大臣就任前は南京大虐殺に関して「間違いなく捏造だ」と明言していた原田環境大臣、会見では「独自の見解を述べる立場にない」としながらも「南京大虐殺はなかった」との持論展開動画はフルオープンのままに~原田義昭環境大臣 定例記者会見 2018.10.5

記事公開日:2018.10.6取材地: テキスト動画
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(取材・文:IWJ編集部)

 原田義昭環境大臣は2018年10月5日の記者会見で、中国からの提供が決まっていた国際保護鳥トキが17日に日本に到着することに関連して、「トキが日中友好の懸け橋になってほしい」などと述べた。

 これに対して毎日新聞の記者から、「大臣就任の前に、南京事件について政府の見解とはすこし異なる立場から見解を述べてきた」などとして、あらためて中国との国際協力についての原田大臣の所見が問われた。

 原田大臣は、大臣就任前の2015年10月19日に収録のTBSラジオ番組「荻上チキ・Session-22」に出演の際、南京大虐殺に関して「間違いなく捏造だと思っています」などと明言している。

 また、東シナ海における中国の資源開発等に関連して、産経新聞の取材に答え、「日中首脳会談で日本が東シナ海に言及して仲良くやっていこうとなっても、中国の資源開発はどんどん進んでいる。こうした状況は許すわけにはいかない。国際仲裁裁判所に訴えるべきだ」などと発言している。

 同記者の質問に対して、原田大臣は「今内閣の閣僚一員としておりますので、所管外のことを含めて独自の見解を述べる立場にない」と、答えるにとどめた。

■ハイライト

  • 会見者 原田義昭氏(環境大臣、衆議院議員、自由民主党)
  • タイトル 原田義昭 環境大臣 定例記者会見
  • 日時 2018年10月5日(金)11:10頃〜
  • 場所 環境省(東京都千代田区

「独自の見解を述べる立場にない」と言うが、持論展開動画はそのまま放置か?

 「独自の見解を述べる立場にない」とのことだが、原田大臣のYouTubeアカウントには「南京大虐殺はなかった」との内容で持論を展開する動画が、この会見が行われている10月5日現在でもフルオープンで閲覧可能である。会見では「独自の見解を述べる立場にない」としながら、持論を語る動画は公開したままでは、明らかに矛盾していると言えないだろうか。

▲原田義昭氏のYouTube動画、「南京大虐殺はなかった」と明記されている。

 IWJ記者はこの点について追及した。以下に毎日新聞記者、及びIWJ記者との質疑を記載する。

毎日新聞「中国から新たにトキの提供が17日に決まったとういことですが、それに絡んで就任の会見の際にも少しやり取りがございましたが、これまで大臣就任の前に、南京事件について政府の見解とは少し異なるような発言をされてきたこともございますし、東シナ海の資源開発についても懸念されるようなご意見をこれまで承っています。環境大臣の所管を担っていく上で、中国との関係というのは近い国ということもありますし、非常に重要な部分であると思います。今回のトキの話に限らず、それ以外に日中間の環境大臣会合というのも今後大臣ご出席なさるご予定もあるかと思います。

 その上で、就任の際の会見では、コメントは差し控えるとのことでしたが、大臣の持論は持論として、中国との国際協力に取り組んでいくつもりなのか、そのことの所見をもう一回あらためて教えていただけますか」

原田大臣「まあ、あのう、私はですね、今内閣の閣僚一員としておりますので、所管外のことを含めて独自の見解を述べる立場にないというふうにご理解いただきたいと思います」

毎日新聞「所管外というお話ですけれども、このまま大臣として任務を務めていく上で、所管外だからその件については言えないというのは果たしてすむのだろうかという個人的な疑問はありますけれど、何か追加であれば」

原田大臣「いや、あのう、環境政策についてはですね、ひたすら決めたことをしっかりやりますけれどもね、申し上げましたように、閣僚の一員としてですね、自分の所管外のことについてはですね、独自の見解を述べる立場にないとご理解いただきたいと思います」

IWJ「現在電気自動車に関しては、(急速充電器の)統一規格を目指して日本と中国が実用化に向けて2020年に実現しようとする中、経済界では大臣の中国に関する歴史認識に注目、注視されている方も多いと思います。

 先ほど所管以外のことはお答えにならないとのことでしたが、YouTubeの方で原田大臣の中国において『南京大虐殺はなかった』というタイトルの動画が今現在も閲覧することができます。これはこのまま放置されるということでしょうか?」

原田大臣「あのう、再々申し上げますけれどもね、所管外と言いますかね、わたくしはまあ、環境政策、原子力の防災政策に専心したいと思っています。

 まあ、所管外の事については、今の段階では、申し上げられないと、受け取っていただきたいと思います」

IWJ「YouTubeの動画に関しては、このまま削除せずに、皆さんが閲覧されるままにするということでよろしいでしょうか?」

原田大臣「まあ、あのう、それも含めてですね、この場はね、そういう場ではないと思っています」

IWJ「大臣のTwitter、Facebookのキャッチフレーズは、『正しく、強く、ブレない』と書いてあります。そういった点からも、こういう場で大臣にブレずに、発言されることを期待する支援者の方も多いと思いますけれど、いかがでしょう?」

原田大臣「まあ、よく考えて、適切にですね、対応にしていきたいと、こういうふうに思っております」


 「中国が主張するような南京大虐殺はなかった」などという「歴史修正主義者」の主張を、IWJはかねてより徹底検証してきている。

 その中でも、膨大な歴史史料を研究し、「歴史修正主義者」の発言の「嘘」を告発し続ける哲学者・能川元一氏に、岩上安身が行った単独インタビューは必見である。

 証拠となる史料をうず高く積み上げて、「30万人じゃなければ、南京事件じゃない」などのような、歴史修正主義者らが頻繁に使用する「論法」や「嘘」をひとつひとつ論破している。ぜひこの機会にご視聴いただきたい。

 かつての大日本帝国による過ちをなかったことにしようとする歴史修正主義者たちの妄言、そしてそのよう持論を展開する閣僚を連ねる現内閣を、看過することなどできない。IWJは引き続きこの点を厳しく注視してゆきたい。

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