悪質タックル事件で日大DL宮川泰介選手が単独記者会見! この問題はモリカケ問題と瓜二つ!部下に責任転嫁し、自分の責任は言い逃れる安倍総理と内田正人前監督の発言はまったく同じ! 2018.5.24

記事公開日:2018.5.24 テキスト
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(文:尾内達也 文責:岩上安身)

 悪質タックル事件で、反則行為によって関学大選手を負傷させた日大DL(ディフェンシブライン)* 宮川泰介選手が本日、5月22日に記者会見した。

*DL(ディフェンシブライン)とはアメリカンフットボールの中でディフェンスの最前線に位置し、ランストップやパスラッシュなどによって、相手選手の攻撃を止めるポジション。DLはほぼすべてのプレーで相手選手と接触する。

 日大アメフト部の内田正人前監督は、5月6日の日大vs関学大の試合で、パスを投じた後で無防備だった関学大のQB(クォーターバック)* に背後から激しくタックルした日大DL宮川選手に、そうした反則プレーの指示は出していないとしている。

 しかし、それが事実であれば、なぜアメフト部監督の辞任を表明したのか。反則タックルの指示を出していないと明言するなら、監督辞任の責任は生じず、違反プレーの責任は勝手に暴走したDL選手のみにあることになる。内田監督の責任のとり方は中途半端である。

*QB(クォーターバック)は、攻撃の選手にプレーを指示する攻撃側のリーダーのポジション。ほとんどのプレーコールで攻撃の起点となる「司令塔」のポジションである。

 このときの「指示」とその「責任」のあり方は、モリカケ問題の安倍総理夫妻のケースとまったく同じである。安倍総理は自身も昭恵夫人も指示は出していないと国会で繰り返し主張し「私や妻が関わっていたら国会議員をやめる」とまでも言い、「もし指示を出したと言うなら、それを証明してみよ」というロジックで、その地位にいまだに居座ったままである。

▲日本大学本部(Wikipediaより)

記事目次

5月6日の関学大との試合までに何があったのか?

 本日、5月22日の記者会見で、実際にタックルをした日大DL選手宮川泰介さんは「違反タックルの指示はあった」と明言している。

 5月3日の実戦形式の練習で、プレーが悪かったという理由で、井上奨コーチから練習を外され、「やる気がない」、「闘志が足りない」と監督・コーチから指摘を受けたと述べている。練習後の全体ハドルの中で、監督から「宮川はやる気があるのかないのかわからない。そういう奴は試合に出さない」と言われ、コーチからは「お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない」と、このとき言われている。

 5月4日には、日本代表を辞退するように監督から命じられ、理由を問い返すこともできず、そのまま了承している。ここまで来ると、監督による選手に対する明確なパワハラであろう。

 試合前日の5月5日には、コーチが「どうしたら宮川を試合に出せるか、監督に聞くと監督は次のように述べた」とコーチから宮川選手は聞かされている。

 「相手のQBを1プレー目でつぶせば出してやる」

 この監督の言葉を踏まえて、コーチが「QBをつぶしに行くんで僕を使ってくださいと監督に言いに行け」と宮川選手に伝えている。さらに、コーチは次のように述べている。

▲パスを投げるNFL所属のQB選手(Wikipediaより)

 「関学との定期戦がなくなってもいいだろ。相手のQBが秋の試合に出られなければ、こっちの得だろう。これは本当にやらなくちゃいけないぞ」

 この言葉は重要である。

 後述するように、日大広報部およびアメフト部首脳は、「つぶす」という言葉を「強く当たれ」という意味で用いただけで、反則プレーを指示していないと弁明しているが、相手QBが秋の試合に出られないほどの怪我を負わせることを目的として、故意に「つぶす」ことを指示したのだから、これは傷害行為にあたる可能性が極めて高い。

 その上、コーチは宮川選手の「気持ちを作る」ために、髪型を坊主にするよう指示さえ出しているのである。

 この「気持ちを作る」とは単に敢闘精神を奮い立たせる儀式であるとは到底、受け取れない。

 反則プレーによって相手チームの中心選手に怪我を負わせるという犯罪行為を、日大アメフト部の首脳陣は明確に企図し、選手を「実行犯」に仕立て上げるために、試合に起用しなかったり、日本代表を辞退させたりなど、精神的なダメージを負わせた上で、犯罪の実行へと追い込んでいった。その最後のイニシエーションが「坊主」にして犯罪行為実行の「気持ちを作る」ことであったと言うべきである。

 この一連のやり取りから、コーチの「相手のQBをつぶしてこい」という言葉の意味は「相手をつぶすくらい強い気持ちで試合に臨む」という意味ではなく、文字どおり、反則タックルをして相手のQBに怪我を負わせることだと思い、追い詰められて悩んだと宮川選手は述べている。

▲米国の大学フットボールのタックル(Wikipedia)

 5月6日の関学大との試合当日、スタメンに宮川選手の名前はなかった。宮川選手はこれからのフットボール人生のことを考えると、「やらなければ後がない」と思い試合に向かったと述べている。そして、コーチに言われたように、監督に「相手のQBをつぶしに行くんで僕を使ってください」と言いに行くのである。監督はそれに対してこう述べた。

 「本当にやらなきゃ意味ないよ」

 これら一連のやりとりの中には「ルールを守る」というスポーツマンシップのカケラも存在しない。

日大の悪質タックル問題の本質把握は自己保身と責任転嫁とまやかしでしかない!

 巧妙にも、監督もコーチも確かに、直接、宮川選手に「相手のQBに反則タックルをして怪我をさせよ」とは命じていない。しかし、前後の文脈から「つぶす」が何を意味したのかは誰の目にも一目瞭然であり、悪質なことに、そのような反則タックルをせざるを得ないような、宮川選手を精神的に追い込む状況も監督・コーチが作っていたのである。日本代表を辞退せよ、という悪質なパワハラはそのための手段であると考えられる。

 内田前監督は、学内調査では「違反をしろと言っていない」と述べ、5月15日付の関学大への回答書の中では、日大側は「指導と選手の受け取りに乖離が起きたことが問題の本質」としている。

 この「乖離」という弁明は、監督の自己保身であり、「実行犯」にさせられた選手への責任転嫁であり、まやかし以外のなにものでもない。日本大学側は、理事の一人であり、大学経営の一角を担う内田前監督の言い分を全面的に採用して、彼を不当にかばっている。ちなみに、内田氏は日大の人事担当常務理事職は、この問題とは関係がないとして辞任していない。

 さらに、宮川選手の5月22日の会見を踏まえて、日大広報部は同日にコメントを出している。そのコメントは次のとおりであるが、学内調査の内田監督の発言や関学大への回答書と、基本的に同じ趣旨のものである。

 「『1プレー目で(相手の)QBをつぶせ』という言葉があったのは事実です、ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味です。誤解を招いたとしたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います」

 これが愚にもつかない弁明であることは先述した通り、「相手のQBが秋の試合まで出られなければ、こっちの得だろう」というコーチの言葉に明らかである。

 この広報部のコメントの中の「誤解」と関学大の回答書の中の「乖離」は同じだと言っていい。

 さらに、22日のコメントが悪質なのは、この「乖離」や「誤解」が生じたのは、宮川選手と監督・コーチとのコミュニケーション不足のせいだとしている点である。これはまったくの嘘である。会見で明らかになったように、このコーチは宮川選手が高校2年のときから担当し、コーチと宮川選手の間には頻繁にやり取りがあった。そして、「コーチの言葉は監督の言葉だ」と宮川選手は認識していたと、会見ではっきり述べている。

 実は、ここで言う「乖離」や「誤解」が問題なのは、指示主体と受け手の間に、モリカケ問題と同じ構造があるからである。

指示と責任の関係を考える重大なヒントはハンナ・アーレントにある!?

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