安倍総理の太鼓持ちジャーナリスト・山口敬之氏による伊藤詩織さんレイプ疑惑 なぜ逮捕状は中村格刑事部長によって止められたのか――? 超党派の国会議員が警察庁・法務省を徹底追及! 2017.11.21

記事公開日:2017.12.6取材地: テキスト動画
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(取材・文:大下由美)

 ジャーナリストの伊藤詩織さんが実名(当初苗字は非公表)で、霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いたのは今年2017年の5月29日。この会見の場で、詩織さんは、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から、2015年4月にレイプ被害を受けたと告白した。

 山口氏は、『総理』などの著者で、「安倍総理の太鼓持ちジャーナリスト」として知られる。

 記者会見直前の5月10日に発売された「週刊新潮」では、伊藤さんが被害を警察に訴えた後、準強姦容疑で山口氏の逮捕状が取られたものの、2015年6月の逮捕直前に、当時の警視庁刑事部長・中村格(いたる)氏によって、突如、逮捕状が取り下げられた事実も明かされた。山口氏は、嫌疑不十分で不起訴処分になった。

 記者会見を開いた5月29日、伊藤さんは検察審査会に不服申立てを行った。

 そして9月22日、東京第6検察審査会は準強姦容疑で書類送検された山口氏の処分について、不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がなかった、という理由により「不起訴相当」と議決した。

 伊藤さんは10月18日に手記『Black Box』を出版。手記には、被害経験が詳細につづられ、被害者を救済するホットライン体制の不備や捜査・司法システムの問題点が指摘されている。

 10月24日に行われた記者会見で伊藤さんは、「警察や検察そのものにもたくさんのブラックボックスが存在していることに気づき、いかに光をあて、箱を開くのか、そのきっかけに少しでもなればと思った」と、手記を書いた理由を述べた。

 また、検察審査会の議決理由について、伊藤さんに一切の説明もなく、申立人や代理人が審査会で説明する機会が伊藤さんや伊藤さんの弁護士には一度も与えられなかったこと、伊藤さんが特に審査員に見てほしかったというホテルへ引きずられていく防犯カメラ映像についても、審査会で証拠として提出されたのかどうかさえも明らかにされなかったことが語られた。

 伊藤さんは、「検察審査会は完全に非公開であるとはいえ、これまでの情報が得られないこと、一度も説明の機会を与えられなかったことは、さらに私の中に疑問を生む結果となった」とも述べた。

 伊藤さんが自らの性犯罪被害という極めてセンシティブな問題を、実名・顔出しで告白したこと、疑いの目を向けられているのが、安倍総理に極めて近い山口氏であることなどから、伊藤さんの告白は多くの国民の関心を呼んだ。これを受け、国会議員のもとにも、伊藤さんの事件について「国会で検証すべき」との強い要請が寄せられたという。

 7月には、改正刑法が成立して性犯罪が厳罰化された。こうした動きを受け、野党各会派の国会議員が呼びかけ人となって、「超党派で『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検証する会」が結成された。11月21日、参議院議員会館にて第1回会合として、警察庁・法務省からのヒアリングが行われた。

 会に参加したのは、立憲民主党・阿部知子衆院議員、希望の党・柚木道義衆院議員、民進党・神本美恵子参院議員、日本共産党・田村智子参院議員、無所属の会・菊田真紀子衆院議員、自由党・森ゆうこ参院議員、社民党・福島みずほ参院議員、沖縄の風・糸数慶子参院議員の8
。公正な捜査プロセスや、検察審査会の議決プロセスを踏んだのかどうか、今後野党超党派の議員で検証する。

 この日は、呼びかけ人の議員の他に、代理を含め14名の国会議員が参加。主に、「刑事部長による電話1本で、逮捕状執行停止が行われたこと」のプロセスの真偽や妥当性について、国会議員から警察庁・法務省へ厳しい追及が行われた。担当者は「不起訴事案であること」「個別の事案であること」を理由に「お答えを差し控えさせていただく」と繰り返し、国会議員の要求に対し一般論で回答はしたものの、事件の詳細については終始明らかにしなかった。

 以下、白熱した会の模様の文字起こし全文18000字を掲載する。ぜひ、最後までお読みいただきたい。

記事目次

  • 行政への事件真相の追及とともに、多くの被害者女性の尊厳を守るため、性暴力被害者支援の法整備化を!
  • 警察庁・法務省は、最初の段階から説明する気なし!? 「所要の捜査を尽くした」「不起訴事案」を理由に「ご説明できる内容が限られている」
  • 「逮捕状を現場で止めたケースはあるのか?」――杉尾秀哉議員の追及に警察庁担当者は「あります」としつつ、筋違いな事例ばかりを列挙!
  • 山口氏と安倍総理の関係の近さを指摘されると、警察庁担当者は「ある意味忖度といったことは、まあないと考えております」と根拠もなく断言!
  • <刑事部長が逮捕状の執行停止を指示することがあるのか――? 議員らの追及に警察庁担当者は「稀なものではない」としつつも具体例は明示せず!
  • 検察審査会の男女比は? 証拠として採用された調書は実際とは異なるものなのでは?――相次ぐ質問に法務省担当者は「不起訴事案なのでお答えすることは差し控える」
  • 証拠が集まらなかっただけの「嫌疑不十分」で、「逮捕を止めた自分の判断は正しかった」と主張する当時の刑事部長中村格氏の言い分は通用するのか!? 法務省はまたしても回答を忌避
  • たとえ現場で逮捕を取り消そうと、逮捕状の決裁文書が存在するかはケースバイケース!? 警察庁の発言に会場騒然!
  • 追及の末、警察庁は「捜査の過程を踏まえてどういう指揮をしたかという記録は残っています」と発言! 次回に資料提出を求める

■ハイライト

  • 呼び掛け人
    阿部知子議員 (立憲民主党)/糸数慶子議員 (沖縄の風)/神本美恵子議員(民進党)/菊田真紀子議員(無所属の会)/田村智子議員 (共産党)/福島みずほ議員(社民党)/森裕子議員 (自由党)/柚木道義議員 (希望の党)
  • 出席した国会議員(紹介順)
    本村伸子氏(日本共産党)/石橋通宏氏(民進党)/杉尾秀哉氏(民進党)/日吉雄太氏(立憲民主党)/青木愛氏(自由党)/石井苗子氏(日本維新の会) /吉良佳子氏(日本共産党)/宮沢由佳氏(民進党)/高井崇志氏(立憲民主党)/池田真紀氏(立憲民主党)/木戸口英司氏(自由党)/尾辻かな子氏(立憲民主党)
  • 日時 2017年11月21日(火)17:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

行政への事件真相の追及とともに、多くの被害者女性の尊厳を守るため、性暴力被害者支援の法整備化を!

森ゆうこ議員「ただ今より、超党派で、『「準強姦事件逮捕状執行停止問題」を検証する会』を始めさせていただきます。私、呼びかけ人のうちの一人の、自由党参議院議員、森ゆうこでございます。ちょっと事務局的な仕事をさせていただいた関係から、司会進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

▲自由党・森ゆうこ参議院議員

 これは有名なジャーナリストの方が、準強姦事件で逮捕執行直前であり、逮捕状が発布されたにもかかわらず、直前に、執行停止となったという事案について、被害者である詩織さんが、ご自分の実名、そして顔を出して、この事件について告訴された。こういうことで、この問題について国会は何をしているのだと、国会で厳しく検証すべきではないか、というご意見が多数寄せられたところであります。

 それで、この、国会が開会されたことを受け、急なご案内でしたけれども、野党各会派に働きかけをさせていただきまして、皆様からご出席をいただきました。

 それで、最初にご相談をさせていただいた、神本美恵子先生から一言、ご挨拶をお願いいたします」

神本美恵子議員「民進党参議院議員の神本美恵子でございます。今、森さんからお話があったように、金曜日の夕方に、私の方に電話がありまして、この件について何とかしなければいけないのではないかという問題意識を持っているということで、私も、この事件が報じられてすぐ、一体どういうことなんだと、すぐに警察庁の方に来ていただいて、私の事務所でお話を聞かせていただきました。

 しかしその時は、『検察審査会に申し立てをされているので、事の経緯は申し上げられません』というそれだけで、何一つ、何も聞かされないままで、今日に至っていて、今のような状況になっているということなので、その前に院内集会をする方からの呼びかけや、弁護人の方々からの呼びかけで、2回ほど行われましたが、そのあと、今度は福島(みずほ)さんからも『何とかしようよ』というお話をいただいたりしておりましたので、森さんのお呼びかけに対して、『それはぜひ、これは、女性全体、皆、何とかしなければいけないと思っている問題なので、やりましょう』ということで、今日の会の運びになりました。

 今日お集まりの皆さんも、本当に、廊下で会う度に、『一体どうしたらいいの?』『どうなってるの?』ということがありましたので、今日はもう、検察審査会からも不起訴処分が出ておりますので、これまでの経緯と、それから、何が起きているのかということについて、ぜひ、行政の方からお話を聞かせていただきたいと思います。よもや、『民事になっているので話せない』というようなことは、決して許されませんので、よろしくお願いしたいと思います」

▲民進党・神本美恵子参議院議員

森議員「すでに被害者の詩織さんからヒアリングを行う集会を院内で開催していただいた、福島先生、一言」

福島みずほ議員「超党派で、こういう集まりを持ち、これからきちっと検証していくことがスタートして、本当に嬉しく思っています。福島みずほです。

 9月29日、ご本人(詩織さん)と弁護士、それからたくさんの女性たちで、やっぱり性暴力被害者、当事者が発言するというような集会を、講堂で持って、そしてたくさんの人に来ていただきました。詩織さん自身も、自分の体験と外国の政府で、性暴力被害者支援が必要だと発言をしてくれました。杉尾(秀哉)さんはじめ、いろんな国会議員も多数来ていただいて、やっぱりこういうことがあるのに、『国会が何も声を上げないのはおかしい』というのが、この29日の集会でした。

 そのあと、選挙ということになって、こういうかたちで、超党派で、この問題の検証がしっかりできることは、とても、本当に嬉しく思っています。力合わせて、一緒に頑張りましょう」

▲社民党・福島みずほ参議院議員

柚木道義議員「希望の党・柚木道義(ゆのき・みちよし)と申します。性犯罪厳罰化法が衆議院で審議入りをした当日、ならびにその後、国会でもこの件について質問させていただきました。

 過去にこのような、著名な方が、逮捕状が発行されて、しかも逮捕当日に、報道でもありますが、監督上のトップの方からストップがかかるという事例、このこと自体、まあ警察庁も把握をされていないという答弁でしたが、不起訴になる直前に、当時被疑者だった方が『総理』という本を出版しているんですね。これ(不起訴になると)知ってなかったら出版されてなかったんじゃないかと私は思いますし、その後『暗闘』という本も出版されてます。

 本当に経緯を見ても、誰がどう見ても不自然。そして今回検察審査会のあり方、まさに『ブラックボックス』ということだと思います。私も何度か、詩織さんから直接お話をうかがいましたが、ご本人も繰り返し述べられているように、ご本人のためではなくて、二度とこのような、同じ思いをする方が生まれないようにという思いで、実名での出版に踏み切られたとあります。

 超党派の先生方と共に、まさに法律が有名無実化しないように、共に力を合わせていきたいと思います」

▲希望の党・柚木道義衆議院議員

(…会員ページにつづく)

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