井聡氏は、消費増税の凍結や減税は緊縮主義との戦いを意味すると語り、日本の繁栄に何が必要かという観点から持論を展開した。

 「日本人は『緊縮はいいものだ』『欲しがりません勝つまでは』が道徳的だと思っているが、『ケチは不道徳だ』という倫理の転換が絶対に必要だ」

 2019年1月19日、シンポジウム「山本太郎×藤井聡×松尾匡 本当に日本を再生できる みんなのための財政政策 Part 3」が、大阪市中央区内で開かれた。京都大学大学院教授の藤井聡氏、立命館大学教授の松尾匡(ただす)氏の講演に続き、自由党の山本太郎参議院議員を加えて鼎談が行われた。

 藤井氏は日本経済再生の処方箋として、「税制改革は、消費減税、法人増税で成長を促す。財政政策では、成長を促すさまざまな政府投資を。そして、構造政策。賃上げや物価上昇を促す制度設計に」と述べ、その上で、「残念ながら、針は真逆に進んでいる。だから、今の日本はデフレ圧力がきわめて強くなっているのだ」と説明する。

▲京都大学大学院教授の藤井聡氏(IWJ撮影)

 そして、政府の財政出動について、「実績がある範囲で、かつ行政の事務能力を考えると財政出動は15兆円。給付金ではGDPの効率性が悪いので、成長にもっとも効果的な公共インフラ投資などに向けるべきだろう。国会を中心に財政政策の国民的議論が必要だが、今はこの議論が『緊縮』に封殺されている」と懸念した。

▲自由党の山本太郎参議院議員(IWJ 撮影)

 山本議員は、「日本の地盤沈下は国の経済政策ミスが原因。その中でも、消費増税が大きな影響を与えている」と述べ、IMF(国際通貨基金)のデータで1997年からの政府支出の推移を紹介。「戦争紛争をしていない180ヵ国以上の中で、人々にお金を使わないドケチ国家のNo.1は日本だ。同じく1997年からどれくらい成長したかを見ると、日本は最下位」と指摘した。

 また、消費税ゼロは可能かという議論の中で、山本議員は消費税10%の延期ではなく、現状8%の消費税を5%に下げる減税を提案した。

 「消費税ゼロは、永田町では受け入れがたいものがある。そこで、消費税ゼロを求める人々を増やし、『ゼロが無理なら、まず5%にしろ』という国民運動を広げていくのはどうか。日本全国の小選挙区で署名を展開していけば、政党も柔軟に考えるのでは。そういう動きを急速に展開する必要がある。『消費税5%』を野党側の共通政策として打ち出せれば、与党を揺さぶれる」

▲藤井氏(左)と立命館大学教授の松尾匡(ただす)氏(IWJ撮影)

 松尾氏は経済における政府の役割を解説し、「なぜ、わざわざ税金を取るのか。政府がお金を作り続けると、世の中にお金が出過ぎて、購買能力がその国の供給能力を超え、インフレが激化していく。これを防ぐために税金を取って購買力を抑える。目的はインフレの管理なのだ。財源が必要だから税金を取るという考えは家計の場合であって、家計と一緒にしてはいけない」と語った。

 さらに、今年10月からの消費税10%の実施について、夏の参院選を前に安倍首相が増税を延期する可能性にも言及し、「そうなると、選挙で安倍さんが圧勝するだろう。その前に野党側が消費増税の反対運動を十分に盛り上げれば、増税延期はわれわれの成果と言えるので、がんばらないといけない」と呼びかけた。

記事目次

■ハイライト

  • 講演 藤井聡氏(京都大学教授)/松尾匡氏(立命館大学教授)
  • 鼎談 山本太郎氏(参議院議員、自由党共同代表)×藤井聡氏×松尾匡氏
  • タイトル 山本太郎×藤井聡×松尾匡「本当に日本を再生できる みんなのための財政政策 Part3」
  • 日時 2019年1月19日(土)14:00〜17:00
  • 場所 NSビル(大阪市中央区)
  • 主催 みんなのための財政政策シンポジウム実行委員会/共催 大阪を知り・考える市民の会詳細、Facebook)

世界の成長率ランキングで日本は最下位! 「増税が日本をダメにした。これから貧乏な国になっていく」

 藤井氏は、「消費が伸びていくと経済が成長する。消費は経済指標で非常に重要。それが1994年から、リーマンショック、東日本大震災、消費税5%、消費税8%で、4回沈んでいる。リーマンショックから次の下落までの消費支出の平均上昇率は2%、東日本大震災後は2.6%。ところが、消費税の5%増税後の成長率は1%で、8%増税の時は成長率1%を切っている。この尺度でみると、消費増税にはダブルリーマンショック級のダメージがある。だから、リーマンショック級が予期されれば増税は即延期、という論理が成立する」と話す。

 1997年の消費増税と同時に、政府は公共事業などの支出を徹底的にカットした。さらに金融ビックバンで護送船団方式をなくし、過当競争させるようにした。これにより企業がブラック化していくと藤井氏は指摘し、「緊縮財政と小さな政府。大企業が暴れやすくなる構造改革、自由化を徹底的に進める。そうなると中小企業が潰れ、失業が増える。そしてデフレ化する」と解説した。

 「それでどうなったか。世界の成長率ランキングで日本は最下位。日本だけが衰退している。増税していなければ、日本のGDPは1000兆円を超えていたのではないか。そうすれば税収は120兆円程度になり、社会保障費をもっと充実することができたかもしれない。これが、増税の破壊的インパクト。日本国家をダメにした。増税さえなければ、すごいことになっていたはずだ。このままだと20年後には、今のメキシコの経済力になってしまう。日本は、これから貧乏な国になっていく」

政府内では「法人税を下げるバーターとして消費税を上げる」と言われていた! 実際、消費税の増税分と法人税の減税分は、ほぼ同じ!

 藤井氏は、「所得税、法人税、いろいろな税があるが、なぜ、消費税が増税なのか。理由がある。政府では『法人税を下げることのバーターとして、消費税が上げられる』と言われていた。その証拠に、導入後の消費税の税収と、法人税の減税分がほとんど同じになっている」と述べ、このように続けた。

 「法人税を増税した方が内需は拡大する。なぜか。法人税は儲けに対してかけられる。儲けに対する『罰金』だ。そうすると(罰金を避けるため)儲けたくないから、お金を使うか損切りする。効率的な損切りは、給料を上げることだ。あとは投資。そうすると利益がなくなる。こうやって資本主義は成長していく。ところが『罰金』が軽いと、とりあえず貯めておこう、となるのだ」

 一方で、法人税減税は賃上げ圧力を低下させ、さらに、投資傾向を低減させるとし、「明確に経済を停滞させる。消費税は消費に対する『罰金』なので、ダブルで経済が停滞してしまう」と警告した。

 藤井氏は日本経済再生の処方箋を、以下のように示した。

 「税制改革。消費増税と法人減税によってデフレ状況がつくられたので、その逆をすることが筋。消費減税、法人増税で、今度は強制的に物価が下がるので、強制的に実質消費と実質GDPが上がる。たとえば、消費税8%を10%にするのではなく、3%に戻したら、5%成長する。ただし、これは政治的には絶望的に難しいので『増税凍結』が重要なゴールになる。

 本当にデフレを脱却するには、財政政策がどうしても必要。財政政策で重要なのは成長を促すさまざまな政府投資で、たとえば新幹線、防災投資、あるいは科学技術投資など。日本の国家国民のためになる投資を選んでやればいい。そして、構造政策。賃上げや物価上昇を促す制度設計。たとえば、賃金をある程度確保するためには、移民を抑制すべきだ。不当廉売の規制、適正価格への誘導も必要だ」

 こうした地道な対策が必要だが、残念ながら針は真逆に進んでいる、と藤井氏。「財政政策は進んでいない。税制改革は消費税増税と法人減税に向かっている。構造政策もすべて逆に進んでいる。だから、今の日本はデフレ圧力がきわめて強くなっている」と強調した。

(…会員ページにつづく)

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    藤井氏「緊縮財政と小さな政府。大企業が暴れやすくなる構造改革、自由化を徹底的に進める。そうなると中小企業が潰れ、失業が増える。そしてデフレ化する。それでどうなったか。世界の成長率ランキングで日本は最下位。日本だけが衰退している」
    https://iwj.co.jp/wj/open/archives/440034 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1102137038411689985

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