【特別寄稿】密室談義から生まれた詐欺的政党「希望の党」で騙し討ち的代表交代!「死んだふり代表辞任」で始まった小池院政――党本部に居座る産経出身の尾崎良樹事務総長(ジャーナリスト・横田一) 2017.11.25

記事公開日:2017.11.25 テキスト
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(取材・文・写真:横田一)

 小池氏と玉木氏の間で「裏取引」はあったのか―—

 2017年11月14日、小池百合子氏は突然、希望の党代表を辞任した。先の衆院選大敗の責任を求める声に「創業者としての責任がある」と代表続行を明言していたにも関わらず、事前告知なく急に代表の座を放り投げたのだ。得意の「リセット」芸である。小池氏は辞任を表明したその場で、4日前に共同代表に選ばれたばかりの玉木雄一郎氏を後継指名し、同席した議員らの拍手で玉木氏が新代表に就任した。民主的な手続きを踏んでいるとは到底いえない。

 「異議ありと唱えることができない流れだった」

 玉木氏と共同代表選を戦った大串博志氏は、目の前で繰り広げられた突然の辞任劇と玉木氏の新代表就任について違和感を隠さず、こう続けた。

 「両院議員総会は党の最高意思決定機関なのに、代表辞任の事前告知がなかった。誰が立候補するのか否かを考える時間的な余裕を持った上で、(代表決定を)進めるのが組織としては普通ではないか」

 所属の国会議員や秘書にさえ事前に知らせず、両院議員総会直前に「辞任」をメディアにリーク。誰にも異論を挟ませない形で辞任を発表し、間髪を入れず、玉木氏を新代表に後継指名した小池氏。同時に、親小池の結党メンバーである長島昭久氏や細野豪志氏が政調会長や憲法調査会会長に就く党役員人事まで了承されている。まったくのワンマン的手法、もっと厳しくいえば独裁的手法である。

 「小池氏と玉木氏が事前に密室談義をし、親小池抜擢人事の見返りに代表禅譲をしてもらうという『裏取引』をしていたとしか見えない」——

 こう指摘するのは小池氏本人の口から「排除」発言を引き出し、選挙情勢を一変させた、フリージャーナリストの横田一氏だ。

 横田氏は、小池氏の辞任によって「民進解体・希望合流が詳しく語られないまま、日本政治史上で前代未聞の『野党第一党乗っ取り事件』が闇に葬り去られようとしている」と指摘する。

 それだけではない。小池氏は代表を辞任しても、「雇われ社長」のような玉木新代表を手の平の上で操り、女帝として院政を敷き、党運営に多大な影響を持ち続けるだろう、と横田氏は見通しを述べる。

 さらに、希望の党が今後、自民党の補完勢力としての道を歩む可能性が高い理由として、ジャパン・ハンドラーと呼ばれる「知日派」が拠点とする「戦略国際問題研究所(CSIS)」と小池、前原、長島らの関係にも注目し、今回の辞任劇を分析している。

▲小池百合子・東京都知事

 以下、横田一氏がIWJに寄せた特別寄稿を掲載する。(IWJ編集部)

記事目次

執行部人事と代表禅譲が交換条件の代表辞任で「小池院政」開始

 小池百合子代表は11月14日の両院議員総会で辞任を表明、共同代表の玉木雄一郎・元民進党筆頭副幹事長を後継指名した。そして議事進行役の樽床伸二衆院議員が「国会開会中なので早急に代表を決めなくてはいけない」として小池代表辞任と玉木氏への代表就任が諮られ、拍手で承認された。

 共同代表選(11月10日投開票)で「安保法制は容認できない」「憲法9条改正は必要ない」と訴えて善戦をした大串博志・元民進党政調会長は「『異議あり』と唱えることができないような流れでした」と、この一方的なやり方に首を傾げていた。

▲大串博志氏(左)と玉木雄一郎氏(右)

 「(11月14日の両院議員総会で辞任表明をした)小池(百合子)代表から『玉木さんを推挙します』という一言で、『皆さん、よろしいですか』と決めてしまうのは非常に透明感に欠くやり方ではないか。手続きには違和感、唐突感を覚えました」

 まさに正論だ。先の共同代表選は、希望惨敗でも「創業者責任がある」と居直った小池代表継続が前提だった。それなのに、玉木氏を共同代表に選出した4日後に小池氏は代表を辞任、玉木氏を後継指名すると同時に親小池の結党メンバーが要職に就く党役員人事(長島昭久・政調会長と細野豪志・憲法調査会会長)が了承されたのだ。

 事前に小池氏と玉木氏が密室談義をして、親小池抜擢人事の見返りに代表禅譲をしてもらうという「裏取引」をしていたとしか思えない。大串氏はこんな指摘もした。

 「両院議員総会は党の最高意思決定機関なのに、代表辞任の事前告知がなかった。誰が立候補するのか否かを考える時間的な余裕を持った上で、(代表決定を)進めるのが組織としては普通ではないか」

▲大串博志議員

 たしかに14日の両院議員総会は玉木新執行部の役員人事承認が議題で、大半の議員には代表辞任を知らされていなかった。そして総会開始まで2時間を切った15時すぎに「小池知事 希望の党代表辞任の意向 周辺に伝える」というニュースが流れた後、17時開始の両院議員総会で小池代表が急きょ辞任表明をするドタバタ劇となったのだ。マスコミへギリギリでリークし、両院議員総会参加資格者に、考えるいとまを与えない今回の事の運び方は、計算し尽くされたやり方だったのではないか。

党本部も「小池院政」体制――事務総長は産経出身の尾崎良樹氏

 電撃的な代表交代の翌15日、IWJの記者と一緒に玉木事務所の秘書に「代表辞任はいつ決まったのですか」と聞くと、「私たちもニュースで知りました。党本部に聞いて欲しい」と回答。

 そこで民進党本部に隣接するビルにある希望の党本部を訪ねると、女性事務員から「代表辞任決定については、尾崎事務総長しか分かりません」と回答。名刺を見せてもらうと、産経新聞出身の尾崎良樹氏(※注1)であることが分かった。

▲希望の党事務所で見せてもらった尾崎良樹氏の名刺

(※注1)尾崎良樹氏:元産経新聞記者。産経新聞政治部記者の阿比留瑠比氏と連名で書いた記事が確認できる。妻は元読売新聞記者の宮地美陽子氏。尾崎氏は、2007年4月2日の産経新聞朝刊で、「昭恵夫人インタビュー 人を勇気づけることに喜び」と題した記事を阿比留氏と連名で掲載。第一次安倍政権時の昭恵総理夫人にインタビューをしたもので、「安倍首相の様子はどうか」、「首相夫人の立場はどういうものか」など、主に安倍晋三総理(当時)や昭恵夫人の身の周りや心境の変化について尋ねている。以下のサイトに、そのときの産経新聞の記事の一部が掲載されている。

 総選挙で希望の候補者選定(調整)に関わった尾崎氏が、惨敗の責任も取らずに同じポストに居座っていたのか! と正直言って驚いた。

 実は、10月1日のIWJ寄稿記事「笑顔でリベラル『排除』を口にする小池代表の『リベラル派大量虐殺(公認拒否)』断行!」には、尾崎氏が登場。「小池知事(代表)と懇意なジャーナリストと産経新聞出身者の事務総長が民進議員の選別をしているようだ」と紹介した「事務総長」こそ、尾崎氏であったのだ。

 「『排除』発言を引き出した記者が見た『小池百合子の400日』 なぜジャンヌ・ダルクは墜ちたのか」(10月24日の現代ビジネス)では、「先の読めない不寛容な側近」「産経新聞出身の事務総長のO氏」として尾崎氏について次のように紹介した。

 (総選挙での希望惨敗の)原因は、容易に推定できた。都議選で、自民党の歴史的惨敗と都民ファ―ストの会圧勝を実現した立役者である野田数・特別秘書(前・都民ファ代表)と選挙プランナーの松田馨氏が、今回の総選挙には一切関わっていなかったのだ。

 「小池代表以外で候補者選定に関わっていたのは、産経新聞出身の事務総長のO氏と小池氏と懇意なジャーナリストのU氏で、リベラル派排除を進めたのはO氏と囁かれていました。都議選では、水面下の調整を含めた陣頭指揮を取った野田氏と、選挙プランナーとして候補者に指南をした松田氏が都民ファ圧勝に大きく貢献しましたが、今回の総選挙では2人とも外されていたようです」(都政関係者)

 天下分け目の決戦で、実績抜群の有能な「部下」をわざわざ外し、先の読めない不寛容な側近で脇を固めたことが、都議選と正反対の惨敗を招いた主因ではないか。

 民間企業なら社運をかけた合併に大失敗をした担当幹部は解雇か左遷か降格が当然なのに、希望の党では「A級戦犯」ともいうべき尾崎事務総長が事務局トップに居座っていたのだ。

 小池氏にとって尾崎氏は非常に信頼(寵愛?)している側近中の側近なのか、それとも今回の民進解体・希望合流(「安倍政権倒す倒す詐欺」)が一定の成果を収めたという判断なのか、理由はよく分からない。しかし小池氏がよく引き合いに出すビジネスの世界では考えられないことが、希望の党では起きていたのである。

 しかし「『小池院政』には党本部を仕切る側近の尾崎事務総長が不可欠」と小池氏が考えたとすれば、「A級戦犯」残留の謎が氷解する。

 「電撃的代表交代による『小池院政』誕生」のシナリオが透けて見えてくるではないか。それは、「党所属国会議員にも秘書にも事前告知せずに、両院議員総会直前にメデイアにリーク、そして不意打ちのように総会で代表辞任を発表すると同時に、間髪入れずに玉木氏への後継指名と新役員人事への賛同を取り付ける」というものだ。このことを知っていたのは小池氏と玉木氏と尾崎氏らだけだったのではないか。

 小池氏は代表の座を手放したが、「小池親衛隊」のような党幹部がブラックボックスの中で不透明な意思決定をしていく非民主主義的体質は、引き継がれるのではないか。

女帝創業者の「雇われ社長」のような玉木新代表のゴマすり

 親小池議員(結党メンバー)の神輿に担がれた玉木新代表は、女帝創業者のお気に入りの「雇われ若社長」のような雰囲気を醸し出している。小池氏が手の平の上で操るのは至極簡単なようにみえた。

 共同代表選(11月10日投開票)で大串氏を破った玉木氏は、いきなり小池氏への忖度(ゴマすり)を始めた。共同代表就任挨拶で「『排除』発言は希望惨敗と無関係」と強調して小池代表を免責し始めたのだ。

 「なぜ私たちは負けたのか。小池代表の発言が、マスコミの偏向的な報道が理由なのでしょうか。私は違うと思います。その責任すべては、私たち全てにあるのではないかと思います」(玉木氏の就任挨拶)。

 驚くべきゴマすり発言ではないか。政党同士が激突する国政選挙では党首の発言やイメージ(評価)は、候補者の当落に大きな影響を与える。

 前原誠司代表(当時)が9月28日の両院議員総会で「排除されることはない」と説明した翌日に小池代表が「排除する」と言ったことと、憲法改正と安保法制への賛成を「踏み絵」(政策協定書)にしようとしたことで、小池氏は「リベラル派大量虐殺(公認拒否)を断行する独裁的党首」という悪役イメージに激変、惨敗の原因になったのは明らかだ。

 そこで、直後の質疑応答で「(排除発言と踏み絵で)『緑のたぬき』とか『女ヒトラー』率いる『第二自民党的詐欺的政党』というイメージが有権者に広がったことが今回の敗因につながったと思うが、その総括をするのか」と聞いたが、玉木氏の小池氏擁護の姿勢に変わりはなかった。

 「何が選挙結果に影響を与えたのかについては、これからしっかりと分析をしていきたい。ただ選挙は、最後は自己責任。誰かに責任を転嫁するものでもないと思う」(玉木氏)

 「排除」発言の小池氏と排除否定の虚偽説明(9月28日の両院議員総会)の前原氏が共謀して産み落とされた現在の希望の党は、密室談義(ブラックボックス)が発端の怪しげな誕生経過を十分に透明化することなく、再び騙し討ち的な代表交代で「小池院政」へと移行したといえる。

 かつて自民党都連を仕切った内田茂都議のような「ドン」(女帝)として小池氏が君臨、党運営に大きな影響力を持ち続けるのは確実だろう。

「安倍政権倒す倒す詐欺」で共謀の小池氏と前原氏は詳しく語らず

▲10月25日の両院議員懇談会では代表辞任を否定した小池氏(撮影:IWJ)

 今回の「死んだふり代表辞任」は、民進党の人材(前議員)と公認料を騙し取ったようにみえる「安倍政権倒す倒す詐欺」の責任追及から逃れるのにプラスに働く。民進解体・希望合流について詳しく語らないまま、日本政治史上で前代未聞の「野党第一党乗っ取り事件」を闇に葬り去ろうとしているともいえる。

 小池代表(当時)は総選挙3日後の10月25日朝にフランスから帰国、午後から両院議員懇談会に出席した。3時間以上にも及んだ懇談会の冒頭で小池氏は、「多くの方々を傷つけてしまったことについて改めて謝りたい」「言葉がこうも歩くとは思わなかった」と謝罪したが、複数の国会議員から代表辞任を求める声が噴出。これに対して小池氏は創業者責任を口にしながら代表辞任をこの時点では否定した。

 自らの「排除」発言で希望は失速、落選議員を多数出したのにもかかわらず、小池氏は結果責任をすぐに取ろうとしなかったのだ。その一方で、世間の同情を買ってイメージ回復をしようとする世論誘導工作(作り話の発信)も仕掛けていった。

(…会員ページにつづく)

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