次から次へと出てくる「学校法人 森友(もりとも)学園」をめぐるスキャンダル。
認可にまつわる疑惑だけでなく、この森友学園が運営する「塚本幼稚園」では、「教育勅語の暗唱」にはじまり、園児のおもらししたウンチのついたパンツをそのままバッグに入れて持って帰らせたり、保護者に対し、園児にコーラを飲ませたと激怒した籠池諄子副園長が「コーラやファンタを飲ませているとききましたが(中略)韓国人とかは、整形したり、そんなものを飲んだりしますが、日本人はさせません」とか、「心中、韓国人と中国人は嫌いです」などとヘイトまるだしの直筆の手紙を書き送るなど、「教育機関」としてあまりにも問題が多いことがわかってきた。
塚本幼稚園は入園希望者の数も多くはなく、辞めていく(辞めさせられていく)園児も後を断たないという。「瑞穂の國記念小學院」などという一貫教育のための小学校を作ったとしても、塚本幼稚園の園児たちが卒園したら、そのまま「小學院」へ進学するとは限らない。この少子化の時代に、果たして児童は集まるのか。集まらなければ経営は赤字となり、開校したはいいが閉校に、といった事態に陥りかねない。
現に、各学年定員数80人のところ、開校時には1年生が45人、2年生が5人、それぞれ入学・転入するはずだったが、今回の騒動を受け、すでに入学予定の1年生のうち5人ほど辞退したといわれている。
▲塚本幼稚園から、保護者に宛てた直筆の手紙
そもそも私立小学校の建設には、自己所有の土地があることが「原則」である。ところが、なぜかこの「瑞穂の國記念小學院」に対しては、10年契約で国有地を借り、10年以内に買取をするという契約で、しかもその契約の前に認可申請が出され、条件付きではあるものの「認可適当」とされているのである。疑惑だらけだ。
2月15日にこの問題を取り上げ、国会質疑を行った日本共産党・宮本岳志衆議院議員が、2月21日、財務金融委員会で2回目となる質疑を行った。
今回、宮本議員は「大阪府私学審議会」と「国有財産近畿地方審議会」の2つの議事録の一部を事前に入手し、これらをもとに質疑を行った。
2つの議事録を照らし合わせる中で見えてきたのは、宮本議員の言葉を借りれば、「もたれあいの構造」だ。互いに、相手方の認可が下りる前提で話を進め、責任の所在が曖昧にされていく。
理財局や文科省の答弁は、本質に触れず、その場しのぎの言い訳を重ねるものばかりだ。しかも、「私学審議会」の議事録は、大阪府が公にしていないことを理由に、文科省の官僚も議事録を見ていないという。そうであれば、是とも非とも言えないはずだが、文科省は、なぜか「問題はないと考える」といった主旨の答弁を繰り返している。
疑惑はふたつの審議会のみならず、ゴミ撤去費用に8億円以上の見積もりを出した大阪航空局にも及ぶ。この積算根拠はいったい何なのか?そもそも8億円相当の工事は本当に行われたのか? 以下、2月21日に行われた宮本議員による質疑の全文を掲載する。
校舎建設は自己所有が原則。借地による校舎建設は認められていない。にもかかわらず大阪府は国有地を借りる『森友学園』に対して「認可適当」
▲日本共産党・宮本岳志衆議院議員——2月21日、衆議院財務金融委員会
宮本議員「日本共産党の宮本岳志です。先日に続いて質問いたします。
前回2月15日の当委員会で、私は今問題になっている豊中市の国有地の『森友学園』への貸付や売却をめぐって、2015年2月10日の第123回国有財産近畿地方審議会の審議よりも、3ヶ月以上も前の2014年10月31日に森友学園が大阪府に小学校設置の認可申請を行っているということを指摘いたしました。
文部科学省にまず確認をいたします。大阪府の私立小中学校設置認可の審査基準、これによりますと、校地・校舎その他の施設は自己所有を原則としつつも、教育上支障がなく、次の基準を満たす場合に限り借地も可能とし、その基準として、『当該借地の上に校舎がないこと』と定められております。
森友学園は、大阪府私学審議会が設置認可に関する審議をおこなった時点で、借地の上に校舎を建てる計画だったと思いますけれども、なぜ、審査基準に反する申請が認められたのですか?」
文科省・村田善則高等教育局私学部長「お答え申し上げます。ただいまの件でございますけど、大阪府に確認をいたしましたところ、本件校地の取扱につきましては、森友学園から国に対して公的取得要望を提出していること、その他の者から取得要望、森友学園以外のその他のものから取得要望が提出されておらず、競争性がない状態にあること、および、森友学園より、今後購入することを念頭に置いた定期借地による国有地の借用を目指していると聞いていたこと等から、これを自己所有と同等とみなして認可適当の答申を行ったということでございます」
国有財産の有償貸付・売買予約契約が結ばれる7か月前に、学校設置認可申請。宮本議員は「土地が借りられるという話がなければ申請できないはず」と追及!
宮本議員「10年間の借地、10年以内に買い取ると、こういうことが想定されると。たとえ10年以内に買い取るとしても、問題であります。買い取りまでは当該借地の上に校舎がないこととの審査基準には明確に反しております。
森友学園は、2014年10月31日に設置認可申請を提出致しました。そうするとですね、森友学園は2015年の5月29日に、まさにこの国有財産、有償貸付合意書、国有財産売買予約契約書、これが取り結ばれる7ヶ月も前にはすでに10年契約で土地を借り、10年以内に買い取るという、この契約を前提に設置の認可申請を行ったと、いうことになりますけども、間違いないですね?」
村田部長「お答え申し上げます。先ほど申しましたとおり、設置認可申請が出されておりますけども、その点につきましては、大阪府に確認をしたところ、先程申し上げたような随意契約であり、かつ他との競争がない状況であること、それから借地が国有地であり、しっかりと国に対して取得要望が出されていること等を確認をするとともに、関係の必要な情報の収集を行って、その結果を踏まえて申請を出したということでうかがっております」
宮本議員「安定した校地が確保されているという点では、これは10年間の借地契約がほぼ確実であると、そしてそのうち、それを買い取るということがなければ考えられないと思うんですね。
前回の質疑での理財局長の答弁、私に対して、『貸付10年以内に売買』ということを、第123回国有財産近畿地方審議会の前に予断を与えるような話を森友学園にしていたのではないかと申し上げましたが、これは否定されましたけども、実は、10年貸付、10年以内に売買というこの貸付の話はその前から進んでいたのではありませんか? それから年2730万円という貸付料まですでに取り決めていたのではありませんか?」
財務省・佐川宣寿理財局長「今ご指摘のありましたような学校審議会の前にですね、財務省近畿財務局から森友学園に対して予断を持って、国有地売却等の是非について申し上げた事実はございません」
宮本議員「おかしいですよね。土地が借りられると、こういう話がなければ申請できないはずなんですけども。なぜできているんですか?」
佐川局長「土地の件につきましては先ほど、文部科学省が答弁したとおりだというふうに思っております。我々のほうもですね、先方から取得要望がまいりますと、それについて担当の権限を持っています、大阪府のほうに、地方の計画等との整合性とかいうことで連絡いたしますので、取得要望がきていたということについては、大阪が承知したというふうに思います」
近畿財務局は「額を示した事実はない」と答弁するも、籠池理事長はラジオで『金額的(には)…やっぱり高いと思った』と発言。金額は知らされていた!?
宮本議員「ちょっと話にならないですね。実は昨日、昨夜のTBSラジオに森友学園の籠池(泰典)理事長が電話で出演をし、単独インタビューに応えた、全文がここにございます。
籠池さんは、確かに近畿財務局のほうに国有地の件で話を持っていったと。誰がそれを勧めたかというと、『不動産会社の方が「国有地がありますけど、これは国の土地なので財務局のほうにいかれたらどうですか」というアドバイスがあって行った』と。こう述べております。
一体いくらくらいかという見積もりが向こうから示されたかと聞いたら、それに対して、『全然聞いていない』と、こう答えているんですね。『なんぼですよ』ということは言ってくれませんでした、と。
『でも借地だったらどうでしょう、というようなことで私がお聞きしたんだ』と、先方の財務局はどうでした、反応はどうでしたって聞いたら、『借りたいというなら借りたいで、その土地の金額から借地料を換算してこられるんでしょうね。で、金額的なところから言いますとね、やっぱり高いと思いました。これは高いなと』と、こう出ているんですよ。額、示したんじゃないですか?」
佐川局長「近畿財務局に確認しても、額を示した事実はございません」