ヘレン・カルディコット医学博士来日会見@大阪 2012.11.21

記事公開日:2012.11.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・佐々/澤邉)

 2012年11月21日(水)13時30分から、大阪府大阪市北区の大阪市政記者クラブで、「ヘレン・カルディコット医学博士来日会見」が行われた。ヘレン・カルディコット氏はオーストラリア出身の小児科医で、2万3000人の医師が参加するPhysicians for Social Responsibility(社会的責任を果たす医師団)の創立会長である。1979年の米スリーマイル島の原発事故を契機に反核を提唱し、さまざまな活動を行っている。福島の原発事故で、放射性物質による健康被害が懸念されることから、緊急来日して会見や専門家向けセミナーを行った。

※会見終了4分前で映像が切れております。何卒ご了承ください。
※動画データ変換のトラブルにより、41:03以降は音声のみ、動画は静止画状態となります。

■全編動画

  • 日時 2012年11月21日(水)13:30~
  • 場所 大阪市政記者クラブ(大阪府大阪市)
  • 主催 放射能防御プロジェクト

 はじめにカルディコット氏は、大阪で計画されている、被災地のがれき焼却について、「福島の放射能汚染は、すでに東京まで広がっている。放射性廃棄物を『分かち合う』ことで、放射能汚染を全国に広めることは、小児科医としての私の立場から言うと、犯罪的な行為だ」と話した。

 カルディコット氏は、「もし、セシウム137を大阪に持ち込んでしまえば、300年間にわたって、人は呼吸や食品から体内に取り込んでしまう。セシウムは、脳腫瘍、筋肉腫の原因になり、精巣や卵巣に蓄積するため、先天性異常、例えば形成異常(奇形)の子どもが生まれる可能性が出てくる。コバルト60、ウラン235、ウラン238なども、腎臓ガンや先天性形成異常、骨ガン、白血病の原因になり得る」と警告する。

 政府は「この程度の放射能のレベルなら許容可能な範囲」と発表しているが、博士は「許容可能な放射能というものは存在しない。すべての放射能は、ガンを引き起こす可能性を持つ」と批判した。

 さらに、子どもの放射能に対する感受性は、「成人に比較して20倍高く、男児に比べて女児は2倍リスクが高い。成人にくらべて胎児のリスクは数千倍」だと強調した。

 そして「大阪市長の橋下氏は、放射能の体への医学的影響について無知なのではないか」といい、「セシウムは食品の中で何百倍何千倍と濃縮し、それが体内に入ると脳や筋肉に長期間とどまり、周辺の細胞に極めて高い線量を与える。日本政府は外部被曝ばかりに着目して、内部被曝の問題を無視している」と批判した。

 また、「福島のように大規模な医学的大惨事が起きているときは特に、政府は嘘をついてはいけないのに、日本政府と東電は国民に嘘をついている」と博士は警告する。放射性廃棄物を焼却しても放射性物質は消えず、煙突から広範囲にふりそそぐようになるだけで、それが土壌に入って人々の被曝につながる。フィルターを使えば、フィルターが放射性物質になるだけだ。大阪では、がれきの焼却灰を夢洲に埋め立てるということだが、雨が降ればセシウムは水に溶け、土に入って人の口に入る食べ物まで到達する」と、がれき焼却の危険性を説明した。

 来る衆議院議員選挙では、「福島の大災害、4号機の危険性、そしてがれき焼却問題が選挙の争点にならなければならない」と話し、「活断層の上にある大飯原発を閉鎖し、そのほかの原発を停止したままにしておければ、日本は責任あるまともな国だと世界から評価されるようになるだろう」と結んだ。

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