「ふくしま集団疎開裁判」の「世界市民法廷」が、2月26日に東京で、3月17日に郡山市で開催される。その記者会見が、2月16日、東京弁護士会館にて開かれた。裁判の成り行きおよび「世界市民法廷」開催の経緯について、説明と質疑応答が行われた。
(IWJ・大野)
「ふくしま集団疎開裁判」の「世界市民法廷」が、2月26日に東京で、3月17日に郡山市で開催される。その記者会見が、2月16日、東京弁護士会館にて開かれた。裁判の成り行きおよび「世界市民法廷」開催の経緯について、説明と質疑応答が行われた。
■イントロ
ふくしま集団疎開裁判とは:郡山市の小中学生14人が原告となり、市に対し安全な場所で教育を受ける権利を主張して、1mSv/y以下の場所で教育を実施することを求め仮処分を申し立てた。4回の裁判が終わり、12月16日、奇しくも野田総理の「原発事故収束宣言」と同じ日に、郡山地裁は「却下」を申し渡した。現在、仙台高裁へ抗告中。
公式HP→ http://fukusima-sokai.blogspot.com/
郡山地裁は、申し立て却下の決定の理由のひとつとして「100mSv/y以下の被曝による生命・身体に対する具体的な切迫した危険は認められない」ということを挙げた。柳原弁護士は、「裁判で争点になっていなかったことを持ち出した判決」と批判する。原告側が放射能の危険性立証の義務を負うという、「型通り」の裁判のあり方にも疑問を呈する。「なぜ原発事故に責任がなく、被害者である子どもが危険性を立証しなければならないのか」「裁判所は人権の最後の砦。本来行政や立法の病理を正すことを使命とする司法が機能不全に陥っている。判決は子どもの人権侵害に他ならない」と語気を強めた。
「民主主義の原点に立ち帰って市民みずからの手で疎開裁判の正しい裁きを」という思いから、「世界市民法廷」の開催を呼びかけた。2月26日に東京法廷、3月17日に郡山法廷。まず、ふくしま集団疎開裁判の法廷の様子を再現しながら、参加者やインターネット中継の視聴者が陪審員となって考えるための「陪審劇」を行う。その後、専門家やジャーナリストを迎えた討論。最後に市民法廷参加者同士の対話や意見交換を予定しているという。同時通訳付きのネット中継を通じて、国内のみならず世界の市民に向けて発信する。
この模擬法廷の開催に、大江健三郎氏やノームチョムスキー氏も賛同の意を表明している。大江氏からは、「一市民として裁判に関心を持ち続け、敬意を持って、お子さんたちの奮闘を見届けたい」というメッセージが届いた。
柳原弁護士は、ふくしま集団疎開裁判で14人の子どもたちが先頭のランナーとして走ることが、郡山、しいては福島県内の人々が、同じように声をあげるきっかけになれば、と考える。また、武藤氏は、「この主張が認められれば除染一辺倒の現状から、保養などの新しい具体的な道が開けていくのではないか」と胸のうちを語った。