「私たちの命を東京にいる人たちと同じように考えていただきたい」――。
米軍普天間飛行場から約300メートルに位置する、普天間バプテスト教会付属緑ヶ丘保育園の神谷武宏園長は、子どもたちの命があまりにも軽視される沖縄の現状をこのように訴えた。
2018年2月13日、東京千代田区の衆議院第一議員会館において、沖縄県宜野湾市・緑ヶ丘保育園の神谷園長と父母会のメンバーらが立憲民主党・福山哲郎幹事長らを訪問し、米軍ヘリ落下物事故の原因究明や再発防止、保育園上空の飛行禁止などを要望する嘆願書を手渡した。
緑ヶ丘保育園の屋根の上に、米軍ヘリから落下したとみられる部品が見つかったのは2017年12月7日のことだった。午前10時20分ごろ、米軍ヘリが保育園の上空を通過した直後、ドーンという大きな衝撃音が園内に響いた。米軍ヘリの部品は屋根の端から、わずか50センチのところに落ちているのが見つかった。
米軍は部品が大型輸送ヘリCH53のものであると認める一方、「普天間基地の航空機から飛行中に落下したものではない」としており、事故後も変わりなくヘリの飛行を続けている。
事故後、緑ヶ丘保育園では父母会が中心となって、嘆願書の提出や全国から署名を募る活動を開始した。しかし、父母会や園に対して「部品落下は自作自演ではないか」など、誹謗中傷の電話やメールが相次いだ。
神谷園長は「子どもの命が身近で奪われようとしていた、そういう事故でした」と述べ、一歩間違えば大惨事になっていたとの認識を福山幹事長らに伝えた。また、米軍が飛行中に落下したものと認めていないことによって、誹謗中傷を受けているとし、被害者がまた被害を受ける「二重被害」を訴えた。
緑ヶ丘保育園父母会副会長の知念有希子さんは、「ただシンプルに上空を飛ばないで欲しいという願いだけなんです」と述べ、「子どもたちの空をただ守りたいだけ」という、ささやかな願いすら叶えられない実状を切実に訴えた。
嘆願書を受けとった福山幹事長は「事故の原因究明、及び再発防止策について、具体的に、かつ沖縄のみなさんが納得できるような形にしてもらわない限りは、まったく不安の解消にはつながらない」と述べ、出来る限りの対応を約束した。
同席した有田芳生・参議院議員は、2月2日の衆院予算委員会で安倍総理が、在沖縄米軍基地の県内移設の理由として「移設先となる本土の理解が得られない」ことを初めて上げたと指摘し、「沖縄差別がものすごく強いと思う」と述べた。
- 首相「本土の理解得られぬ」 沖縄基地移設巡り答弁(琉球新報、2018年2月3日)
長年に渡ってヘイトスピーチの問題に取り組んでいる有田議員は、安倍政権になってから、匿名で人を誹謗中傷することが当たり前のように広がったとして、そうした差別意識が蔓延する構造全体の改善が必要だと訴えた。
この日、18時から衆議院第2議員会館において、神谷園長と父母会メンバーらが参加した「『なんでおそらからおちてくるの?』子どもたちの空を守る父母会 2.13 院内集会」が行われた。IWJではこちらの集会の模様も取材しているので、ぜひあわせてご覧いただきたい。
普天間・米軍ヘリ落下物事故 「私たちの命を東京にいる人たちと同じように考えていただきたい!」保育園園長と父母会が原因究明と再発防止などを訴え、立憲民主党・福山幹事長らに嘆願! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/412092 … @iwakamiyasumi
差別を基に成り立つ基地に何の意味がある。これは日本人全体の問題だ。
https://twitter.com/55kurosuke/status/964137174407917568