2018年3月24日、薬害防止を目的とするNGO「薬害オンブズパーソン会議」が、海外4か国からHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の被害者団体で活動する、各国の被害少女の母親を招き、東京大学武田ホールで国際シンポジウムを行った。
登壇したのはコロンビア、スペイン、イギリス、アイルランドの母親たちだ。彼女たちの報告を聞くとHPVワクチンの副反応による重篤な症状も、他のワクチンと比べてその発症率が高いことも、そして副反応を発症した患者が重篤な症状にいたる割合が突出して高いという点までも日本と全く同じ状況であることがわかる。
しかし、会場に集まった参加者がもっとも驚き、怒ったのは、どの国でも同じように対応した医師が「心の問題、気のせい」だと言い切って患者と真剣に向き合おうとせず、政府も積極的に因果関係を調査しないという点だった。
▲国際シンポジウム「世界のHPVワクチン被害は今」
日本では2009年12月にグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)のサーバリックスが、2011年8月にはMSD株式会社(海外では「メルク」)のガーダシルが承認され、2010年11月から厚生労働省による「ワクチン接種緊急促進事業」として、公費助成で主に中学生を対象に、任意接種(通常は自己負担)ながら無料の接種が始まった。これは異例の措置で、HPVワクチン以前にこのような措置がとられたことはない。この「緊急促進事業」により、接種率は一時80パーセントを超えていた。
2013年4月以降は、予防接種法にもとづく定期接種としての接種が続けられているが、接種が始まった当初から深刻な副反応による被害が見られ、定期接種となったわずか2ヶ月後に積極的接種勧奨を一時中止して現在にいたっている。現在の接種率は1パーセント未満だ。
しかしこの間の「HPVワクチン推進派」による「接種推進」に向けての動きには驚くべきものがある。
2014年5月には世界最大の軍事戦略研究所である米シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が子宮頸がんワクチン接種の再開を求めるレポートを発表した。さらに2016年5月にはブッシュ元米大統領がMSD主催のシンポジウムのためだけに来日。「HPVワクチンに関しては誤ったうわさや偏見があり、米国と日本でも、これとは闘わなくてはいけない」、「ヒステリックな報道でパニックを起こしてはならない」などと講演した。
▲ジョージ・W・ブッシュ 元米大統領(Wikimedia Commonsより)
2014年1月には厚労省がHPVワクチンの副反応症状について、「これはワクチンの接種の痛みと、痛みに対する恐怖心が惹起する心身の反応である」と説明。医師から詐病扱いされたり「被害者の訴えは非科学的だ」などという人が後を絶たず、被害者やその親を今も苦しめている。
そして、2017年11月、雑誌「ウェッジ」などに、HPVワクチン接種後の多彩な症状は薬害ではないのではないかと科学的に検証する記事を発表し続けている医師でジャーナリストの村中璃子(りこ=ペンネーム)氏がジョン・マドックス賞を受賞。同賞は英サイエンス誌「ネイチャー」等が主催する、「困難や敵意に屈せず公益に資する科学的理解を広めた個人を表彰」する賞だ。この村中氏の受賞によりそれまでHPVワクチンに批判的な論調であったメディアでも「両論併記」が目立つようになった。
また、多くのメディアが村中氏の受賞を報じる中で、「このワクチンの安全性について科学的根拠を明らかにし続けた」との「ネイチャー」の論評を取り上げ、読者にHPVワクチンが安全であるかのような印象を与えている。
※海外の一流科学誌「ネイチャー」 HPVワクチンの安全性を検証してきた医師・ジャーナリストの村中璃子さんを表彰 (2017年12月1日、BuzzFeed News)
そんな中、小児科医で横浜市立大学名誉教授の横田俊平医師らのグループは、2014年にHPVワクチン接種後に起こる多様な症状をデータベース化し、詳細に検証。新しい疾患ととらえ「HANS(ハンス:HPV Vaccine Associated Neuropathic Syndrome)=子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群」という新しい概念を提唱した。
▲小児科医・横浜市立大学名誉教授 横田俊平医師
横田医師は「一般的な用語で症状を語ったのではHANSの子らの痛みは届かない」と強く訴える。「例えば彼女たちの頭痛の症状は、突然頭の中にナイフで切り込まれ、ギリギリとかき回されるような頭痛で、その時必ず目の奥に非常に強い痛みを感じるというんです。その後吐き気が出たりとか。こんな頭痛は小児科では聞いたことがない」と語っている。この言葉こそが村中氏ら「HPVワクチン推進派」の「昔から思春期の少女には、このような症状の患者がいる」などという論調への反論になるのでないだろうか。
「現在の『検査医学』では、検査で異常が出ない病気は全て『メンタル』のせいにしてしまう」と批判する横田医師は、「HANSの問題は現在の医学・医療に対する告発だ」と訴えている。
この横田氏らの唱えたHANSという新概念に対しても、村中氏は批判を加えている。村中氏らワクチン推進派と、横田氏らワクチン批判派の対立は激しくなっている。
2018年5月5日、午後2時30分より、岩上安身による横田俊平医師へのインタビューをお送りする。ぜひ、お見逃しなく。
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【IWJ_Youtube Live】5月5日(土)14:30~
子宮頸がんワクチン被害者と向き合う!「HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の問題は現在の医学・医療に対する告発だ」岩上安身による小児科医・横浜市立大学名誉教授 横田俊平医師インタビュー
YouTubeでの視聴はこちらから
ツイキャスでの視聴はこちらから
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横田医師は2015年3月31日に参議院議員会館で行われた、子宮頸がんワクチン被害者と支援者、医師、国会議員らによる院内集会に登壇し、ワクチン被害者の症状について「こんな所見は見たことがない。医療界が作ってしまった新しい病気だ」と断じている。
この院内集会の横田医師の登壇部分をハイライト動画にしてYouTubeにアップしたので、ぜひこちらもご覧いただきたい。
※【YouTube】 子宮頸がんワクチンの副反応被害は「医療界が作ってしまった新しい病気」国内外2468人の症例を解析した横田俊平医師が2015.3.31 院内集会で「実際に患者さんを診ていない」と厚労省を批判!〜2018.5.5 岩上安身による横田俊平医師インタビューを配信!
IWJではこの子宮頸がんワクチンの問題が世に知られ始めたばかりの頃から追及し続けてきた。ぜひ以下の特集ページもご覧いただきたい。
※【特集】政府と製薬業界、御用学者からの残酷な贈りもの ~IWJが追う「子宮頸がんワクチン」副反応被害
今日のインタビューは、本当に良かった。
マスコミでは、あえて全く取り上げられていないこの問題をクリアカットに説明されていた。
自分の周りのほとんどの女性医師も自分の子供に接種させているし、推進のプロパガンダに乗せられていると思う。
産婦人科医は特に洗脳されている。このワクチンを打てば子宮頸癌がなくなるみたいなことを言っているし、ワクチンを打たないのはとんでないみたいな論調だ。私は反対派だが、産婦人科の専門でもなく論破できないのでその人達には何も言えなかった。
でも、今日の話を聴いてかなりの確信を得た。この洗脳システムこそ諸悪の根源だと思う。(ロビー活動で、学会員を洗脳して、その医師たちが本気で母親に奨めているんだから。)
子宮頸がんワクチン被害者の母親です。
国際シンポジウムにも参加しました。世界中に被害はあります。
被害はなかったとする国や担当課、製薬会社はきっと大きなお金を使いなかったことにしようとしています。
もっともっと被害について多くの方に知っていただきたいです。
被害者はまだまだおります。被害と認識されていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。